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2024年の救急搬送件数・救急搬送人員数は1963年の集計以来「最高」を記録、高齢者増・軽症者減の傾向が続く―総務省消防庁

2025.4.7.(月)

昨年(2024年)中の救急自動車による救急出動件数・搬送人員数は、前年(2020年)に1963年の集計以来「最高」を記録した—。

搬送された者の年齢区分を追いかけると「65歳以上高齢者」が増加を続け、また傷病の程度を追いかけると「外来診療で済む軽症者」は減少してきている。救急車の適正使用が進んでいる可能性が伺える—。

総務省消防庁がこのほど発表した2024年の「救急出動件数等(速報値)」から、こういった状況が明らかになりました(総務省消防庁のサイトはこちら)。

軽症者の割合はここ20年で減少し、救急車の「適正使用」が進んでいると考えられる

まず2024年中の「救急自動車による救急出動件数」をみると、は771万7123件でした。前年(2023年)に比べると7万8565件・1.0の増加となりました。

また、搬送された人員を見ると2024年は676万4838人で、前年(2023年)に比べて12万3418人・1.9%の増加となりました。

救急出動件数、救急搬送人員数のいずれも「集計を開始した1963年(昭和38年)以降、最多」となっています。

コロナ感染症流行の影響を除くために「5年ごと」に見てみると、救急搬送件数は▼2004年→2009年:1.9%増▼2009年→2014年:16.8%増▼2014年→2019年:10.9%増▼2019年→2024年:16.2%増—、救急搬送人員数は▼2004年→2009年:1.3%減▼2009年→2014年:15.4%増▼2014年→2019年:10.6%増▼2019年→2024年:13.2%増—となっており、概ね「大幅に増加している」ことが伺えます。

救急出動件数・救急搬送人員の推移(2024年救急出等件数等の速報値1 250328)



次に、2024年中の「救急自動車による搬送人員」について年齢区分別の割合を見ると、▼65歳以上の高齢者:63.3%▼18-64歳の成人:29.1%▼7-17歳の少年:3.4%▼生後28日-6歳の乳幼児:4.1%▼生後27日までの新生児:0.2%―となっています。

5年ごとの推移をみると、65歳以上の高齢者の割合は▼2004年:42.5% →(6.8ポイント増)→ ▼2009年:49.3% →(6.2ポイント増)→ ▼2014年:55.5% →(4.5ポイント増)→▼2019年:60.0%増 →(3.3ポイント増)→ ▼2024年:63.3%—と増加が続いています。後述するように、この割合は今後も高まることが予想されます。

年齢区分別の救急搬送人員(5年後と比較)(2024年救急出等件数等の速報値2 250328)



さらに、2024年中の「救急自動車による搬送人員」について傷病程度別に割合を見ると、▼外来診療で済む「軽症」:46.8%▼入院が必要な「中等症」:44.6%▼3週間以上の長期入院を要する「重症」:7.2%▼死亡:1.3%—という状況です。

5年ごとの推移をみると、「軽症」の割合は▼2004年:51.6% →(0.9ポイント減)→ ▼2009年:50.7% →(1.3ポイント減)→ ▼2014年:49.4% →(1.4ポイント減)→▼2019年:48.0%増 →(1.2ポイント減)→ ▼2024年:46.8%—と減少しています。

「軽症者はここ20年の間に減少してきている」ことが伺えます。この背景には、「救急車使用の適正化」(「軽症で119番をしない」「#7119等にまず相談する」など)が進んでいることがあるでしょう。

傷病程度別の救急搬送人員(5年後と比較)(2024年救急出等件数等の速報値3 250328)



もっとも今後の高齢者の増加により「さらなる救急搬送件数・人員数の増加」が予想され、「救急医療体制の逼迫」につながる可能性も高いと考えられます。

このため、例えば2024年度診療報酬改定では▼高齢で、比較的軽症の救急・急性期患者に対応する【地域包括医療病棟】の新設▼救急患者の地域包括ケア病棟受け入れ促進を目指した「初期加算の増点」(+80点)▼高次救急医療機関と地域医療機関との「平時からの連携+転院搬送」を評価する【救急患者連携搬送料】の新設▼急性期病棟での寝かせ切り防止を目指した【リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算】の新設—などの対応が図られました。将来を見据えた診療報酬改定であったと言えます。

さらに、新たな地域医療構想においても、軽症の高齢救急患者等を積極的に受け入れる「包括期」病床(地域包括ケア病棟や地域包括医療病棟などが想定される)の設置が行われています。

今後の救急搬送の動向を注視していく必要があります。



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