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立位での浣腸実施は「直腸損傷」のリスク大、患者にも十分な説明を―医療機能評価機構

2019.12.18.(水)

グリセリン浣腸を立位で実施した際、直腸損傷を来してしまった―。

日本医療機能評価機構が12月15日に公表した「医療安全情報 No.157」から、こうした事例が2014年1月1日から2019年10月31日の間に4件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。

浣腸は「左側臥位」での実施徹底を

日本医療機能評価機構は、全国の医療機関(国立病院や特定機能病院等では義務)から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故に至る前に防いだものの「ヒヤリとした、ハッとした」事例)の報告を受け、その内容や背景を詳しく分析したうえで、事故等の再発防止に向けた提言等を定期的に行っています(医療事故情報収集等事業、関連記事はこちら)。

あわせて事故事例などの中から、とくに留意すべき事例を毎月ピックアップし、内容を簡潔に整理して「医療安全情報」として公表。医療現場に特段の注意を払うよう強く呼びかけています(最近の情報はこちら(鎮静薬の誤調整事例)こちら(小児用ベッドから転落事例)こちら(電子カルテの誤入力)こちら(ガーゼの体内残存2)こちら(ガーゼの体内残存1))。12月15日に公表された「No.157」では「立位でのグリセリン浣腸による直腸損傷」がテーマとなりました。

ある病院では、患者に4日間排便がなかったため、看護師が左側臥位で浣腸をすることとしました。しかし、患者の希望によりトイレに移動して「立位」でグリセリン浣腸液を注入。10分後、トイレよりコールがあり患者は排便困難を訴えたため、肛門周囲を見ると3cm幅の腫脹と少量の出血が認められました。医師が診察し、CT検査を実施したところ「直腸穿孔」と診断されました。

また別の病院では、患者に8日間排便がなかったため、医師がグリセリン浣腸を指示。患者がトイレでの実施を希望したため、看護師がトイレで「立位」でグリセリン浣腸液を注入しました。排便時に出血を認められたため腹部CT検査を実施したところ、肛門部から約3cmの辺りに粘膜損傷が認められました。

立位では腸が下垂することから、浣腸器の先端が直腸にぶつかりやすく、臓器が損傷するリスクが高まります。機構では▼浣腸は左側臥位で実施する▼立位での浣腸実施の危険性を院内で周知し、患者にも説明する―ことの徹底を求めています。

立位で浣腸を実施し、直腸損傷を来した医療事故が複数報告されている(医療安全情報157 191215)



両事例ともに患者の希望に答えて立位での実施がなされていますが、どういった危険があるのかを丁寧に患者に説明することが非常に重要でしょう(もちろん、前提として看護師等の実施者がそのリスクを認識していなければならない)。

 
 
病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

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