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秋田赤十字病院が一般型がん拠点病院に復帰、石巻赤十字病院や公立藤岡病院等は要件満たさず特例型に―がん拠点病院指定検討会

2021.7.15.(木)

秋田赤十字病院について、がん診療連携拠点病院の指定要件をすべて満たしたことが確認されたため、「一般型」の拠点病院に指定変更する―。

一方、石巻赤十字病院や公立藤岡総合病院、東海大学付属八王子病院、南和歌山医療センターでは、要件の一部を満たしていないことが明らかとなり、「特例型」のがん拠点病院へと指定変更する―。

茨城県立中央病院と山梨県立中央病院については、都道府県がん診療連携拠点の要件を一部を満たさなくなったが、指定取り消しによる影響が大きなため、まず「要件充足に向けた勧告」を行い、来春(2022年3月)の次回検討会に改めて検討する(その時点でもなお要件未充足のままであれば「指定取り消し」も視野に)―。

7月15日に開催された「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」(以下、検討会)で、こういった方針が固められました。所要の手続きを経て、近く指定類型が変更されます。

今回要件を満たさず「勧告」を受けた病院について、次回検討会で充足がない場合には「指定取り消し」も検討される(がん拠点病院等指定検討会 210715)

秋田赤十字病院が要件を充足し「一般型拠点病院」に復帰

「日本全国のどの地域に住んでいても、優れたがん医療を受けられる体制を整える」(均てん化)という方針の下、我が国では、高度ながん医療を提供する病院を▼都道府県がん診療連携拠点病院▼地域がん診療連携拠点病院▼地域がん診療病院▼特定領域がん診療連携拠点病院—として指定しています(以下、全体を拠点病院等と呼ぶ)。

拠点病院等として指定されるには、国の定めた基準(指定要件)を満たすことが求められますが、▼拠点病院の中にも診療実績や体制に大きなバラつきがある▼新たながん対策推進基本計画(第3期計画)が2018年度から稼働している▼医療安全体制の強化が求められている▼従前の基準に曖昧な部分がある―などの問題点等を踏まえ、厚労省の「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」で基準(指定要件)の見直しが行われ、2019年度から適用されています。

見直し内容は多岐にわたり、例えば▼診療体制要件の厳格化(放射線診断医・放射線治療医を「専従」とする、保険適応外の免疫療法等を実施は、原則として治験や臨床研究(先進医療含む)として実施するなど)▼医療安全体制の確保(常勤医師、常勤専任薬剤師、常勤専従看護師などで構成される「医療安全管理部門」の設置義務化など)▼第三者評価(日本医療機能評価機構やJCI(Joint commission international)などの評価・認定など)の努力義務化―などがあります。

さらに、同じ医療圏に地域がん診療連携拠点病院が複数ある場合、実績・機能等に応じて次の3区分で指定することになりました(関連記事はこちらこちら)。
(A)地域がん診療連携拠点病院(高度型):▼必須要件をすべて満たす▼「望ましい」要件を複数満たす▼優れた取り組み(相談支援センター、緩和ケアなど)を実施している▼圏域内で診療実績が最も優れている―施設を圏域内に1か所指定する
(B)地域がん診療連携拠点病院(一般型):必須要件をすべて満たす施設を指定する
(C)地域がん診療連携拠点病院(特例型):2019年4月以降に指定されたものの、後に「必須要件を十分に満たせなくなった」場合に指定する(要件充足の見通しが立たない場合には指定を取り消す)

地域の診療実績トップなどの要件を満たす地域がん診療連携拠点病院を「高度型」に位置付ける(中医協総会(1)6 191009)



