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「転移、再発、HER2陰性の術後薬物療法適応」の乳がん、血液・腫瘍細胞の双方検体でBRCA遺伝子変異検出検査可能に—厚労省

2025.1.6.(月)

「転移性、再発もしくはHER2陰性の術後薬物療法の適応となる乳がん患者」について、抗がん剤選択のためのBRCA1/2遺伝子変異検査は、これまで「血液」検体のみが認められていたが、「腫瘍細胞」を検体とする検査も保険診療の中で実施可能とする—。

D285【認知機能検査その他の心理検査】の「1 操作が容易なもの」の「イ 簡易なもの」について、新たに「神経心理検査用プログラム(視線の情報を連続的に収集し神経心理検査を行うもの)を用いる検査」を追加する—。

厚生労働省は12月27日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』等の一部改正について」を発出し、こうした点を明確にしました。1月1日から適用されています。

転移性乳がん患者等、腫瘍細胞・血液の双方をもとにBRCA1/2遺伝子変異の評価可能に

今回、改正が行われたのは、2024年度診療報酬改定に関する次の3本の通知です。
(1)診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(3月5日付、保医発0305第4号)
(2)特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について(3月5日付、保医発0305第8号)
(3)特定保険医療材料の定義について(3月5日付、保医発0305第12号)



このうち(1)の「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」は、診療報酬点数を算定する際の細かなルール(どういった医療行為を行えば点数算定ができるのか、どういった診療ガイドラインに従わなければならないのか、どの点数と併算定が可能なのかなど)を規定する通知です。

今般、次の2点の診療報酬項目について見直しが行われています。
(a)D006-18【BRCA1/2遺伝子検査】
(b)D285【認知機能検査その他の心理検査】

まず(a)のD006-18【BRCA1/2遺伝子検査】については、次のような点数算定ルールが設けられています。

(i)「1 腫瘍細胞を検体とするもの」(2万200点)
▽対象患者・検体
→▼初発の進行卵巣がん患者▼転移性去勢抵抗性前立腺がん患者—の腫瘍細胞

▽検査方法
→次世代シーケンシング

▽検査目的
→抗悪性腫瘍剤による治療法の選択

▽点数算定に必要な診療行為等
→BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子の変異の評価

(ii)「2 血液を検体とするもの」(2万200点)
▽対象患者・検体
→▼転移性、再発もしくはHER2陰性の術後薬物療法の適応となる乳がん患者▼初発の進行卵巣がん患者▼治癒切除不能な膵がん患者▼転移性去勢抵抗性前立腺がん患者▼遺伝性乳がん卵巣がん症候群( HBOC )が疑われる乳がんもしくは卵巣がん患者—の血液

▽検査方法
→PCR法等

▽検査目的
→抗悪性腫瘍剤による治療法の選択、または遺伝性乳がん卵巣がん症候群の診断

▽点数算定に必要な診療行為等
→BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子の変異の評価

▽その他の留意事項
→遺伝性乳がん卵巣がん症候群の診断を目的として当該検査を実施するに当たっては、関係学会による「遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC) 診療の手引き2021年版」を参照する
→その医療上の必要性についてレセプトの摘要欄に記載する



今般、上記(i)の対象患者について、新たに「転移性、再発もしくはHER2陰性の術後薬物療法の適応となる乳がん患者」(検体は腫瘍細胞)が追加されました。この結果、上記(i)の算定ルールは次のようになっています。「転移性、再発もしくはHER2陰性の術後薬物療法の適応となる乳がん患者」では、腫瘍細胞・血液のいずれを用いても「BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子変異」を評価し、適切な抗がん剤等の選択が可能となります(関連記事はこちら)。

(i)「1 腫瘍細胞を検体とするもの」(2万200点)
▽対象患者・検体
→▼初発の進行卵巣がん患者▼転移性去勢抵抗性前立腺がん患者▼転移性、再発もしくはHER2陰性の術後薬物療法の適応となる乳がん患者—の腫瘍細胞

