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診療報酬改定セミナー2022 診療報酬改定セミナー2022

看護職員の処遇改善補助など、ありがたいが不安も大きい―日病・相澤会長

2022.1.11.(火)

看護職員の処遇改善に向けた補助が行われる。病院にとって非常にありがたい―。

しかし、看護職員だけの給与を上げることはできず全職種の給与引き上げを行うことになるが、薬剤師や医療事務などは補助の対象とならない。この場合、病院の持ち出しで給与引き上げを行わざるを得ず、病院経営が苦しい中では大きな不安もある―。

日本病院会の相澤孝夫会長は、1月11日の定例記者会見(オンライン会見)でこうした考えを述べました。

1月11日の定例記者会見(オンライン会見)に臨んだ、日本病院会の相澤孝夫会長

薬剤師や医療事務スタッフの給与引き上げは「病院の持ち出し」とならざるを得ない

今年(2022年)2-9月に「看護職員の処遇改善」を目的とした補助金が国から各病院に交付されます。現在、細部の詰めが行われていますが、概ね「対象病院の看護職員(常勤換算)について1人当たり4000円程度の賃上げが可能となる」ような財源を病院に交付し、それを病院の裁量で「看護職員等の賃金引き上げに充てる」形となる見込みです。例えば次のようなイメージです(関連記事はこちらこちら)。

▽「対象医療機関(診療報酬のA205【救急医療管理加算】を算定し、救急搬送件数が年間200台以上の医療機関、および3次救急を担う医療機関)に勤務する看護職員の収入を1%程度引き上げられる」ような補助金を病院に交付する

▽X病院で常勤換算100名の看護職員がおり、1人当たり1%の賃金増が月額4000円に相当すると仮定した場合には、月額40万円の補助金が病院に交付される

▽交付された補助金を財源に、X病院で「スタッフの賃金引き上げ」を行う

▽ただし、どのスタッフの賃金をどの程度引き上げるかは、相当程度「X病院の裁量」が認められる(すべてを看護職員のみに充当することも、「看護職員+看護補助者」に充当すること、「看護職員+看護補助者+リハビリ専門職」に広く充当することも可能)



この補助金について相澤会長は「日病幹部の間では『たいへんありがたい』と感謝しているが、一方で『不安だ』との声もある」ことを紹介しています。

不安の1つ目は、補助金による賃金引き上げ対象のスタッフには相当の裁量は認められるものの、全くの無制限ではないという点です。厚生労働省から日病に行われた説明では「薬剤師」や「事務スタッフ」への賃金引き上げには、今回の補助金を用いることはできないようです(「看護補助者、理学療法士・作業療法士等のコメディカル」の中に薬剤師や医療事務スタッフが含まれていないため)。

この点、相澤会長は「薬剤師等の賃金引き上げを行わない」という選択肢はない(賃金引き上げを行う職種、行わない職種が院内に混在すると非常に大きな不平不満が生じてしまう)ことを強調。このため、病院の持ち出しで「補助対象外スタッフの賃金引き上げ」を行わざるを得ず、病院経営が厳しい中で「厳しいコスト増になる」と日病幹部は見通しています。さらに、日病幹部の間では「現在は新型コロナウイルス感染症対策関連の補助金があるが、コロナ感染症が収束し補助金が停止された後はさらに厳しくなる」とも見ています。



不安の2つ目は「看護職員の賃金が実際にどの程度、引き上げられるか」という点です。病院に交付される補助金は「看護職員(常勤換算)の賃金を1%(平均で4000円)程度引き上げられる」額となります。しかし、看護補助者やリハビリスタッフも賃金引き上げ対象とした場合には、当然、1人1人の賃金引き上げ額は小さくなります。その場合にはスタッフサイドから「1%、4000円上がると聞いていたが、実際にはそれほど上がらなかった」との不平不満が出ることも想像されます。日病幹部からは「そうした場合、病院の持ち出しで4000点程度の引き上げを実現しなければならないのだろうか」と不安の声が多数出ていることが相澤会長から報告されました。

とりわけこうした不安は、自治体からの人件費補助がない「医療法人病院」に強いようです。



また10月以降は「診療報酬による看護職員の処遇改善」に切り替わります(関連記事はこちらこちら)。この点について「一度人件費を引き上げると、下げることは非常に難しい。どういった仕組みとなるのか、きちんと注視していく必要がある」との考えで日病幹部が一致していることも相澤会長から報告されています。



なお、相澤会長は現下のオミクロン株急拡大に関連して「地域の感染拡大状況、重症患者、入院患者の状況を見て慌てずに対応することが必要である」「濃厚接触者について出勤停止が命じられるが、医療関係者の不足が懸念される。毎日のPCR検査などを条件に出勤可能とするなどの工夫を考える必要がある」との見解を示しています。



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