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GHCプレミアムセミナー「コロナ禍の集患は後方連携から ~持続可能な連携に向けて~ 」 GemMed塾

がん拠点病院の指定要件見直し、「緩和ケアや相談支援体制の充実」等が重要ポイントの1つ―がん拠点病院指定要件WG

2022.6.21.(火)

6月20日に開催された「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」(以下、ワーキング)で、都道府県がん診療連携拠点病院や地域がん診療連携拠点病院などの指定要件(整備指針)の見直し案に関する詳細な議論が行われました。

●厚労省の提示した指定要件見直し案はこちら(今後、構成員意見等を踏まえて修正される可能性があります)
(参考)現行の指定要件はこちら

構成員からは「がん患者が少なくとも1度は相談支援センターを訪れるようにすることを全拠点病院等で義務化すべき」「カンファレンスの在り方を▼臓器別カンファレンス▼臓器横断的カンファレンス▼病院全体でのカンファレンス—の3区分とすべき」「全患者に対して、第5のバイタルサインとして『痛み』のスクリーニングを毎日行うことを義務化すべき」などの意見が出ています。こうした意見も踏まえて細部を調整し、7月(2022年7月)に開催される親会議「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」に報告します。

県内のがん拠点病院等が参画する協議会設け、県全体のがん医療水準向上を目指す

我が国の死因第1位を独走する「がん」を克服するため、予防・治療・共生・研究・基盤整備といった諸施策は、概ね5年を1期とする「がん対策推進基本計画」に沿って進めることとなっています。現在、2018-22年度を対象とする第3期計画が稼働しており、近く、2023年度からの新たな第4期がん対策推進基本計画策定に向けた議論が本格化します(関連記事はこちら)。

また、「日本全国のどの地域に住んでいても、優れたがん医療を受けられる体制を整える」(均てん化)という方針の下、我が国では、▼高度ながん医療を提供する「がん診療連携拠点病院」等▼小児特性に踏まえた高度がん医療を提供する「小児がん拠点病院」等▼ゲノム解析結果を踏まえて適切ながん医療提供を目指す「がんゲノム医療中核拠点病院」等―の整備が進められてきています。

がん医療の高度化(例えば新たな医療技術の開発・普及など)し、患者ニーズの多様化など、がん医療を取り巻く環境は絶えず変化します。このため「がん診療連携拠点病院」等の指定要件についても定期的に見直すことが求められます。▼成人拠点・小児拠点では4年に一度▼ゲノム拠点では2年に一度―見直すこととされ、現在、厚生労働省の検討会・ワーキンググループで要件見直し論議が進められています。今年(2022年)7月に新要件が設定される見込みです(関連記事はこちら(がん診療提供体制検討会)こちら(がん診療連携拠点病院等について2)こちら(がん診療連携拠点病院等について)こちら(がんゲノム医療中核拠点病院等について)こちら(小児がん拠点病院))。

成人拠点・小児拠点・ゲノム拠点等の指定要件を整合性を確保して見直すため、がんゲノム医療中核拠点病院等の指定期間を延長する(がん診療提供体制検討会2 211027)



「がん診療連携拠点病院」等(以下、成人拠点病院等)の指定要件に関しては、昨年(2021年)12月の論点整理論議今年(2022年)5月の総論論議を経て、今般、厚生労働省から見直し案が提示され、これに基づいた議論が行われました。改正点は多岐にわたるため、ポイントを絞って眺めてみましょう。



まず「都道府県協議会」(都道府県内のすべての成人拠点病院などが参画し、県内のがん医療水準向上などに向けた協議を行う組織)の機能を大幅に拡充。例えば、次のような医療内容について「地域のどの医療機関が担うのか」などの整理・明確化を行い、関係者間で広く共有することを求めています。患者に対し「●●がん(例えば希少がん)は◆◆病院が強いので、そこに紹介します。自院と◆◆病院とで連携して治療に当たります」と明確に説明できる環境が整備されると期待されます。
▽一部の限定的な医療機関でのみ実施される薬物療法
▽集約化することにより予後の改善が見込める手術療法
▽強度変調放射線療法や密封小線源療法、専用治療病室を要する核医学治療等の放射線治療、高度で特殊な画像下治療(IVR)
▽緩和ケアセンター、緩和ケア病棟、ホスピス、神経ブロック、緊急緩和放射線治療等の緩和医療
▽分野別に希少がん・難治がんの対応を行う体制
▽小児がんの長期フォローアップの実施
▽AYA世代のがんの支援体制
▽妊孕性温存療法の実施
▽がんゲノム医療

