中心静脈留置カテーテル使用時に空気塞栓が生じる医療事故が散発、「コネクタの誤使用」「不適切な抜去」等に留意せよ—PMDA
2025.2.5.(水)
中心静脈留置カテーテル使用時に空気塞栓が生じる医療事故が散発しており、「コネクタの誤使用」「不適切な抜去」等に留意する必要がある—。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)が2月56日に、「PMDA医療安全情報No.71(中心静脈に留置するカテーテル使用時の空気塞栓事例について)」を公表し、こうした点を行いました(PMDAのサイトはこちら)。
各医療機関において、こうした情報も参考に「事故防止策」を構築・実施することが重要です。
閉鎖式コネクタ、「クランプしていない」「患者側から外れている」などの誤使用に留意を
中心静脈に留置するカテーテルを使用する際に「空気塞栓」が生じてしまう医療事故が従前より報告されています(関連記事はこちら)。
空気塞栓が発生しやすい場面としてPMDAは、(1)コネクタの誤使用(2)抜去時—の2場面をあげ、事故の再発防止に向けて、Q&A形式も取り入れて留意点を簡潔にまとめています。
まず(1)の「コネクタの誤使用」に関しては、「中心静脈カテーテルによる点滴終了時、誤って患者側の閉鎖式コネクタごとルートを外してしまい、ルートが大気に開放され空気塞栓が発生してしまった」事例が取り上げられました。
一般に、閉鎖式コネクタの使用により中心静脈ラインの大気開放リスクは低減できますが、▼クランプしていない▼閉鎖式コネクタが患者側から外れている—などの誤使用によって「ルートが大気に開放されてしまう→空気塞栓が発生してしまう」事態につながりかねません。閉鎖式コネクタを使用している場合であっても、接続を外す際には、患者側をクランプしていることや閉鎖式のコネクタがついていることを十分確認し、ルートが大気に開放されないよう注意する」よう呼びかけています。
また、閉鎖式コネクタを使用しない場合には「ルート取り外し時に保護栓を確実に閉めること」などへの留意が必要です。
PMDAでは、ほかに「閉鎖式コネクタと開放式コネクタの混在による誤認識」のリスクにも注意し、「院内で使用している物品を十分確認する」ことを医療現場に求めています。
「座位」での中心静脈留置カテーテル抜去では「空気を引き込みやすくなる」点に留意せよ
また、(2)の「抜去時」に関しては、▼透析用カテーテルを座位にて抜去したところ、SpO2が低下し意識消失した。頭部CT、MRI検査の結果、空気塞栓が認められた▼中心静脈カテーテルを抜去後ガーゼで圧迫保護を行っていたが、1時間後に患者の容態が急変した。レントゲン検査の結果、空気塞栓が認められた—事例を紹介。
あわせて、「座位」での抜去では「心臓との圧較差が大きく、刺入部の静脈圧が低くなるために空気を引き込みやすくなる」というメカニズムも解説しています。
PMDAは事故防止のために、▼内頚静脈、鎖骨下静脈に留置しているカテーテルを抜去する場合には、「頭低位で呼吸を止める」などにより、刺入部の静脈圧が高い状態で抜去することが望ましい▼カテーテルの抜去後は「呼吸の再開により空気が引き込まれる」ことのないよう、すぐ に「密閉性のドレッシング材」で被覆し、少なくとも5分以上圧迫する—などの対策を掲げました。
こうした提言等を十分に参考にして、各医療機関において、自院にマッチした対策を早急に立て、また全スタッフに周知し、全スタッフが院内ルールを遵守する環境を整えることが重要です。
【関連記事】