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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

「食事中止」患者に食事摂取時と同量のインスリンを投与し、低血糖を来してしまう医療事故散発—医療機能評価機構

2024.10.16.(水)

「食事が中止」となった患者に食事摂取時と同じ量のインスリンを投与し、低血糖を来してしまった—。

日本医療機能評価機構が10月15日に公表した「医療安全情報 No.215」から、こうした事例(医療事故)が2016年1月1日から本年(2024年)8月末までの間に7件報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。

食事中止時は「インスリンの投与に関する情報を医療者間で共有」し、患者にも説明を

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2024)年4―6月を対象とした第76回報告書に関する記事はこちら)。

さらに事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月ピックアップ。簡潔に整理し「医療安全情報」として公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。

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薬剤の投与経路を誤る事例
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手術時に誤って高濃度のアドレナリンを局所注射してしまう事例
静脈穿刺前の血管拡張や温罨法のため「温めたタオル」を使用した際、患者に熱傷を負わせてしまった事例



10月15日に公表された「医療安全情報No.215」では、「食事中止時のインスリン投与による低血糖」事例がテーマに取り上げられました。

ある病院の外科に入院中の患者に、糖尿病内科の指示で、超速効型インスリンアナログ製剤の「ノボラピッド注」を朝20単位-昼10単位-夕10単位投与していました。午後に造影CT検査が予定されており「昼食中止の指示」が出ましたが、「インスリン中止の指示」は出ていませんでした。看護師は昼分のノボラピッド注10単位を投与したところ、患者に冷汗、振戦が出現し、血糖値を測定すると60mg/dLに低下していました。



また別の病院では、ある患者に「朝から食事中止の指示」が出ていました。看護師は昼の血糖値を測定し、指示書の超速効型インスリンアナログ製剤「ヒューマログ注ミリオペン9単位投与」の記載を見て、患者にヒューマログ注を投与しました。その後、記録の際に再度指示書を確認したところ、「食事中止時ヒューマログ注スキップ」の記載に気付きました。患者の血糖値を測定すると55mg/dLに低下していました。

「食事中止時のインスリン投与による低血糖」事故(医療安全情報215 241015)



これらも述べるまでもなく、一歩間違えば生命に危険が生じかねない重大事故です。機構では▼医師は「患者の食事の指示に合ったインスリンの指示」を出す▼看護師は、「患者の食事中止時はインスリンの指示が変更される」可能性を考慮し、指示を確認する▼食事中止時は「インスリンの投与に関する情報を医療者間で共有」し、患者にも説明する—よう提案しています。こうした提案も参考に、各医療機関において、自院にマッチした対策を早急に立て、また全スタッフに周知し、全スタッフが院内ルールを遵守する環境を整えることが重要です。



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