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退職自衛官の、人材不足深刻な「福祉・介護分野」への再就職支援の取り組みを強化—厚労省・防衛省

2025.4.17.(木)

退職自衛官について、人材不足が深刻な「福祉・介護分野」への再就職を支援する取り組みをこれまで以上に強化してほしい—。

厚生労働省と防衛省は4月4日に、通知「退職自衛官の再就職先の拡充を図るための都道府県福祉人材センターと自衛隊地方協力本部等との連携について」を発出し、こうした点を都道府県に依頼しました(防衛省サイトはこちら)。

少子高齢化の進展に伴い「福祉・介護人材の確保」が急務

2022年度から、人口の大きなボリュームゾーンを占める団塊世代が75歳以上の後期高齢者となりはじめ、今年度(2025年度)には全員が後期高齢者となります。後期高齢者は若い世代に比べて、「傷病の罹患率が高く、1治療当たりの日数が非常に長くなる、要介護状態に陥りやすくなる」ため、今後、医療・介護ニーズが急速に高まっていきます(関連記事はこちら(2023年度の市町村国保医療費は平均40万2157であるのに対し、後期高齢者では93万1637円)。

一方、支え手となる現役世代人口は2025年度から2040年度にかけて急速に減少していきます(関連記事はこちら

「減少する一方の支え手」で「増加する一方の高齢者」を支えなければならず、「医療・介護人材の確保」が極めて重大で、かつ喫緊の課題となっています(関連記事はこちらこちらこちら(人材確保の推計))。

介護職員の必要数1(第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数1 240712)



こうした中で今般、厚労省と防衛省は「退職自衛官の福祉・介護分野への再就職」を更に推進する方針を明確化しました。

自衛隊では、若年定年制(50歳半ば以降での退職)・任期制(20-30歳の半ばでの退職)を採用しており、退職自衛官の再就職先の1つとして「福祉・介護分野」が選択されるケースも少なくありません。また、福祉・介護分野において有用な「介護福祉士」「介護職員初任者研修修了」などの資格取得に向けた取り組みも自衛隊において行われています。

退職自衛官の再就職のため、介護福祉士取得などにも力がいれられている



昨年末(2024年末)に「自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する基本方針」(以下、基本方針)が定められ、「退職自衛官が自衛隊で培った知識・技能・経験を活かせる環境を整え、関係省庁が連携して幅広い業界や経済団体に対し退職自衛官の活用等について働きかけ、再就職の拡充に取り組む」こととされています。

一方、福祉・介護人材確保の一環として「都道府県福祉人材センター」は、▼福祉の仕事に関する啓発活動▼福祉人材の確保に関する事業所への相談支援、無料職業紹介—などの取り組みを幅広く行っています。

今般、厚労省・防衛省は、上記基本方針を踏まえ「都道府県福祉人材センターと自衛隊地方協力本部等が連携して、退職(予定)自衛官の福祉・介護分野への再就職をさらに促す」こととし、以下のような都道府県福祉人材センターへの支援を行うよう都道府県に依頼しています。

【具体的な連携事例】
▽「地域の福祉事業者と連携した人材確保の取り組みや求職者等への情報提供および相談援助等を行う都道府県福祉人材センター」と「自衛官の再就職援護業務等を行う自衛隊地方協力本部等」の双方の強みをいかした取り組みを共有する連絡会議等を設定する

▽地域の福祉事業者、都道府県福祉人材センター、自衛隊地方協力本部等の連携による予備自衛官等制度の周知などを行う

▽都道府県福祉人材センターが主催する「就職フェア」「職場見学会」「各種研修会」などへ退職予定自衛官が参加できるよう案内する

▽再就職に際して活用できる支援メニュー(介護分野就職支援金貸付等)を案内する

▽自衛隊地方協力本部等が主催する退職予定自衛官等向けのセミナーへの都道府県福祉人材センターの参加、合同企業説明会等のイベントなどの情報を提供する



なお、自衛隊では「普段は社会人としてそれぞれの職業に従事しながら、定期的に訓練に参加し、災害発生時等の緊急時には招集に応じて自衛官として活動する」予備自衛官等制度(身分は非常勤の自衛隊員)を設けています。予備自衛官の充足率(現在7割程度)の充足も、災害が多発する昨今では重要な課題であり、厚労省・防衛省は「予備自衛官等への志願を希望している退職自衛官を採用する場合は、訓練等に出頭しやすい環境の構築などにも協力してほしい」と要望しています。



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

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