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訪問看護ステーション・病院で看護師不足継続、「多様な働き方」可能とする職場づくりを―日看協

2021.2.18.(木)

訪問看護ステーションや病院で「看護師不足」が目立つ―。

「退職したい理由」は年齢で若干の差があり、雇用維持のために、若手看護師には精神的サポートが、ベテラン看護師には「多様な働き方」の実現が重要―。

就職の際に重視する項目も年齢で若干の差があり、若手では「スキルアップ」を、ベテランでは「ワークライフバランス」や「待遇」が重要―。

日本看護協会が2月17日に公表した2019年度「ナースセンター登録データに基づく看護職の求職・求人に関する分析」結果から、こうした状況が明らかになりました(日看協のサイトはこちら)(2018年度の分析結果に関する記事はこちら、2017年度の分析結果に関する記事はこちら、2016年度の分析結果に関する記事はこちらこちら)。

訪問看護ステーションの求人倍率は3倍超、病院でも看護師不足が目立つ

少子高齢化が進行する中では、「看護師不足」が深刻化しています。2015年10月から改正「看護師等の人材確保の促進に関する法律」が施行され、都道府県ナースセンターの機能が強化されました。従前から実施している「無料職業紹介事業」に加え、「看護師等の資格を持ちながら結婚や出産などで退職した人の情報を踏まえた復職支援機能」などが付加されています。こうした機能強化により「医療機関等における看護師確保の重要ツール」として都道府県ナースセンターへの期待も高まっています。

日看協では、都道府県ナースセンターの登録状況などを踏まえて、2019年度における▼求人倍率▼求人、求職者の状況▼応募・就職の状況▼給与―などを分析しています。

まず2019年度の「都道府県ナースセンター」における求人数(医療機関からの募集数)は15万8602人、対して求職者数(仕事を探す看護師数)は6万7710人で、求人倍率は2.34倍となりました(前年度に比べ0.02ポイントの微増)。日看協は「2016年度以降、求人倍率は一定の水準で推移している」と見ています。

求人倍率は2016年度以降、同水準で推移している(2019年度ナースセンター調査1 210217)



施設種類別に求人倍率を見てみると、▼訪問看護ステーション:3.10倍(前年度から0.19ポイント上昇)▼20-199床の病院:1.99倍(同0.16ポイント上昇)▼200-499床の病院:1.64倍(同0.23ポイント上昇)▼特別養護老人ホーム:1.26倍(同0.06ポイント上昇)▼500床以上の病院:1.15倍(同0.03ポイント上昇)―などで高くなっています。

「求人倍率が高い、上昇している」とは、すなわち「看護師が不足し、不足の度合いが厳しくなっている」ことを意味し、とりわけ訪問看護ステーションや中小規模病院で「看護師不足が深刻である」状況が再確認できます。

逆に、▼介護医療院I型(機能強化型介護療養並みの人員配置等が求められる):0.02倍▼介護医療院II型(転換型老健施設並みの人員配置等が求められる):0.04倍▼助産所:0.04(前年度から増減なし)▼都道府県・保健所:0.14倍(同0.04ポイント上昇)▼在宅介護支援センター:0.11倍(同0.01ポイント上昇)―などでは求人倍率が低く、「看護師が充足している」状況が伺えます。

訪問看護ステーションや病院で看護師不足が顕著である(2019年度ナースセンター調査2 210217)



訪問看護ステーションは2016年度以降、「求人倍率の高い、つまり看護師不足のトップ」を独走しています。「24時間対応や重度者対応などを行えるよう、機能強化が必要であり、そのためには大規模化が1つの重要な選択肢となる」ことが明確化され、そのための介護報酬・診療報酬の手当ても行われていますが、現状を見ると「さらなる工夫」が必要と言えそうです。

求職希望者、30-49歳は減少傾向だが、20歳代・50歳代以上が増加

次に求職者について「年齢階級別の割合(シェア)」を2015年度→16年度→17年度→18年度→19年度の経年で見てみると、次のような状況です。

年齢階級別の求職者数、20歳以下と50歳以上で増加傾向にある(2019年度ナースセンター調査3 210217)



「30-49歳」では年々減少している一方で、「20歳代」と「50歳代以降」では増加傾向にあります。とりわけ60歳以上の増加が著しく、2015年度には全体の7.7%に過ぎませんでしたが、2019年度には11.7%を占め、「1.5倍」に増加している格好です。子育てを卒業した世代の有資格者が復職を希望しているケースも少なくないと考えられ、そのバイタリティに頭が下がります。



