「オルツビーオ静注用」でインヒビター(血液凝固を妨げる抗体)発生報告、止血効果が得られない場合はインヒビター発生を疑え―PMDA
2025.3.11.(火)
血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制に用いる「オルツビーオ静注用」について、第VIII因子に対するインヒビター(血液凝固を妨げる抗体)発生が報告されている—。
本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合にはインヒビター発生を疑い、回収率やインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行ってほしい—。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は3月7日に、製薬メーカーからの適正使用等に関する情報提供として「オルツビーオ静注用に関する重要なお知らせ—市販後におけるインヒビター発生について—」を公表し、こうした点への注意を医療機関・薬局へ呼びかけました(PMDAのサイトはこちら)。
「オルツビーオ静注用」でインヒビター(血液凝固を妨げる抗体)発生報告
「オルツビーオ静注用250、同静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用3000、同静注用4000」(一般名:エフアネソクトコグ アルファ(遺伝子組換え))は、血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制に用いる薬剤です。
今般、2023年11月22日の販売開始から、この2月末(2025年2月28日)までの間に治療歴のある患者3名において「第VIII因子に対するインヒビター」(血液凝固を妨げる抗体)が発生したことが明らかにされました。
この点、臨床試験段階ではインヒビター発生は認められませんでしたが、▼本剤を用いた第VIII因子補充療法の際にインヒビターが発生する可能性がある▼インヒビターの発生により本剤)を投与しても出血抑制効果が得られず、出血の頻度や重症度、もしくはその両方が増す可能性がある—ため、すでに添付文書の【重要な基剤的注意】の項に次のような注意喚起が行われています。
▽患者の血中に血液凝固第VIII因子に対するインヒビターが発生するおそれがある
▽特に、血液凝固第VIII因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビターが発生しやすいことが知られている
▽本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合にはインヒビターの発生を疑い、回収率やインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行う
さらに今般、上記のようにインヒビター発生事例が報告されていることを重く見て、次のように改めての注意喚起を行いました。
▽添付文書の【その他の副作用】の項に「第VIII因子抑制」を追記する

オルツビーオ、インヒビター発生に留意を1
▽医薬品リスク管理計画書の安全性検討事項である「インヒビターの発生」について、【重要な潜在的リスク】から【重要な特定されたリスク】へ変更(格上げ)する

オルツビーオ、インヒビター発生に留意を2
医療機関・薬局におかれては、本剤使用において最大限の注意が必要です。
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