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固定用バルーンに生理食塩液を多量注入したためバルーンが破裂し、膀胱内の異物除去が必要になる事故が散発―医療機能評価機構

2022.9.16.(金)

膀胱留置カテーテルの構造を十分に理解せず、固定用バルーンに多量の生理食塩液を注入したため「バルーンが破裂」し、「膀胱内の異物(破裂したバルーンの断片)除去」が必要になった—。

日本医療機能評価機構が9月15日に公表した「医療安全情報 No.190」から、こうした事例(医療事故)が2019年1月1日から今年(2022年)7月末までの間に4件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちらこちら)。

膀胱留置カテーテルの構造を十分に理解せず、固定用バルーンに多量の生理食塩液を注入したため「バルーンが破裂」し、「膀胱内の異物(破裂したバルーンの断片)除去」が必要になった事故が散発している(医療安全情報190 220915)

「初めて経験する処置」「手技を十分理解していない処置」は、指導者の教育下で実施を

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2022)年1―3月を対象とした第69回報告書に関する記事はこちら)。

さらに事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月、ピックアップ。その内容を簡潔に整理し「医療安全情報」として公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。

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ガーゼの体内残存2
ガーゼの体内残存1



9月15日に公表された「医療安全情報No.190」では、「膀胱留置カテーテルの接続口の選択間違い」事例がテーマとなりました。

ある病院で、医師から看護師へ「膀胱洗浄」の指示がありました。2年目の看護師Aは膀胱洗浄未経験であったため先輩看護師Bに口頭で手順を確認し、「1人で行う」ことにしました。看護師Aは、生理食塩液を「カテーテルチップ型シリンジ」ではなく、「通常の注射器」に準備。50mL注入したところパンという破裂音がしたと同時に患者が「痛い」と言った。その際、看護師Cが訪室し、看護師Aが「バルーン注入口から生理食塩液を注入していた」ことに気付きました。医師へ報告し膀胱留置カテーテルを抜去したところ、バルーンが破損していることが分かり、その後に膀胱鏡でバルーンの破片を回収しています。



また別の病院では、医師が患者に腹部エコー検査を行う際、膀胱内を充満させるため膀胱留置カテーテルから生理食塩液を注入することにしました。医師は「カテーテルチップ型シリンジ」ではなく、「通常の注射器」に生理食塩液を準備しました。膀胱留置カテーテルのバルーン注入口から生理食塩液を合計80mL注入して検査を実施。その後、看護師が患者の膀胱留置カテーテルが抜けていることに気付きました。バルーンは膨らんでおらず一部が欠損していたため、膀胱鏡でバルーンの破片を回収しています。



膀胱留置カテーテルの構造を理解せず、固定用バルーンに多量の生理食塩液を注入したためバルーンが破裂した事故で、こうした事故事例は2019年1月から今年(2022年)7月までの間に4例報告されています。

事故防止のために、機構では、例えば▼膀胱留置カテーテルの構造や実施する処置の意味を理解する▼「初めて経験する処置」「手技を十分理解していない処置」については、必要物品や手順を確認し「指導者の教育のもと実施」する—ことなどを推奨しています。これらを参考に「自院にマッチしたルール(手順)を構築していく」ことが重要です。



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