検討会では定期的に要件の充足状況を確認しており、この4月(2021年4月)から新たな拠点病院体制がスタートしています(関連記事はこちら)。

さらに今般、その後に「要件の充足」あるいは「要件の未充足」が都道府県から報告されたことを踏まえ、指定類型の見直しなどが議論されたものです。大きく(1)特例型が要件を充足できた(2)高度型が要件を満たさなくなった(3)一般型が要件を満たさなくなった(4)都道府県拠点病院が要件を満たさなくなった(5)地域がん拠点病院が要件を満たさなくなった―の5ケースあります。

まず(1)は、今年(2021年)4月時点では要件の一部(専従の放射線治療に携わる常勤の医師の配置)を満たさず、上記(C)の特例型として指定を受けていた「秋田赤十字病院」(秋田県)が、今般、要件を満たすことができたことをうけ、(B)の「一般型」への類型変更(いわば昇格)が認められたものです。2023年3月31日までの指定期限が設けられていますが、その前に「要件の未充足」が生じれば、再び「特例型」に戻ることになります。

石巻赤十字病院、一部要件が未充足ゆえ「特例型」に

また(2)は、地域で最も優れた診療実績を持つとして(A)の高度型として指定を受けていた「石巻赤十字病院」(宮城県)が、今般、「「専従常勤の病理診断医の配置」要件を満たさなくなったものです。

本要件は地域がん診療連携拠点病院の指定要件の1つであることから、「一般型」ではなく「特例型」に類型変更(いわば2段階降格)されることとなりました(2022年3月末まで)。

この点、がん患者代表として検討会に参画する村本高史構成員(サッポロビール人事部プランニング・ディレクター)は「次回の検討会(2022年3月予定)で要件の再充足を確認するが、その際、仮に充足が認められた場合であっても、高度型に復帰するのではなく、一度、一般型に復帰することとすべき」との考えを示しました。上述のように、高度型は「すべての要件を満たす一般型の中で、最も診療実績の優れたところ」などと定義されているため、「まずすべての要件を満たした場合に一般型として指定を受け、その後に、診療実績や都道府県の意向を踏まえて高度型とするかを検討する」という手順が重要になると村本構成員が指摘しています。

来春(2022年3月)予定の次回検討会で、改めて検討されます。

公立藤岡総合、東海大八王子、南和歌山医療センターの3病院が「特例型」に

(3)は、これまでに「すべての要件を満たす」として(B)の一般型に指定されていた3病院について、一部要件を満たさなくなったものです。
▽公立藤岡総合病院(群馬県):「専従の院内がん登録中級認定者の配置」要件を満たさなくなった
▽東海大学付属八王子病院(東京都):「医療安全管理者は、医療安全対策に係る研修を受講すること」との要件を満たさなくなった
▽南和歌山医療センター(和歌山県):「専従の院内がん登録中級認定者の配置」要件を満たさなくなった

要件の一部未充足があることから、この3病院は(C)の特例型に類型変更となります(いわば1段階の降格、2022年3月末まで)。

茨城県中・山梨県中の2都道府県がん拠点病院が、一部要件を満たさず「勧告」を受ける

一方、(4)は、2つの「都道府県がん診療連携拠点病院」について、一部要件を満たさなくなったものです。
▽茨城県立中央病院(茨城県):「医療安全管理者は、医療安全対策に係る研修を受講すること」との要件を満たさなくなった
▽山梨県立中央病院(山梨県):「基礎研修(3)を修了した専従および専任の相談支援に携わる者を配置すること」との要件を満たさなくなった

「都道府県がん診療連携拠点病院」については、「要件を一部満たさなくなった場合に特例型とする」などの仕組みがないことから、厳格に考えれば「指定取り消し」となります。

しかし、都道府県がん診療連携拠点病院には、「県内のがん診療連携拠点病院に対する人材支援・情報提供を行う」などの極めて重要な役割があり、指定取り消しとなった場合には「当該県のがん診療水準が保てるのか」という問題も生じます。

このため検討会では、「来春(2022年3月)予定の次回検討会までの要件充足を期待して、『勧告』するにとどめ、次回検討会で要件充足が適わない場合に改めて『指定取り消し』を含めた検討を行う」ことを決定しました。

