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砂川市立病院や社会保険田川病院など9病院、一般型の地域がん拠点病院へ復帰―がん拠点病院指定検討会

2020.6.30.(火)

砂川市立病院や尾道総合病院、社会保険田川病院など9病院について、地域がん診療連携拠点病院の新基準(指定要件)をすべて満たしていることから、指定の類型を「一般型の地域がん診療連拠点病院」に改める(特例型から一般型への復帰)―。

また、都道府県がん診療連携拠点病院である鹿児島大学病院において、新基準(指定要件)の一部が満たされないことから、要件の充足について適切に対応することを勧告し、ただし未充足が続くようであれば「指定の取り消し」も含めた対応を検討する―。

「がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会」(以下、検討会)(このほど持ち回りで開催)の審議を踏まえて、厚労省は6月29日にこうした考えを明らかにしました(厚労省のサイトはこちら(指定結果)こちら(検討会資料、指定更新等一覧案)こちら(検討会資料、厚労省提案))。6月29日から適用されており、7月1日時点で地域がん診療連携拠点病院数は402施設、地域がん診療病院は45施設となります。

2019年4月から新基準に基づく「新たながん診療連携体制」が日本全国でスタート

「我が国のどの地域に住んでいても、優れたがん医療を受けられる体制を整える」(均てん化)という方針の下、国(厚生労働大臣)は、高度ながん医療を提供する病院を▼都道府県がん診療連携拠点病院▼地域がん診療連携拠点病院▼地域がん診療病院▼特定領域がん診療連携拠点病院—として指定しています(以下、全体を拠点病院等と呼ぶ)。

拠点病院等として指定されるためには、国の定めた基準(構造設備や人員配置、診療実績などの指定要件)を満たすことが求められます。ただし、拠点病院間で診療実績や体制にバラつきがあるなどの課題もあり、2019年度から新たな基準(指定要件)が適用されています(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

新基準では、▼診療体制要件の厳格化(放射線診断医・放射線治療医を「専従」とする、保険適応外の免疫療法等を実施する場合には、原則として治験や臨床研究(先進医療含む)として実施するなど)▼医療安全体制の確保(常勤医師、常勤専任薬剤師、常勤専従看護師などで構成される「医療安全管理部門」の設置義務化など)▼第三者評価(日本医療機能評価機構やJCI(Joint commission international)などの評価・認定など)の努力義務化―などが行われるとともに、地域(2次医療圏)に複数の地域がん診療連携拠点病院がある場合に、実績・機能等を踏まえて次の3区分で指定することとなりました。

(1)地域がん診療連携拠点病院(高度型):▼必須要件をすべて満たす▼「望ましい」要件を複数満たす▼優れた取り組み(相談支援センター、緩和ケアなど)を実施している▼圏域内で診療実績が最も優れている―施設を圏域内に1か所指定する

(2)地域がん診療連携拠点病院(一般型):必須要件をすべて満たす施設を指定する

(3)地域がん診療連携拠点病院(特例型):2019年4月以降に指定されたものの、後に「必須要件を十分に満たせなくなった」場合に指定する(その後も要件充足の見通しが立たない場合には指定を取り消すことも検討される)

地域の診療実績トップなどの要件を満たす地域がん診療連携拠点病院を「高度型」に位置付ける(中医協総会(1)6 191009)

がん診療連携拠点病院の指定要件(抜粋1)

がん診療連携拠点病院の指定要件(抜粋2)

がん診療連携拠点病院の指定要件(抜粋3)



こうした新基準に基づく新たながん診療提供体制は2019年4月からスタート(関連記事はこちら)。さらに今年(2020年)4月には、▼新規指定(新たに新基準を満たしがん診療連携拠点病院となった病院)▼更新(2019年4月に一部要件の充足が十分でなく、1年間のみの指定となった病院についての更新)▼特例型指定(2019年4月に新基準を満たしたが、その後、一部要件を満たせなくなり上記(3)の特例型となった病院)―などが行われています。

今般の検討会では、「特例型指定となっていた病院の中には新基準の充足が確認されたところもあり、一般型(上記(2))に指定しなおしてはどうか」「新型コロナウイルス感染症の影響で、新基準を一部満たせない(予定入院・予定手術の延期に伴う症例数減少など)場合の特例的な取り扱いを行ってはどうか」などの視点で検討を行い、方針を固めました。

「特例型」病院のうち、新基準を充足した9病院を「一般型」に指定しなおし

まず、次の9病院については、2019年4月時点では新基準を満たし「一般型の地域がん診療連携拠点病院」として指定されましたが、その後、新基準の一部要件を満たせなくなったため、2020年4月から「特例型の地域がん診療連携拠点病院」になりました。未充足が継続すれば「指定の取り消し」も検討される、いわばイエローカードの状態でした。

