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介護文書のローカルルールは極力廃止し、文書負担軽減スピードをさらに上げよ―介護文書負担軽減専門委員会

2022.8.31.(水)

介護文書負担について「ローカルルールを極力制限し、標準化を進めていく」「文書負担軽減のスピード上げていく」「ICT推進にあたり中小・零細事業所を支援する」などの視点にたって軽減を進めてほしい—。

なお、安易な文書削減により「安全性を含めたケアの質や低下」が生じてはいけないことから、「1つ1つの文書の意義・必要性」を十分に勘案する必要がある—。

8月24日に開催された、社会保障審議会・介護保険部会の「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」(以下、専門委員会)で、介護事業者団体などからこういった意見・要望が多数出されました。

安易な文書軽減で「安全性を含むケアの質」低下が生じてはいけない

介護分野では従前から人材不足が大きな課題となっており、この課題が少子高齢化が進展する中でさらに大きなものとなっていきます。このため「人材確保・定着」をどう進めていくかが極めて重要となり、その一環として「提出文書作成の負担が大きく、これを軽減してほしい」との強い要望が介護現場から強く出されています。厚労省は、専門委員会を設置し、下図のように段階的に文書の簡素化・標準化・ICT化を図っていく方針を明確にし(専門委員会中間報告)(関連記事はこちら)、順次、対応が図られてきています(関連記事はこちら)。

介護文書負担軽減に向けたスケジュール(介護文書負担軽減専門委員会1 200330)



さらに、本年(2022年)6月に閣議決定された規制改革実施計画では、「介護分野におけるローカルルール等による手続負担の軽減」が必要であるとし、例えば▼介護事業者の提出文書について、国の定める様式等に沿うことを求める法令を整備する▼介護事業者が地方公共団体に対して行う手続きについて、簡素化や利便性向上に係る国や地方公共団体に対する要望を随時に提出できる専用の窓口を設ける▼介護事業者の選択により「電子申請届出システム」を利用して、どの地方公共団体でも手続きを完結し得るような法令の整備を行う▼ローカルルールの状況を定期的に調査・公表する—といった方針を打ち出しています。

いわゆる「地方分権」の流れに沿い、地域保険である介護保険制度では「届け出手続きなどの詳細は、地方自治体が定める」こととなっています。このため、「介護事業者の適正運用のため、多くの書類提出を求め、手続きの適正性を厳格に確認しよう」と考える自治体もあれば、「介護事業者・自治体双方の事務処理の手間を軽減するために提出書類は必要最低限にとどめよう」と考える自治体もあります。いずれの考え方も「正しい」と言えますが、例えば広域にサービス展開する法人では、A自治体用の書類、B自治体要の書類、C自治体の書類・・・を準備しなければならず、事務負担が非常に大きくなっていると指摘されます。規制改革実行計画では、この課題解消に向けた提言を行っており、専門委員会で具体的な検討が行われているものです。

8月24日には、▼全国介護事業者連盟▼全国個室ユニット型施設推進協議会▼全国社会福祉法人経営者協議会▼日本歯科医師会▼高齢者住宅協会▼全国有料老人ホーム協会▼全日本病院協会▼宅老所・グループホーム全国ネットワーク▼日本認知症グループホーム協会▼日本理学療法士協会▼日本リハビリテーション医学会▼日本リハビリテーション病院・施設協会▼日本訪問リハビリテーション協会▼全国デイ・ケア協会—から、こうした文書負担軽減方策に関する意見聴取を行いました。

全般的に規制改革実施計画の方針に「賛同」する声とともに、▼地方独自ルールは極力限定すべき(全国個室ユニット型施設推進協議会、高齢者住宅協会、全国有料老人ホーム協会、全日病)▼文書負担軽減が進む一方で、それを上回る量の文書負担増(例えばLIFE関連)が進んでいる。負担軽減にスピードを上げてほしい(全国介護事業者連盟)▼ICT推進は極めて重要だが、中小・零細事業所が置いてけぼりにならないように支援してほしい(全国介護事業者連盟、宅老所・グループホーム全国ネットワーク)▼ルール簡素化に関する「要望・相談窓口」を国だけでなく、地方自治体にも設けるべき(全国個室ユニット型施設推進協議会、日本リハビリテーション医学会ほか)—などの提案・要望が出ています。

また、介護職員の処遇改善について、「加算が3種類(介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)あり文書負担が極めて大きい。中小規模事業所の中には、文書作成を外部コンサルなどに委託し、その委託費が大きな負担になっているところ、委託費が大きく加算取得を諦めているところもある。加算の統合などを検討してほしい」との声が全国介護事業者連盟や全日病らから出ています。



今後、こうした意見も踏まえながら「さらなる文書負担軽減策」を専門委員会で練っていきますが、例えば監査・指導における提出書類の安易な簡素化について「サービスの質低下を招く危険性もある」点を宅老所・グループホーム全国ネットワークは強調している点にも留意が必要です。厚生労働省老健局高齢者支援課の須藤明彦課長も「簡素化ばかりすすめ、現場の安全性に問題が出てはいけない。1つ1つのルールについて、その必要性に立ち返って考えていく必要がある」とコメントしています。



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