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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

がん診療連携拠点病院や小児がん診療病院、エビデンスなき、いわゆる免疫療法の「推奨」も不可—厚労省

2022.8.4.(木)

厚生労働省は8月1日に、▼がん診療連携拠点病院等(成人拠点病院)▼小児がん診療病院等▼がんゲノム医療中核拠点病院等—について、新たな指定要件(整備指針)を健康局長通知として発出しました。一部のがん診療連携拠点病院において「敷地内の別医療機関で、エビデンスのない、いわゆる『免疫療法』を実施」しており、患者の誤解を招きかねない事態となっている点などを踏まえ、「エビデンスのない、いわゆる『免疫療法』について、実施はもちろん、推奨することも認めない」旨を明確にしています(がんゲノム医療中核拠点病院でも当然に同様)。

【厚労省のサイト(新指定要件)はこちら】
がん診療連携拠点病院等
小児がん診療病院等
がんゲノム医療中核拠点病院等

来年(2023年)4月から、これら新指定要件(整備指針)に沿った指定見直しが行われます(2月・3月頃に指定見直しの検討会が開かれる見込み)、。

エビデンスのない、いわゆる「免疫療法」、拠点病院等で「推奨しない」ことも求める

Gem Medでお伝えしているとおり、「がん診療連携拠点病院」(成人拠点)や「がんゲノム医療中核拠点病院」「がんゲノム医療拠点病院」「小児がん診療病院」などの指定要件が見直し論議が進められ、7月21日の「がん診療提供体制の在り方に関する検討会」(以下、検討会)で概ね見直し内容が固められました。
【関連記事】
●がん診療体制の在り方検討会(親会議):こちら(小児拠点、ゲノム中核拠点等の指定要件見直し確定)こちら(成人拠点等の指定要件見直し確定)こちら
●成人拠点等:こちらこちらこちら
●小児拠点等:こちらこちらこちら
●ゲノム中核拠点等:こちらこちら

成人拠点・小児拠点・ゲノム拠点等の指定要件を整合性を確保して見直すため、がんゲノム医療中核拠点病院等の指定期間を延長する(がん診療提供体制検討会2 211027)


本稿では、検討会に示された「見直し案」から今般の「新指定要件(整備指針)」確定に向けた変更点(検討会構成員の意見を踏まえた最終調整)の主なものをピックアップしてみます。従前からの「見直し点」については、小児拠点、ゲノム中核拠点等の指定要件見直し確定に関する記事成人拠点等の指定要件見直し確定に関する記事で詳説していますので、そちらをご参照ください。

がん診療連携拠点病院等について】

▽「医療圏」について「がん医療圏」であることを明示(関連記事はこちらこちら

▽「保険適用外の免疫療法等」について、実施にとどまらず、「推奨しない」ことを明確化(関連記事はこちらこちら

▽緩和ケアについて、「緩和ケア外来を設置する」ことを例示し、全患者に対し積極的な実施を行う旨を強調

▽大規模災害や感染症の流行などにより自院の診療状況に変化が生じた場合に「速やかに情報公開をする」よう努めることを求める

▽これまでに拠点病院として指定されていた病院の取り扱いや、都道府県による指定推薦に関する手続き規定を明確化



小児がん診療病院等について】

▽地域における小児がん診療のさらなるネットワーク化をすすめ、適切な連携のもと小児がん医療及び支援を提供するための「地域ブロック協議会」について、位置付け・機能をより明確化

▽小児がん拠点病院は、「地域ブロック協議会」の中心的役割を担うこと、その役割を果たす責務を負っていることを十分に認識し、関係者に対して必要な支援を行うよう、より強く要請(記載位置をより上部に移動)

▽「保険適用外の免疫療法等」について、実施にとどまらず、「推奨しない」ことを明確化

▽小児患者の医療心理に携わる者の配置要件について明確化

▽がん相談支援センター配置者の研修要件などを明確化(国立がん研究センターの研修で「認定を受けている」ことが求められる旨を明確化)

▽大規模災害や感染症の流行などにより自院の診療状況に変化が生じた場合に「速やかに情報公開をする」よう努めることを求める

▽治験の後方に関する規定を明確化

▽小児がん連携病院2(特定のがん種等についての診療を行う)・小児がん連携病院3(長期フォローを行う)においても「がん相談支援センター設置」を求める

▽これまでに拠点病院として指定されていた病院の取り扱いや、都道府県による指定推薦に関する手続き規定を明確化

▽用語解説に「二次がん」(化学療法や放射線による正常細胞の傷害のため、治療を終えた数年から数十年後に生じる、もとのがんとは別の種類のがん)を追記



がんゲノム医療中核拠点病院等について】

▽中核拠点病院・拠点病院・連携病院において、「遺伝カウンセリング・遺伝性腫瘍カウンセリングの実施数について、別途定める現況報告書で報告する」義務を明確化

▽これまでに拠点病院として指定されていた病院の取り扱いや、都道府県による指定推薦に関する手続き規定を明確化

▽用語解説を充実(常勤、専従・専任についての解説を追記)



拠点病院等においては、新指定要件(整備指針)に沿って体制等を充実するとともに、他の拠点病院等との「連携」をこれまで以上に充実していくことが強く求められています。



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