また、地域の拠点病院等の院内がん登録データにとどまらず、「診療実績」などのデータも共有・分析・評価し、さらにその結果を「公表する」ことを求めています。これにより「患者の病院選択」の一助になるとともに、「病院間の切磋琢磨によるがん医療の質向上」が期待できます。この点に関連して増田昌人構成員(琉球大学病院がんセンターセンター長/診療教授)は「QI(quality indicator)の利用」も都道府県協議会の役割の1つであると明示するよう求めています。この点、Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)では「CQI(Cancer Quality Initiative)研究会」(代表世話人:望月泉:八幡平市病院事業管理者・岩手県立病院名誉院長)に協力(GHCがデータ分析等実施)。「DPCデータをもとにした各病院の治療内容・実績比較」「各病院のクリニカルパス比較」を行い、がん診療の質向上を目指しています。

さらに、今般の新型コロナウイルス感染症でその必要性が重視された「都道府県やがん医療圏におけるBCP」に関する議論を行うことも、都道府県協議会の重要な役割になります。例えば「感染症蔓延時には、A病院は感染症対応に専念し、A病院のがん患者は一時的にB病院・C病院で引き受けることにする」などの計画を事前に固めておくイメージです。

関連して増田昌人構成員は「国の協議会」(国立がん研究センター+都道府県拠点病院)において、▼我が国おけるがん医療の「均てん化」と「集約化」の基本方針▼難治がん医療▼高齢者のがん医療▼小児がんの長期フォロー—に関する検討を行うべきとも進言。ただし厚労省担当者は「次々回の指定要件見直しに向けた宿題とし、まず国の研究班で研究を進めてはどうか」との考えを示しています。

がん診療連携拠点病院等は、「全国のどの地域に住んでいても、優れたがん医療を受けられる」という「均てん化」を目指して整備が進められてきました。ただし、一部の高度治療技術や、症例が少ないがん種などについては「特定の施設に集約化した方が、研究が進み、医療の質も向上する」と考えられます。今回の指定要件見直しでも「均てん化」と「集約化」のバランスが重要視点の1つになり、この視点での研究・検討が今後も重要論点になることが再確認されたと言えるでしょう。

地域におけるがん診療体制の在り方イメージ(がん診療連携拠点病院指定要件WG1 220530)

がん拠点病院に求められるカンファレンス、どのような形が望ましいか

地域がん診療連携拠点病院については、例えば次のような大きな見直しが行われます。

(1)診療機能として「我が国に多いがん」(▼肺がん▼消化器がん(大腸、胃、膵臓、肝臓、胆嚢・胆管、食道等)▼乳がん▼婦人科がん(子宮、卵巣等)▼泌尿器がん(前立腺、腎・尿路、膀胱等)▼血液がん(悪性リンパ腫等)—)を中心に集学的治療(手術+放射線治療+薬物治療)・リハビリ・緩和ケアを提供する体制を有し、各学会の診療ガイドラインに準ずる表儒的治療を行うことを求める(対象がん種の明確化と拡充)

(2)必要に応じて以下のカンファレンスを定期的に行う((iii)のカンファレンスは月1回以上)
(i)個別もしくは少数の診療科の医師を主体とした日常的なカンファレンス
(ii)(i)に加え、看護師、薬剤師、必要に応じて公認心理師や緩和ケアチーム代表者等を加えた症例への対応方針を検討するカンファレンス
(iii)手術、放射線診断、放射線治療、薬物療法、病理診断、緩和ケア等に携わる専門的な知識・技能を有する医師に加え、多職種も含めた、がん患者の診断・治療方針等を意見交換・共有・検討・確認等するためのカンファレンス

(3)緩和ケア提供に関し「経時的にがん患者の身体的苦痛や精神心理的苦痛、社会的な問題等の把握、およびそれらに対する適切な対応を、診断時から一貫して行う」「外来での専門的な緩和ケア提供体制を整備する。自施設のがん患者に限らず、他施設でがん診療を受けている、または受けていた患者についても受け入れを行う」などの充実を図る

