中国湖北省から帰国した医療施設スタッフ等、発熱等なくとも2週間程度は外出控え、健康状態観察を―厚労省
2020.2.6.(木)
昨年(2019年)12月に中華人民共和国武漢市で新型のコロナウイルスが原因と見られる肺炎が発生。本邦においても「中国武漢市の滞在歴のない」感染者が確認されるなど猛威を振るっています。
新型コロナウイルス感染疑いの患者が医療機関を受診するケースも想定され、そうした場合に適切な対応がとられるよう、厚生労働省は1月31日に事務連絡「医療施設等における新型コロナウイルス感染症への対応について」を発出し、一般の感染症対策に加え、次のような点に留意するよう求めています。
◆概ね過去2週間以内に武漢市を含む湖北省から帰国した職員(武漢市からの帰国者と濃厚な接触をした者を含む)がいる場合
(1)当該職員で発熱(37.5度以上)や呼吸器症状が出た者
↓
他人との接触を避け、マスクを着用させるなどし、すみやかに保健所に連絡し指示に従う
(2)当該職員で、現在は発熱(37.5度以上)や呼吸器症状のない者
↓
帰国後2週間(潜伏期間は最長で概ね14日と考えられているため)の間は外出を控えるよう要請し、健康状態を観察する
↓
仮に症状が出現した場合には(1)に従う
また該当職員がいる場合、院長等の管理者は、すみやかに都道府県・保健所設置市・特別区にその人数、症状、対応状況等を報告し、保健所に報告して指示を求めることが必要である
◆新型コロナウイルス感染症に関しては、現段階では不明な点も多く、日々状況が変化していることを踏まえ、最新かつ正確な情報を保健所等の関係機関と十分連携しつつ、収集することが必要である。また、これらの情報を職員に提供するとともに、必要に応じ患者・家族に対しても情報提供を行い、相談対応に努めることも必要である(患者等の不安を軽減することが重要である)
【情報入手先例】
・新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について(内閣官房)
◆最新知見等をもとに新型コロナウイルス感染症を理由とした偏見が生じないようにするなど、職員の人権に十分配慮する
また国立感染症研究所・国立国際医療研究センター(国際感染症センター)は1月21日に「新型コロナウイルス感染症に対する対応と院内感染対策」に関する情報提供を行っており、新型コロナウイルス感染症の疑い例・確定例を診察する際には▼患者本人にサージカルマスクを着用させる▼医療従事者は、サージカルマスクを含めた標準予防策を実施する▼接触、飛沫予防策を行う▼診察室および入院病床は個室が望ましい▼診察室および入院病床は十分換気する▼患者の気道吸引、気管内挿管の処置などエアロゾル発生手技を実施する際には空気感染の可能性を考慮し「N95マスク」「眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)」「長袖ガウン」「手袋」を装着する▼患者の移動は医学的に必要な目的に限定する―ことを指示しています。
さらに「医療機関における院内対策」(2014年12月付、厚労省通知)としては、次のような取り組みの実施が推奨されています。
▽院内感染対策の体制整備
▼感染制御の組織化
▼感染制御チーム Infection Control Team(ICT)の整備
▽基本となる院内感染対策
▼標準予防策および感染経路別予防策(手袋・マスク・ガウン等の個人防護具を、感染性物質に接する可能性に応じて適切に配備し、医療従事者にその使用法を正しく周知した上で、標準予防策(全患者に対して感染予防策のために行う予防策)を実施するとともに、必要に応じて院内部門、対象患者、対象病原微生物等の特性に対応した感染経路別予防策(空気予防策、飛沫予防策、接触予防策)を実施する。易感染患者を防御する環境整備に努める。など)
▼手指衛生(手洗いおよび手指消毒のための設備・備品等を整備し、患者処置の前後には必ず手指衛生を行う。速乾性擦式消毒薬(アルコール製剤等)による手指衛生を実施していても、アルコール抵抗性微生物も存在することから、必要に応じて石けん・水道水による手洗いを実施する。など)
▼職業感染防止
▼環境整備および環境微生物調査(空調設備、給湯設備など院内感染対策に有用な設備を適切に整備し、院内の清掃等を行う。一律に広範囲の環境消毒を行わず、血液・体液による汚染がある場合は汚染局所の清拭除去および消毒を基本とする。ドアノブ、ベッド柵など、医療従事者、患者等が頻繁に接触する箇所については定期的に清拭し、必要に応じてアルコール消毒等を行う。など)
▼医療機器の洗浄、消毒または滅菌
▼手術および感染防止
▼新生児集中治療部門での対応
▼感染性廃棄物の処理
▼医療機関間の連携
▼地方自治体の役割
▽アウトブレイクの考え方と対応
▼アウトブレイクの定義
▼アウトブレイク時の対応
▼介入基準の考え方および対応
▼報告を受けた保健所等の対応
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