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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

血管拡張のために温めたタオルを使用する際、「患者に熱傷」を負わせてしまう医療事故が頻発―医療機能評価機構

2022.8.15.(月)

静脈穿刺前の血管拡張や温罨法のため「温めたタオル」を使用した際、患者に熱傷を負わせてしまった―。

日本医療機能評価機構が8月15日に公表した「医療安全情報 No.189」から、こうした事例(医療事故)が2018年1月1日から今年(2022年)6月末までの間に「16件」も報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちらこちら)。

温めたタオルで患者に熱傷を負わせてしまう事故(医療安全情報189 220815)

熱いタオルが直接患者に触れないにする、温めた部位を5分毎に確認するなどの工夫を

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2022)年1―3月を対象とした第69回報告書に関する記事はこちら)。

また事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)をピックアップ。その内容を簡潔に整理し「医療安全情報」として毎月公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。

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ガーゼの体内残存2
ガーゼの体内残存1



8月15日に公表された「医療安全情報No.189」では、「温めたタオルによる熱傷」事例がテーマとなりました。

ある病院で、看護師が「血管確保が困難な患者の静脈留置針を刺し替える」際に、「温めたタオルで血管を拡張させよう」と考えました。保温庫で温められたタオルを取り出し、看護師自身が前腕内側で熱さを確認し、患者の穿刺部位に直接当てました。その後、他患者のナースコール対応のためその場を離れ、皮膚の観察を行いませんでした。20分後にタオルを外すと「熱傷」を来していました。



また、別の病院では、看護師が採血の際に「温罨法を実施して血管を拡張させよう」と考え、タオルを濡らし電子レンジで温めました。患者の右前腕に袋に入れたタオルを当て、熱くないことを患者に確認した。20分後、タオルを当てていた部位が赤くなっていましたが、看護師は「温めた直後であり問題ない」と思ってしまいました。2時間後、次の勤務帯の看護師が患者の皮膚を観察した際に、右前腕の発赤と腫脹に気付き「1度の熱傷」と診断されました。



こうした事故事例は2018年1月から今年(2022年)6月の間に「16例」も生じています。事故事例の背景を探ると、▼タオルの当て方に問題あり(温めたタオルを皮膚に直接当てた、温めたタオルをビニール袋に入れ、皮膚に直接当てた)▼観察不足(過去の「15分ほど経過するとタオルが冷めていた」経験から、タオルを当てた部位の観察を行っていなかった、多忙で皮膚観察ができなかった)▼アセスメント不足(患者の皮膚は脆弱であったが、熱傷の危険性を考えていなかった)▼手順の不備(血管拡張のために温めたタオルを使用する際の院内ルールがなかった)—ことなどが浮上しています。

事故防止のために、機構では、例えば▼患者の皮膚に温めたタオルが直接当たらないよう「カバー」や「別のタオル」で包む▼温罨法を実施している際は、定期的(5分毎など)に温めている部位を観察する—ことを推奨しています。これらを参考に「自院にマッチしたルール(手順)を構築していく」ことが重要です。



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