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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

「開放」式の三方活栓を、「閉鎖」式の三方活栓と同様に取り扱い、輸液ラインから出血等が生じる事故散発—医療機能評価機構

2024.9.17.(火)

開放式の三方活栓を、閉鎖式の三方活栓と同様に取り扱ったため、輸液ラインから出血や薬液漏れが起きてしまった—。

日本医療機能評価機構が9月17日に公表した「医療安全情報 No.214」から、こうした事例(医療事故)が2020年1月1日から本年(2024年)7月末までの間に7件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。

部署・病棟で使用している三方活栓や輸液ルートの種類を院内に周知せよ

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2024)年1―3月を対象とした第76回報告書に関する記事はこちら)。

さらに事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月ピックアップ。簡潔に整理し「医療安全情報」として公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。

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薬剤の投与経路を誤る事例
医療関連機器圧迫創傷」(MDRPU)を生じさせてしまう事例
手術時に誤って高濃度のアドレナリンを局所注射してしまう事例
静脈穿刺前の血管拡張や温罨法のため「温めたタオル」を使用した際、患者に熱傷を負わせてしまった事例



9月17日に公表された「医療安全情報No.214」では、「開放式の三方活栓を、閉鎖式の三方活栓と同様に取り扱ったため、輸液ラインから出血や薬液漏れが起きた」事例がテーマに取り上げられました。

ある病院では、▼手術室においては「開放」式の三方活栓を▼病棟においては「閉鎖」式の三方活栓を—使うことになっていました。患者が手術室から帰室した際、病棟看護師は「開放」式の三方活栓のうち一つを「閉鎖」式に変更し忘れてしまいました。患者の末梢静脈ラインの側管からの抗生剤投与が終了し、側管のラインを外す際、看護師は「三方活栓を閉鎖式である」と思い込み、コックの向きを開放にしたままキャップをせず退室してしまいました。その後、訪室したところ、三方活栓から血液が大量に流出しており、血圧が90mmHg台にまで低下していました。



また別の病院では、院内で決められている中心静脈ラインは「閉鎖」式でしたが、今回は別のルートが組まれ「開放」式の三方活栓が付いていました。患者の中心静脈ラインの側管からのアルブミン製剤投与が終了したため、看護師は側管のラインを外しました。その際「三方活栓を閉鎖式である」と思い込み、コックの向きを開放にしたままキャップをせず退室。その後、訪室した際、患者の寝衣が濡れており、三方活栓から輸液が漏れていることに気付きました。

「開放」式の三方活栓を、「閉鎖」式の三方活栓と同様に取り扱い、輸液ラインから出血等が生じる事故散発(医療安全情報214 240917)



述べるまでもなく、一歩間違えば生命に危険が生じかねない重大事故です。機構では▼輸液ラインや注射器を外す際は「三方活栓が開放されていない」ことを確認する▼部署・病棟で使用している三方活栓や輸液ルートの種類を院内に周知する—よう提案しています。こうした提案も参考に、各医療機関において、自院にマッチした対策を早急に立て、また全スタッフに周知し、全スタッフが院内ルールを遵守する環境を整えることが重要です。



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