Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 能登半島地震 災害でも医療は止めない!けいじゅヘルスケアシステム

2015年度1人当たり医療費、最高の福岡と最低の新潟で1.38倍の地域格差—厚労省

2017.8.29.(火)

 2015年度の1人当たり医療費(市町村国保+後期高齢者医療)は全国では53万7000円だが、都道府県別に見ると最高の福岡県(64万1000円)と最低の新潟県(46万6000円)との間では1.38倍の格差がある。また「西日本で1人当たり医療費が高く、東日本で低い」傾向は変わっていない—。

厚生労働省は25日に、2015年度の「医療費の地域差分析」を公表し、こういった状況を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

入院医療費で地域格差が大きく、「在院日数の短縮化」が地域差是正の鍵

1人当たり医療費は年齢との関係が強いため、地域差を分析する際には「地域ごとの年齢構成(高齢者割合など)の差」を調整することが重要です。

市町村国保加入者と後期高齢者医療制度加入者を合計した1人当たり年齢調整後医療費を見てみると、全国では53万7000円ですが、都道府県別に見ると、最高は福岡県の64万1000円(全国の1.194倍)で、高知県63万7000円(同1.186倍)、佐賀県62万7000円(同1.168倍)と続きます。また最低は新潟県の46万6000円(同0.867倍)で、千葉県47万7000円(同0.888倍)、静岡県47万8000円(同0.890倍)などとなっています。最高の福岡県と最低の新潟県では1.38倍の開きがあります。

2015年度の、1人当たり年齢調整後医療費と地域差の状況

2015年度の、1人当たり年齢調整後医療費と地域差の状況

都道府県別に見た、1人当たり年齢調整後医療費のグラフ

都道府県別に見た、1人当たり年齢調整後医療費のグラフ

 
医療費の地域差を、日本地図を色分けした医療費マップで見てみると、「西日本で高く、東日本で低い」(西高東低)の傾向が依然として続いていることを改めて確認できます。
地域差指数(年齢構成を調整し、医療費が平均からどれだけ離れているかを指数化)のマップ。西日本で高い地域(オレンジ色)が多く、東日本で低い地域(青色)が多いことが分かる

地域差指数(年齢構成を調整し、医療費が平均からどれだけ離れているかを指数化)のマップ。西日本で高い地域(オレンジ色)が多く、東日本で低い地域(青色)が多いことが分かる

 
入院医療費を▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解して、地域差にどの要素が影響しているのか(寄与度)を見てみると、入院医療費の高い地域(高知県、福岡県、鹿児島県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院医療費の小さな地域(静岡県、新潟県、千葉県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります。ここから、「入院回数が多く、入院日数の長いことが1人当たり入院医療費の高騰を招いている」と伺えます。

入院外医療費(調剤を含む)について、同様に▼1日当たり医療費▼1件当たり日数▼受診率—の3要素に分解した寄与度を見てみると、入院外医療費の高い地域(広島県、香川県、佐賀県など)では「受診率と1件当たり日数が医療費を高める方向に寄与し、1日当たり医療費は低くする方向に寄与している」傾向が、逆に入院外医療費の小さな地域(新潟県、沖縄県、富山県など)では「受診率や1件当たり日数が医療費を低くする方向に寄与している」傾向があることが分かります(入院と同じ構造)。「頻回の医療機関受診が、入院外医療費の高騰につながっている」ことが伺えます。

地域差指数に対する三要素別の寄与度。入院(上段)、入院外(下段)ともに「受診率」「1件当たり日数」の高さが地域差指数を高く(つまり医療費を高く)していることが伺える

地域差指数に対する三要素別の寄与度。入院(上段)、入院外(下段)ともに「受診率」「1件当たり日数」の高さが地域差指数を高く(つまり医療費を高く)していることが伺える

 
さらに「入院では地域格差が大きく(最高と最少の格差は1.75倍)、入院外では地域格差が小さい(同1.20倍)」ことも踏まえると、医療費の地域差是正に向けて「在院日数の短縮」が最重要テーマ(入院外では頻回・重複受診などの適正化)であることを再認識できます。

1人当たりの実績医療費、高知県の自治体が上位を独占

 市町村別に1人当たり実績医療費(年齢調整をしていない)を見てみると、最も高いのは高知県馬路村で102万1965円。次いで高知県大豊村96万5906円、高知県北川村87万9101円、高知県奈半利町84万7872円、高知県大川村83万8166円となり、上位5市町村を高知県の自治体が独占しています。

 逆に1人当たり実績医療費が低いのは、下から東京都小笠原村25万5304円、長野県川上村31万7842円、東京都御蔵島村32万643円、沖縄県竹富島35万1008円、長野県南牧村36万7825円などで、離島や山間地が目立ちます。

 
 また年齢構成を調整した上で、医療費が全国平均からどれだけ乖離しているのかを示す「地域差」を市町村別に見てみると、もっとも高いのは高知県馬路村の1.49で、高知県奈半利町1.41倍、北海道壮瞥町1.36、高知県芸西村1.36、高知県大豊町1.35と続きます。

逆に地域差が低い自治体は、福島県檜枝岐村0.67、長野県王滝村0.68、長野県天龍村0.68、岩手県九戸村0.69、山梨県小菅村0.70となっています。

市町村別に見た、「1人当たり実績医療費の高い(低い)自治体」(上段)と、「地域差指数の高い(低い)自治体」(下段)

市町村別に見た、「1人当たり実績医療費の高い(低い)自治体」(上段)と、「地域差指数の高い(低い)自治体」(下段)

 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo
病床機能分化や外来の地域差半減などで、2023年度の医療費は49.5兆円程度に圧縮可能―政府調査会
医療費の地域差半減を目指し、地域医療構想などを反映した医療費推計を実施―骨太方針2016素案