医療機関等で、患者のスマホ内の「電子版のお薬手帳」データを簡易に確認できるアプリ「e薬SCAN」(イークスキャン)を開発—日薬
2025.5.9.(金)
日本薬剤師会はこのほど、医療機関・薬局において電子版のお薬手帳に記載されたデータを最大限有効活用するためのスマートフォンアプリ「e薬SCAN」(イークスキャン)を開発したことを明らかにしました(日薬のサイトはこちら)。医療機関・薬局では、本アプリを無料でダウンロード・使用できます。
医療機関での診療や薬局での薬剤調整・交付においては「患者の過去の診療情報、薬剤情報」を参照・考慮することが極めて重要です。しかし、従来型の「紙のお薬手帳」を持参しわすれる患者も少ななく、またマイナ保険証・オンライン資格確認等システムを活用した「過去の診療情報を医療機関・患者等で共有する」仕組みも「全国津々浦々まで浸透している」状況にはまだありません(マイナ保険証利用率はまだそれほど高くない、関連記事はこちら)。
この点、多くの国民が所持するスマートフォンの中にアプリとして入っている「お薬手帳」(電子版お薬手帳)の普及が進んでいます。「マイナ保険証に比べ、きわめて多くの患者・国民が保有している」「従来型のお薬手帳と比べて、持参しわすれるケースが少ない」というメリットがあり、さらなる普及によって医療機関での「患者の過去の診療情報、薬剤情報の参照・考慮」がより円滑に進むと期待されます。
もっとも、スマートフォン版の電子お薬手帳には、「情報を電子的に預かることが難しい」「アプリ(電子版お薬手帳)毎に操作や表示方法が異なり、医療従事者にとって情報を把握しにくい」という課題がありました。
そこで今般、日薬が厚労省補助金を活用して「e薬SCAN」を開発。▼患者に、自身の電子版お薬手帳からQRコードを発行してもらう→▼「医療機関のスマートフォン」等でQRコードを読み取る—という簡単な操作で、患者の「過去の処方箋情報」を医療機関で確認できる仕組みです。「e薬SCAN」で取得した「患者の過去の処方箋情報」はシステム上に7日間保存され、時間を見て医療機関の電子カルテや薬局の電子薬歴に転記することが可能です。

e薬SCAN利用の流れ
患者の電子版お薬手帳アプリが「e薬SCAN」に対応していることが必要(対応済のアプリはこちら(日薬サイト))ですが、徐々に各電子版お薬手帳が「e薬SCAN対応」を行っていくと期待されます。
「e薬SCAN」の医療機関・薬局での利用は、▼「e薬SCAN」アプリをダウンロード・インストール・利用同意する→▼アプリの指示に従って、患者の電子版お薬手帳が発行したQRコードを読み取る→▼「e薬SCAN」アプリで過去の処方箋情報を確認し、必要に応じて情報を削除する(7日後に自動削除)—というものです(医療機関等における利用マニュアルはこちら(日薬サイト))。
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