村本構成員は「県(茨城県・山梨県)に強い指導力を発揮しもらい、次回検討会までに何としても要件を充足してもらうことを期待する」と強い口調でコメントしています。

3つの地域がん診療病院が要件を満たさず、「勧告」を受ける

他方、(5)は、「地域がん診療病院」が一部要件を満たさなくなったものです。
▽県立大島病院(鹿児島県):「専従の院内がん登録担当者の配置」要件を満たさなくなった
▽みやぎ県南中核病院(宮城県):「専従の院内がん登録担当者の配置」要件を満たさなくなった
▽高島市民病院(滋賀県):「医療安全管理者は、医療安全対策に係る研修を受講すること」との要件を満たさなくなった

「地域がん診療病院」は、がん診療連携拠点病院が指定されていない2次医療圏(いわゆる空白医療圏)においても優れたがん医療を提供することを目的に、近隣医療圏の地域がん診療連携拠点病院と連携することを条件に、拠点病院の要件を一部緩和して指定するものです。

つまり、「地域がん診療病院の要件を満たさなくなったので、指定を取り消します」と判断すれば、当該医療圏は再び「空白医療圏」に戻ってしまうのです。

このため検討会では、上記(4)と同様に「来春(2022年3月)予定の次回検討会までの要件充足を期待して、『勧告』するにとどめ、次回検討会で要件充足が適わない場合に改めて『指定取り消し』を含めた検討を行う」こととしました。



今般の検討を通じて、大きく2つの課題が浮かび上がってきました。

1つは、「都道府県がん診療連携拠点病院」「地域がん診療病院」については、地域がん診療連携拠点病院の「特例型」(一部要件を満たさない、いわば「イエローカード」状態)などの類型がなく、厳格に考えれば「要件を満たさない場合には、即、指定を取り消す」という運用をしなければならないという課題です。

この点、近く始まる「がん診療連携拠点病院の指定要件の見直し」論議の中で検討テーマの1つになると思われます。関連して唐澤久美子構成員(東京女子医科大学放射線腫瘍学講座 教授・基幹分野長)は「未充足の期間がどの程度であれば『勧告』にとどめる、などの基準を明確化すべき」と提案しています。



もう一つは、「専門人材の配置」に関する考え方そのものです。羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は「病理診断などについて、遠隔診療も勘案した要件設定を考える」ことを提案(すでに診療報酬では、そうした考えが導入されている)。

また村本委員は「限られた専門人材を拠点病院同士で奪い合う」事態が生じていないかと危惧。この点、厚生労働省の担当者は「専門人材配置を要件化している背景には『人材育成』の観点もある。拠点病院におかれては、要件ギリギリの人員配置で運営するのではなく、重複した人員配置を行うことを念頭に人材育成を図ってほしい。今回の未充足事例でも『院内に専門人材はいるが、担当ポストに配置されていない』といったケースもある。院内人事を考える際にも『まず資格などを保有していただき、その後に担当ポストに就いてもらう』ことも考慮してほしく、そうした情報提供も行っていく」との考えを示しています。

なお、「専門人材配置の要件を満たせなくなった」病院が複数あります。この点、「新型コロナウイルス感染症が蔓延し、必要な研修・講習等を受講できなくなった」ことが考えられますが、厚労省は「例えば研修・講習についてWEBでの複数開催がなされおり、コロナ感染症の影響はない」と判断しています。ただし横川史穂子構成員(長野市民病院がん相談支援 センター看護師長)は「コロナ感染症対応で極めて多忙であり、WEB研修であっても受講する余裕がない、というケースも少なくない」と述べ、そうした状況にも留意するよう求めています。

今後の「がん診療連携拠点病院の指定要件の見直し」論議の中で、こうした点も重要論点の1つになりそうです。



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