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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

複数薬剤をシリンジポンプで投与中に注射器交換を誤り、「別の薬剤」を投与してしまう重大事故が散発—医療機能評価機構

2024.8.16.(金)

複数の薬剤をシリンジポンプで投与中、注射器の交換を誤り、「別の薬剤」の注射器を接続して投与してしまった—。

日本医療機能評価機構が8月15日に公表した「医療安全情報 No.213」から、こうした事例(医療事故)が2020年1月1日から本年(2024年)6月末までの間に7件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。

「シリンジポンプの注射器交換」においては、薬剤名の照合徹底を

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2024)年1―3月を対象とした第76回報告書に関する記事はこちら)。

さらに事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月ピックアップ。簡潔に整理し「医療安全情報」として公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。

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8月15日に公表された「医療安全情報No.213」では、「複数の薬剤をシリンジポンプで投与中、注射器の交換を誤り、別の薬剤の注射器を接続して投与してしまった」事例がテーマに取り上げられました。

ある病院では、患者の苦痛を緩和する目的で催眠鎮静剤の「ミダゾラム調製液」と「モルヒネ塩酸塩調製液」をそれぞれシリンジポンプで持続投与していました。モルヒネ塩酸塩調製液のシリンジポンプの残量アラームが鳴った際、看護師は「ミダゾラム調製液のアラームだ」と思い込んでしました。あわせて、患者のリストバンドと交換する注射器のラベルをバーコード認証したところ、電子カルテ画面に患者にオーダされた薬剤であることを示す「○」が表示されたため「正しい」と思ったといいます。しかし注射器を交換する際、看護師は「空の注射器のラベル」と「交換する注射器のラベル」の薬剤名を照合しませんでした。また、シリンジポンプに貼付している「モルヒネ塩酸塩」のラベルも見ないまま、ミダゾラム調製液の注射器をセットして投与を開始。その後、「2台のシリンジポンプでミダゾラム調製液を投与していた」ことがわかりました。



また別の病院では、手術中、患者に全身麻酔用鎮痛剤の「レミフェンタニル調製液」と、麻酔中の血圧維持・上昇のための「ノルアドレナリン調製液」をそれぞれシリンジポンプで持続投与していました。「レミフェンタニル調製液」の注射器を交換する際、麻酔科医師は薬剤名を確認せず、思い込みで「ノルアドレナリン調製液」の注射器をセットし、投与を開始しました。その後、血圧が上昇したためシリンジポンプを確認したところ「2台のシリンジポンプでノルアドレナリン調製液を投与」していたことがわかりまいた。

複数の薬剤をシリンジポンプで投与中、注射器の交換を誤り、別の薬剤の注射器を接続して投与してしまう事例が散発している(医療安全情報213 240815)



述べるまでもなく、一歩間違えば生命に危険が生じかねない重大事故です。機構では「シリンジポンプの注射器を交換する際は、空になった注射器のラベルやシリンジポンプに貼付しているラベルと、交換する注射器のラベルの 薬剤名を照合する」などの基本的な取り組みを徹底するよう提案しています。こうした提案も参考に、各医療機関において、自院にマッチした対策を早急に立て、また全スタッフに周知し、全スタッフが院内ルールを遵守する環境を整えることが重要です。



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