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GemMed塾 大学病院本院群を取り巻く現況を解説 ~昨今の特定病院群・標準病院群の経営努力とは~

シーネやNPPV用マスク等の着用による「医療関連機器圧迫創傷」(MDRPU)が多発!定期的な装着部位観察を!―医療機能評価機構

2022.11.16.(水)

シーネやNPPV用マスク等の着用により、「医療関連機器圧迫創傷」(MDRPU)が多発している—。

日本医療機能評価機構が11月15日に公表した「医療安全情報 No.192」から、こうした事例(医療事故)が2018年1月1日から今年(2022年)9月末までの間に「80件」も報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。

MDRPU、シーネや血管留置針、NPPV用マスクなどで特に多い

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2022)年4―6月を対象とした第70回報告書に関する記事はこちら、昨年(2021年)1年間を対象とした2021年報に関する記事はこちら)。

さらに事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月ピックアップ。簡潔に整理し「医療安全情報」として公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。

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ガーゼの体内残存2
ガーゼの体内残存1



11月15日に公表された「医療安全情報No.192」では、「医療関連機器により皮膚が圧迫され、創傷を生じさせてしまった」事例がテーマとなりました。

ある病院に、大腿骨顆上骨折のため「大腿部から踵部をシーネで固定され」た患者が入院しました。シーネは医師の処置時にのみ外すため、看護師は定期的な皮膚の観察ができませんでした。入院から5日目に、」手術のため医師がシーネを外した際「右踵部に創傷がある」ことを発見し、ドレッシング材で保護しました。術後の確認で、右踵部に「浸出液」と「黒色壊死」が認められまし。



また別の病院では、患者の入院時に、看護師が「NPPV(非侵襲的陽圧換気)用マスクを装着するにあたり、鼻背部、両頬部にドレッシング材を貼付」しました。あわせてリーク(エア漏れ)がないようにマスクを密着させていました。入院4日目の口腔ケアの際、看護師がドレッシング材を除去すると鼻背部に発赤が 認められましたが、ドレッシング材を交換してマスクの装着を継続しました。しかし、入院6日目には、鼻背部から右頬部にかけて「浸出液」が認められ、「皮膚壊死」が生じていることが分かりました。



このような「医療関連機器により皮膚が圧迫され、創傷を生じさせてしまう」事故が、2018年1月から本年(2022年)9月までに「80件」も報告されています。内訳をみると、▼シーネ:12件▼血管留置針:12件▼NPPV用マスク:10件▼気管切開チューブ(固定用紐を含む):6件▼胃管・イレウス管:5件▼弾性ストッキング:4件▼ミトン4件▼手術用体位固定具3件—などが多くなっています。

医療関連機器により皮膚が圧迫されていた
部位に創傷を生じた事故が多発している(医療安全情報192 221115)



事故防止のために、機構では、例えば▼シーネやNPPV用マスクなどを固定・装着することにより、血流が止まり組織が壊死する(医療関連機器圧迫創傷:MDRPU)可能性のあることを、医療関係者全員に改めて周知する▼医療関連機器で圧迫されている可能性がある部位について、「具体的な症状の有無の把握」と「皮膚の観察」を定期的に実施する▼医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)が発生するリスクをアセスメントして、必要時は皮膚科医や皮膚・排泄ケア認定看護師に相談する―ことなどを推奨しています。これらを参考に「自院にマッチしたルール(手順)を構築し、実際に取り組む」ことが重要です。



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