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新生児・乳児の沐浴時、湯の温度が高すぎて「熱傷」を生じさせてしまう事故が発生―医療機能評価機構

2021.9.16.(木)

新生児・乳児を沐浴させる際、湯の温度が高すぎために、児に「熱傷」を生じさせてしまった―。

日本医療機能評価機構が9月15日に公表した「医療安全情報 No.178」から、こうした事例(医療事故)が2014年1月1日から今年(2021年)7月末までの間に6件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちらこちら)。

新生児・乳児の沐浴時、湯の温度が高すぎて「熱傷」を生じさせてしまう事故が発生(医療安全情報178 210915)

沐浴時の湯の温度は、「摂氏38-40度」であることを、必ず温度計を用いて確認せよ

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの、担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析した上で、「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、2020年報に関する記事はこちら)。

同時に機構では、事故事例などの中から、「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)をピックアップ。その内容を簡潔にまとめ、「医療安全情報」として毎月公表しています。医療現場に最大限の注意を払うよう強く呼びかけるものです。

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電子カルテの誤入力
ガーゼの体内残存2
ガーゼの体内残存1



9月15日に公表された「医療安全情報No.178」では、「新生児・乳児を沐浴させる際、湯の温度が高く児に熱傷を負わせてしまう」事例がテーマとなりました。

ある病院では、看護師が沐浴槽に湯を溜める際、温度が「約摂氏60度」に設定されていることに気付きませんでした。温度計も設置されておらず、湯の温度を測定していません。看護師は「手袋を2枚重ねて装着」していたため、「湯が熱い」と感じなかったようです。沐浴槽に患児を入れたところ、腰背部から下肢後面に熱傷を生じさせてしまいました。



別の病院の病棟では「温度計を使用して湯の温度を測定する」慣習がなく、看護師Aは沐浴槽に湯を溜めた際に、素手で湯の熱さを確認していました。看護師Bは、患児を湯に入れる直前に沐浴槽の湯に肘を入れて確認しましたが「熱い」とは感じなかったようです。患児を湯に入れると泣き出したため、温度を測定すると摂氏44度ありました。患児の下半身の皮膚は発赤が著明で、皮膚科医師の診察が必要となりました。



機構では、「沐浴時には、温度計を必ず使用して湯の温度が摂氏38-40度であることを確認する」などの対策を強く求めています(もちろん、自施設にマッチした取り組みの実施が重要)。

新生児・乳児では、看護師等に対して「湯が熱くありませんか」と確認することはできません。沐浴させる看護師が注意しなければ、事故を防ぐことはできないのです(児が『泣く』ことによってはじめてミスに気づき(児の状態によっては『泣く』ことができず、ミスに気づくことすらないかもしれない)、その時点は事故が生じている)。自院の体制(湯の温度の確認方法、チェック体制など)を今一度見直し、「事故が生じやすくなっていないか」「ミスをしても、別の仕組みが発動して事故を防げるような体制になっているか」などを確認することが重要です。



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