(4)地域連携の推進の強化に向けて、例えば「都道府県や地域の患者会等と連携を図り、ピア・サポートの質向上に対する支援等に努める」ことを求める

(5)例えば「希少がん・難治がんの患者の診断、治療に関し、積極的に都道府県協議会における役割分担の整理を活用し、対応可能な施設への紹介やコンサルテーションで対応する」ことなどを求める

(6)診療従事者要件について、「リハビリの専門的知識・技能を有する医師」配置を新たに「望ましい要件」(将来的に義務化される)として盛り込むとともに、現行の「300人以下医療圏での緩和措置」(当該医療圏の病院医師数が概ね300人を下回る医療圏では、人員配置基準を緩和する経過措置を設ける)の廃止などを行う

(7)相談支援・情報提供に関して、「相談者に対するコミュニケーション上の配慮を行う」(例えば視聴覚障害者への配慮など)、「相談支援センターの患者・家族への広報を強化する」などの充実を図る

(8)「高度型」を廃止する



このうち(1)の「我が国に多いがん」について東尚弘構成員(国立がん研究センターがん対策研究所がん登録センターセンター長)は、「列挙したがん種が多すぎるのではないか。症例数順というわけでもない。また症例数は時間とともに変化するので、がん種を並べずとも良いのではないか」との考えを示しています。

また(2)のカンファレンスについては、現行の「月1回以上のキャンサーボード開催」要件が分かりにくく、不明確であるとの指摘が多かったことを踏まえた見直しを行うものです。ただし、東構成員や増田昌人構成員は、(i)臓器別の治療方針を検討するカンファレンス(ii)臓器横断的なテーマのカンファレンス(例えば原発不明がん、骨転移など)(iii)倫理面なども勘案した病院全体でのカンファレンス—の3区分が望ましいと提案しています。今後、厚労省と藤也寸志座長(九州がんセンター院長)を中心に調整・検討が行われます。

一方、(3)の緩和ケアに関しては、増田昌人構成員や田村恵子構成員(京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻先端中核看護科学講座緩和ケア看護学分野教授)らから「すべての入院患者について毎日、病棟看護師が痛みの有無をチェックする(例えば朝の検温時など)。痛みを訴える患者については主治医に報告を行い、必要な対応を行う。主治医の手に余る場合には緩和ケアチームにつなぐ」という体制の義務化を求める強い意見が出されました。増田昌人構成員は「現在、とりあえず緩和ケアチームに投げてしまえという風潮もある。病棟看護師、主治医の責任を明確化すべき」と、田村構成員は「痛みは第5のバイタルサインと捉え、毎日チェックすべき」との考えを強調しています。

がん拠点病院、主治医から「セカンドオピニオンを受けてほしい」と患者に要請すべき

さらに増田昌人構成員は「セカンドオピニオンについて、主治医から『セカンドオピニオンを受けてください』との受診勧奨を行うことを義務付けるべき」とも進言。セカンドオピニオンは一般的になってきましたが、患者サイドからすれば「主治医の気分を害するのではないか」と考え、言い出しにくいのが実際です。この点、主治医サイドから「セカンドオピニオンを受けてください。必要な診療データ等は準備しますよ」と言い出してもらうことで、患者の心理的不安は大きく解消されます。こうした点も踏まえて患者代表である松本陽子構成員(愛媛がんサポートおれんじの会理事長)も増田昌人構成員の提案に強く賛同しています。

他方(6)の診療従事者要件に関しては、「診療放射線技師を2人以上配置しないことで医療事故が生じている。専従・専任はさておき『2人以上』配置を明示してほしい」(大西洋構成員:山梨大学医学部放射線医学講座教授)、「専門看護師、認定看護師という文言が指定要件(整備指針)にあることで配置が進む意味もあり、用語を明示してほしい」(久保祐子構成員:日本看護協会看護開発部部長)などの声が出ています。修正を行うべきか否か、厚労省と藤座長との間で調整が行われます