▽検査方法
→次世代シーケンシング

▽検査目的
→抗悪性腫瘍剤による治療法の選択

▽点数算定に必要な診療行為等
→BRCA1遺伝子およびBRCA2遺伝子の変異の評価

認知機能検査の簡易なものに、神経心理検査用プログラム検査を追加

また(b)のD285【認知機能検査その他の心理検査】は、次のように区分され、同一日に複数の検査を行った場合でも「主たるもの1種類のみの所定点数」算定が認められます。
1 操作が容易なもの
イ 簡易なもの:80点
ロ その他のもの:80点
2 操作が複雑なもの:280点
3 操作と処理が極めて複雑なもの:450点

さらに、次のような複雑な点数算定ルールが設けられています。

(i)検査は「個人検査用として標準化され、かつ、確立された検査方法」により行う

(ii)各区分は次のように定義される
「1 操作が容易なもの」:検査および結果処理に概ね40分以上を要するもの
「2 操作が複雑なもの」:検査および結果処理に概ね1時間以上を要するもの
「3 操作と処理が極めて複雑なもの」:検査および結果処理に1時間30分以上要するもの
「1」の「イ 簡易なもの」とは、主に疾患(疑いを含む)の早期発見を目的とするものをいうであり、
→なお、臨床心理・神経心理検査は、医師が自ら、または医師の指示により他の従事者が自 施設において検査および結果処理を行い、かつ、その結果に基づき医師が自ら結果を分析し た場合にのみ算定する

(iii)医師は診療録に分析結果を記載する

(iv)D283【発達及び知能検査】の「1 操作が容易なもの」は、津守式乳幼児精神発達検査、牛島乳幼児簡易検査、日本版ミラー幼児発達スクリーニング検査、遠城寺式乳幼児分析的発達検査、デンバー式発達スクリーニング、DAMグッドイナフ人物画知能検査、フロスティッグ視知覚発達検査、脳研式知能検査、コース立方体組み合わせテスト、レーヴン色彩マトリックスおよびJARTをいう

(v)D283【発達及び知能検査】の「2 操作が複雑なもの」は、MCCベビーテスト、PBTピクチュア・ブロック知能検査、新版K式発達検査、WPPSI知能診断検査、WPPSI-III知能診断検査、田中ビネー知能検査V、鈴木ビネー式知能検査、WAIS-R成人知能検査(WAISを含む)、大脇式盲人用知能検査、ベイリー発達検査およびVineland-II日本版をいう

(vi)D283【発達及び知能検査】の「3 操作と処理が極めて複雑なもの」は、WISC-III知能検査、WISC-IV知能検査、WISC-V知能検査、WAIS-III成人知能検査またはWAIS-IV成人知能検査をいう

(vii)D284【人格検査】の「1 操作が容易なもの」は、パーソナリティイベントリー、モーズレイ性格検査、Y-G矢田部ギルフォード性格検査、TEG-II東大式エゴグラム、新版TEG、新版TEGIIおよびTEG3をいう

(viii)D284【人格検査】の「2 操作が複雑なもの」は、バウムテスト、SCT、P-Fスタディ、MMPI、MMPI-3、TPI、EPPS性格検査、16P-F人格検査、描画テスト、ゾンディーテストおよびPILテストをいう