しかし、その後に、病院の努力によって新基準が充足されたことから、今般、「特例型」から「一般型」への指定しなおし(復帰)となることが決まりました。指定期間は2023年3月31日までとなりますが、指定期間中に要件を満たさなくなれば、再度「特例型」への指定し直しが行われてしまいます。これは他の地域がん診療連携拠点病院でも同じ取り扱いです。

▽砂川市立病院(北海道)
▽市立釧路総合病院(北海道)
▽東京医科大学八王子医療センター(東京都)
▽半田市立半田病院(愛知県)
▽宇治徳洲会病院(京都府)
▽公立那賀病院(和歌山県)
▽広島県厚生農業協同組合連合会尾道総合病院(広島県)
▽地方独立行政法人大牟田市立病院(福岡県)
▽社会保険田川病院(福岡県)

9病院が「特例型」から「一般型」へ復帰した

新型コロナで新基準を満たせない11病院について状況を確認し、対応を決定

また、2020年4月から「一般型の地域がん診療連携拠点病院」あるいは「地域がん診療病院」として指定された病院のうち、11施設については、新型コロナウイルス感染症の影響によって新基準の一部が充足できなくなったことから、「指定期間を2020年6月までとし、6月に開催される検討会で状況を踏まえて検討する」こととされていました。

新型コロナウイルス感染症へ医療資源を重点化・集約化するために、各医療機関には予定入院・予定手術の延期等が要請され、多くの拠点病院で「がん症例の減少」が生じています。これを数字だけをみて「新基準を満たせていないことから指定を行わない」とすることは酷です(診療報酬や補助金の減額につながる)。そこで、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた「柔軟な対応」が求められているのです。

この点、今般の検討会(持ち回り開催)において、新基準の充足が認められた次の2病院については、指定期間を2023年3月31日までとすることを決定しました。ただし、上述のとおり、2023年3月まで指定期間が延長された病院であっても、仮の指定期間中に新基準の充足ができなくなれば、特例型への指定しなおしとなります。

●地域がん診療連携拠点病院
▽長野県厚生農業協同組合連合会佐久総合病院佐久医療センター(長野県)

●地域がん診療病院
▽独立行政法人労働者健康安全機構 北海道中央労災病院(北海道)



一方、新基準がいまだに満たせていない9病院(5つの地域がん診療連携拠点病院、4つの地域がん診療病院)については、指定期間をいったん来年(2021年)3月31日まで延長し、来年の検討会で改めて状況を踏まえて検討することとなりました。新型コロナウイルス感染症の影響は読み切れず(第2波、第3波の到来も予測される)、定期的に状況を確認する必要があるためです。

●地域がん診療連携拠点病院
▽岩手県立磐井病院(岩手県)
▽大津赤十字病院(滋賀県)
▽公立学校共済組合近畿中央病院(兵庫県)
▽赤穂市民病院(兵庫県)
▽社会福祉法人恩賜財団済生会支部大分県済生会日田病院(大分県)

●地域がん診療病院
▽小樽市立病院(北海道)
▽新潟県厚生農業協同組合連合会佐渡総合病院(新潟県)
▽公立甲賀病院(滋賀県)
▽金田病院(岡山県)

2病院が新型コロナの中で要件充足可能となった



また、今給黎総合病院(鹿児島県)については、2019年4月から「一般型の地域がん診療連携拠点病院」として指定され、今年(2020年)4月には新基準充足が十分と判断されています。ただし、同院については来年(2021年)1月1日に、▼主に急性期医療を担う「いまきいれ総合病院」▼主に回復期医療を担う「上町いまきいれ病院」―に分割されることとなっています。

検討会では急性期医療を担う「いまきいれ総合病院」が、地域がん診療連携拠点病院の新基準をすべて満たすことを確認したうえで、同院を、2021年3月1日から「一般型の地域がん診療連携拠点病院」に指定することを決定しました(指定期間は2023年3月31日まで)。後者の「上町いまきいれ病院」が拠点病院等としての指定は行われません。

都道府県拠点病院である「鹿児島大病院」で新基準が未充足、充足に向けた対応を勧告

さらに今般、都道府県がん診療連携拠点病院に指定されている「鹿児島大学病院」について、新基準の1つ「専従の院内がん登録中級認定者の配置」がなされていない(今年(2020年)4月1日から)ことが判明しました。

この点、検討会では、いきなりの指定取り消しとはせず、▼「専従の院内がん登録中級認定者の配置」を行うよう勧告する▼新基準の未充足が継続するようであれば、次回の検討会以降に「指定取り消し」を含めて検討を行う―考えをまとめました。同院では、早急に「院内スタッフが資格取得可能なよう支援する」「新たに有資格者を雇用する」などの対応が求められます。



こうした指定見直し等は6月29日から適用されており、厚労省は7月1日時点で「日本全国において、402施設のがん診療連携拠点病院、45施設の地域がん診療病院が整備される」ことを明らかにしています。

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