さらに(7)に関しては、増田昌人構成員や松本構成員から「患者が、少なくとも1度は相談支援センターを訪れる」ことを義務化すべきとの要望がありました。松本構成員は「診察室で主治医から『がん』の告知をされ、多くの患者は真っ暗な気持ちで家路につく」と患者の心情を吐露。その際、例えば主治医から「このあと相談支援センターに寄って、相談をしてください」と働きかけがあり、実際に相談支援センターを訪れることが一般的になれば、患者の心理的な負担はいくらかでも軽減されることでしょう(少なくとも「どうやって家に帰ってきたか覚えていない」などの事態を防げる)。増田昌人構成員は「ここに相談支援センターがあるのか」と見に行くだけでも良い(不安な時にはここに相談に来ればよいと分かる)とコメントしています。

関連して早坂由美子構成員(日本医療ソーシャルワーカー協会理事)は「相談支援センターの2割で社会福祉士等配置が行われていない。医療だけでなく、経済、就労など多様な不安を抱えている患者にも対応できるよう、社会福祉士等配置を望ましい要件として入れるべき」と提案しています。

都道府県拠点病院、相談支援センターの人員を「専従2名+専任1名」に拡充すべきか

都道府県がん診療連携拠点病院に関しては、地域がん診療連携拠点病院の要件を満たすとともに、▼都道府県協議会の運営を担う▼将来の拠点病院のモデル的な役割を担う—ことが求められ、例えば「緩和ケアセンター(緩和ケアチーム・緩和ケア外来・緩和ケア病棟などを有機的に統合する組織)の機能強化」「相談支援センターの機能強化」などが行われます。

後者の相談支援センターについて増田昌人構成員は「現在、都道府県拠点病院と地域拠点病院とで配置基準が同一であるのは問題ではないか」とし、次のような見直しを求めています。

【都道府県拠点病院】
(現行)専従1名、専任1名

(見直し案)専従2名、専任1名(1名の増員)

【地域拠点病院】
(現行)専従1名、専任1名

(見直し案)専従2名(0.5名の増員)

【地域がん診療病院】
(現行)専従1名、専任1名

(見直し案)専従1名、専任1名(追加なし、ただし2人目の研修レベルアップを期待する)

都道府県拠点病院において相談支援機能の更なる強化が求められ、スタッフの負担が重くなることを見据えた提案ですが、「予算の確保が必要である」といった点はもちろん「相談支援体制の在り方に関する研究(相談支援に関するコストをだれがどう負担すべきかなど)が必要である」などの課題もあり、厚労省担当者と藤座長とで実現可能性も含めて調整が進められます。

地域がん診療病院に「月1回以上の放射線・薬物療法外来設置」を求めるべきか

また、地域がん診療連携拠点病院の要件を全て充足することはできないものの、一定の基準をクリアした病院については「地域がん診療病院」として指定が行われます(がん拠点病院の空白地域においてのみ指定可)。地域がん診療病院は、近隣の地域がん診療連携病院と「グループ」を組んで、がん対策を進めます。

上述した「地域がん診療連携拠点病院の要件見直し」を踏まえた見直しが行われますが、増田昌人構成員は「月に1回以上、放射線治療と薬物療法の専門外来を行う」ことの義務付け(ただし1年間の猶予期間を設置)を提案しています。

例えば、グループ内の拠点病院から、あるいはグループ外の拠点病院から専門医を招聘し、放射線治療・薬物療法の専門外来を設けることで、地域のがん患者に専門的ながん医療を提供することが可能になります。増田昌人構成員は「がん種別の専門外来設置などはさすがに困難であろうが、放射線治療・薬物療法に限定すれば十分可能であろう」と見通し、大西構成員もこれに賛同しています。



このように、様々な提案がなされており「指定要件(整備指針)見直し内容が固まった」とはまだ言えない状況です。今後、藤座長と厚労省担当者で提案・意見の内容・趣旨を踏まえて見直し案を調整し、7月に開催される親会議「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」に報告。そこでの議論を経て「がん診療連携拠点病院等の指定要件」見直し内容が確定し、それに基づいて来春(2023年3月)に新たながん診療連携拠点病院等が誕生します(指定を受けられなく病院も出てくる可能性あり)。

なお、がんゲノム医療中核拠点病院等、小児がん拠点病院等の指定要件見直し論議も別途進められており、今後、その内容が明らかにされていきます。



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