(ix)D284【人格検査】の「3 操作と処理が極めて複雑なもの」は、ロールシャッハテスト、CAPS、TAT絵画統覚検査およびCAT幼児児童用絵画統覚検査をいう

(x)D285【認知機能検査その他の心理検査】の「1」の「イ 簡易なもの」は、MAS不安尺度、MEDE多面的初期認知症判定検査、AQ日本語版、日本語版LSAS-J、M-CHAT、長谷川式知能評価スケールおよびMMSEをいう
同じく「ロ その他のもの」は、CAS不安測定検査、SDSうつ性自己評価尺度、CES-Dうつ病(抑うつ状態)自己評価尺度、HDRSハミルトンうつ病症状評価尺度、STAI状態・特性不安検査、POMS、POMS2、IES-R、PDS、TK式診断的新親子関係検査、CMI健康調査票、GHQ精神健康評価票、ブルドン抹消検査、WHOQOL26、COGNISTA、SIB、Coghealth(医師、看護師または公認心理師が検査に立ち会った場合に限る)、NPI、BEHAVE-AD、音読検査(特異的読字障害を対象にしたものに限る)、WURS、MCMI-II、MOCI邦訳版、DES-II、EAT-26、STAI-C状態・特性不安検査(児童用)、DSRS-C、前頭葉評価バッテリー、ストループテスト、MoCA-JおよびClinical Dementia Rating(CDR)をいう

(xi)D285【認知機能検査その他の心理検査】の「1」の「イ」は、原則として3か月に1回に限り算定する
→医学的な必要性から3か月以内に2回以上算定する場合には、レセプトの摘要欄にその理由および医学的根拠を詳細に記載する

(xii)D285【認知機能検査その他の心理検査】の「2」は、ベントン視覚記銘検査、内田クレペリン精神検査、三宅式記銘力検査、標準言語性対連合学習検査(S-PA)、ベンダーゲシュタルトテスト、WCSTウイスコンシン・カード分類検査、SCID構造化面接法、遂行機能障害症候群の行動評価(BADS)、リバーミード行動記憶検査および及びRay-Osterrieth Complexz Figure Test(ROCFT)をいう

(xiii)D285【認知機能検査その他の心理検査】の「3操作と処理が極めて複雑なもの」は、ITPA、標準失語症検査、標準失語症検査補助テスト、標準高次動作性検査、標準高次視知覚検査、標準注意検査法・標準意欲評価法、WAB失語症検査、老研版失語症検査、K-ABC、K-ABCII、WMS-R、ADAS、DN-CAS認知評価システム、小児自閉症評定尺度、発達障害の要支援度評価尺度(MSPA)、親面接式自閉スペクトラム症評定尺度改訂版(PARS-TR)および子ども版解離評価表をいう

(xiv)国立精研式認知症スクリーニングテストの費用は基本診療料に含まれており、別に算定できない

(xv)2019年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者は、公認心理師とみなす。
ア 2019年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者
イ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者



今般、このうち(x)のうちD285【認知機能検査その他の心理検査】の「1」の「イ 簡易なもの」に、新たに「神経心理検査用プログラム(視線の情報を連続的に収集し神経心理検査を行うもの)を用いる検査」が追加されました。この結果、上記(x)のルールは次のようになっています。認知機能検査等の幅が広がっています。

(x)D285【認知機能検査その他の心理検査】の「1」の「イ 簡易なもの」は、MAS不安尺度、MEDE多面的初期認知症判定検査、AQ日本語版、日本語版LSAS-J、M-CHAT、長谷川式知能評価スケール、MMSE、および神経心理検査用プログラム(視線の情報を連続的に収集し神経心理検査を行うもの)を用いる検査をいう
同じく「ロ その他のもの」は、CAS不安測定検査、SDSうつ性自己評価尺度、CES-Dうつ病(抑うつ状態)自己評価尺度、HDRSハミルトンうつ病症状評価尺度、STAI状態・特性不安検査、POMS、POMS2、IES-R、PDS、TK式診断的新親子関係検査、CMI健康調査票、GHQ精神健康評価票、ブルドン抹消検査、WHOQOL26、COGNISTA、SIB、Coghealth(医師、看護師または公認心理師が検査に立ち会った場合に限る)、NPI、BEHAVE-AD、音読検査(特異的読字障害を対象にしたものに限る)、WURS、MCMI-II、MOCI邦訳版、DES-II、EAT-26、STAI-C状態・特性不安検査(児童用)、DSRS-C、前頭葉評価バッテリー、ストループテスト、MoCA-JおよびClinical Dementia Rating(CDR)をいう



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