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2022年、医療事故は531件、ヒヤリ・ハット事例は101万超件の報告、患者間違い・ダブルチェック等の分析進む―日本医療機能評価機構

2023.7.4.(火)

昨年(2022年)1年間に報告された医療事故は5313件あり、前年に比べて2.0%減少した。このうち8.0%で患者が「死亡」するなど、重度な医療事故の増加が伺える—。

同じく2022年の1年間に報告されたヒヤリ・ハット事例は101万件超で、前年に比べて0.7%の微増。仮に誤った行為を実施すれば「死亡」などの重大事故につながった可能性がある事例は1.1%ある。ヒヤリ・ハット事例報告数の増加は、「ミスを隠さずに報告している」ことの現れと言え、「医療の透明性が高まってきている」と評価することが可能である—。

このような状況が、日本医療機能評価機構が6月29日に発表した2022年の「医療事故情報収集等事業」の年報から明らかになりました(機構のサイトはこちら)(2021年の状況に関する記事はこちら、2020年の状況に関する記事はこちら、2019年の状況に関する記事はこちら、2018年の状況に関する記事はこちら、2017年の状況に関する記事はこちら、2016年の状況に関する記事はこちら)。

事故、ヒヤリ・ハット事例について「再発防止策」(患者間違いの防止、ダブルチェックの在り方など)が詳細に検討されており、各医療機関でも参考にしていくことが強く期待されます。

2022年の医療事故、死亡事例はじめとする重度化傾向が伺える

日本医療機能評価機構では、医療安全の確保に向け、医療機関で発生した医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったがヒヤリとした、ハッとした事例)を収集・分析する「医療事故情報収集等事業」を実施し、定期的にその内容を公表しています。

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昨年(2022年)に報告された医療事故の状況を見てみると、件数は合計5313件で、前年から2.0%減少しました。

事故全体を程度別に見ると、「死亡」が425件(事故事例の8.0%、前年比べて0.2ポイント増)、「障害残存の可能性が高い」ものが545件(同10.3%、同0.8ポイント増)、「障害残存の可能性が低い」ものが1524件(同28.7%、同1.2ポイント増)、「障害残存の可能性なし」が1470件(同27.7%、同2.9ポイント増)などとなっています。死亡事故をはじめとする重大な事故が増加してきている点が懸念されます。中長期的に動向を見ていく必要があるでしょう。

医療事故の概要を見てみると、最も多いのは「治療・処置」で1724件(事故全体の32.4%、前年から1.4ポイント減少)。次いで「療養上の世話」の1653件(事故全体の31.1%、前年から0.7ポイント増)、「薬剤」の415件(同7.9%、同0.2ポイント減)、「ドレーン・チューブ」の410件(同7.7%、同0.1ポイント増)などと続きます。前年・前々年に続き「治療・処置」に関する事故の増加が目立ち、コロナ感染症との関連を今後分析していく必要があるでしょう。

2022年における医療事故の概要(2022年医療事故年報1 230629)

2022年における医療事故の程度(2022年医療事故年報2 230629)



事故に関連した診療科(複数回答が可能)を見ると、これまでと同様に整形外科が最も多い状況に変わりはありませんが、そのシェアは10.5%で前年から0.2ポイント減(前年は前々年に比べ1.2ポイント減、その前年・前々年は0.5ポイントづつ減)となりました。コロナ感染症の影響で「患者の疾患構成が大きく変化している」可能性があります。患者調査などの動向と比較分析することも有用でしょう(関連記事はこちら)。

このほか、▼外科の7.9%(前年度から0.4ポイント増)▼循環器内科の6.9%(同0.1ポイント減)▼消化器科の6.8%(同0.5ポイント減)▼内科の6.7%(同0.4ポイント減)—などで多くなっています。上位診療科の顔ぶれは変わりませんが、順位が入れ替わっており、ここにも長引くコロナ感染症が影響していそうです。

ヒヤリ・ハット事例は100万件超、報告件数増は「医療現場の透明性確保」を意味する

次にヒヤリ・ハット事例を見てみましょう。昨年(2022年)1年間に報告されたヒヤリ・ハット事例は合計101万8480件で、前年に比べて0.7%の微増となりました。報告件数の増加は、「ミスの増加」よりも「ミスを医療現場で適切に把握し、包み隠さずに報告している」ことを意味すると言えます。つまり「透明性が増している」と考えられ、報告件数の増加は「好ましい」方向に動いていると考えるべきでしょう。

内訳を見ると、「薬剤」が最も多く32万3267件(ヒヤリ・ハット事例全体の31.7%、前年に比べて0.1ポイント減)、次いで「療養上の世話」22万3186件(同21.9%、同0.1ポイント増)、「ドレーン・チューブ」14万8947件(同14.6%、同0.1ポイント減)などで多くなっています。前年と比べて大きな変化はなさそうです。

「ヒヤリとした、ハットした」にとどまり、実際に患者に誤った行為などをしていないケースが全体の約3分の1に当たる36万2325件あります。これらについて、「仮に誤った行為を実施してしまった」場合の影響を推測すると、「死亡」もしくは「重篤な状況」に至ったであろう重大なミスは3979件・1.1%(前年から0.3ポイント減)、「濃厚な処置・治療が必要になった」と思われる中程度のミスは2万6917件・7.4%(同0.6ポイント増)となっています。大きなミスが増加している可能性もあり、「十分な注意」「1人がミスをしても他者が気づき、リカバリーできる体制づくり」などの重要性がさらに増していくと考えられます。

2022年におけるヒヤリ・ハット事例の状況(2022年医療事故年報3 230629)



なお、年報では具体的な医療事故をクローズアップして背景など分析。再発防止策などを提言しています。2022年報では、▼患者間違いに関連した事例▼ダブルチェックに関連した事例▼離床センサーが電源の入れ忘れや使用方法の間違いにより作動しなかった事例▼シリンジポンプの単位の選択に関連した事例—を取り上げています。

このうち「ダブルチェック」については、第72回・73回報告書で詳しく分析されており、例えば「ダブルチェックにより、かえって1人1人の責任感が低下してしまう」点などに留意すべき旨が強く提言されています(関連記事はこちらこちら)。

また「患者間違い」に関しては、「手元の情報(検査予定者一覧など)と患者氏名等とを確認する」ことの重要性を強く訴えています(関連記事はこちら)。患者Aさんが、看護スタッフ等から「Bさんですか?」と問われた「はい」と返答してしまうケースは珍しくありません。「確認」とは「原本との照合」を意味する点を認識する必要があります。



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