このほか、次のような「求職者の意向」も明らかとなりました。

▽希望する雇用形態は「常勤」62.0%、「非常勤」30.8%、「臨時雇用」7.3%で、「常勤」希望者が「非常勤」希望者の2倍である

▽60歳以上の希望雇用形態は、「常勤」33.6%、「非常勤」45.3%、「臨時雇用」21.1%で、常勤希望者が増加している

▽希望する施設は、「20-199床の病院」25.6%、 「200-499床の病院」22.6%、「500床以上の病院」13.1%が多い

▽訪問看護ステーションの希望者は7.3%(2019年度)にとどまっているが、2016年度・17年度には6%未満で、緩やかに増加している

▽看護小規模多機能型居宅介護(看多機、介護保険の地域密着型サービスの1つ)では、求職者が1978名いるが、ナースセンターに登録している求人事業所・求人数は105事業所・361名にとどまっており、「求人事業所の確保」が喫緊の課題である

看護師の雇用維持のため、若手ナースには精神的サポート、ベテランでは「多様な働き方」

次に、現在看護師として働きながら求職している者(いわば転職希望者)に、「今の職場を退職したい理由」(複数回答)を聞いたところ、次のような状況が分かりました。1人当たり1.8個の回答があり、「複数の理由が重なって転職を希望している」ことが分かります。

▽看護職の「他の職場」への興味:13.6%
▽勤務時間が長い・超過勤務が多い:8.0%
▽転居:7.8%
▽子育て:7.2%
▽結婚6.8%
▽自分の健康(主に身体的理由):6.3%

求職の理由は年齢階級別に若干異なり、複合的である(2019年度ナースセンター調査4 210217)



ただし、年齢階級別に「差」が見られ、24歳以下では「自分の適性・能力への不安」16.0%(前年度から3.6ポイント低下)、「自分の健康(主に精神的理由)」15.1%(同4.6ポイント低下)が多く、60歳以上では「定年」24.9%、「親族の健康・介護」6.0%、「自分の健康(主に身体的理由)」4.3%、「看護職の他の職場への興味」3.4%などが多くなっています。

ベテラン看護師の就業継続のために「多様な働き方」を院内で整備すること、未来を担う若手看護師の就業継続のために「精神的サポート体制」「スキルアップ支援体制」の強化を行うこと、など、年齢階級別の「就業継続対策」をとっていくことが重要です。

転職の際に重視する項目は年齢階級別に異なり、「多様な働き方」の確保が重要

さらに、就職者(実際に転職等した者)が「求職時に重視していた条件」を見ると、▼勤務時間:29.3%▼通勤時間:20.0%▼給与:20.0%▼看護内容:18.7%▼休暇:12.5%―などが多くなっています。

年齢階級別にトップ3項目を見ると「差」があることが分かります。若手では「自分のスキルアップ」が重視され、中堅になると「待遇」や「いわゆるワークライフバランス」の確保、さらに高齢になると体力的な問題も手伝い「通勤時間」を重視する人が多くなってきます。されるようです。ここでも「多様な働き方」を可能とする体制の確保が重要と言えるでしょう。

【24歳以下】
▽看護内容:21.7%▽勤務時間:19.7%▽給与:16.4%▽休暇:16.4%

【25-29歳】
▽勤務時間:25.7%▽給与:24.3%▽看護内容:21.0%

【30-34歳】
▽勤務時間:29.3%▽給与:20.6%▽休暇:16.7%

【35-39歳】
▽勤務時間:31.2%▽通勤時間:19.1%▽給与:18.0%

【40-44歳】
▽勤務時間:34.4%▽通勤時間:22.4%▽給与:18.0%

【45-49歳】
▽勤務時間:31.7%▽通勤時間:22.5%▽給与:19.9%

【50-54歳】
▽勤務時間:勤務時間:29.4%▽給与:23.9%▽通勤時間:22.5%

【55-59歳】
▽勤務時間:26.2%▽看護内容:21.3%▽給与:17.2%

【60歳以上】
▽勤務時間:27.3%▽通勤時間:22.3%▽看護内容:17.1%

就職の際に重視する項目は年齢階級別に若干異なる(2019年度ナースセンター調査5 210217)



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