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全国の医療機関等で確認・共有できる「過去の診療情報」、9月11日から診療行為などに大幅拡大—社保審・医療部会(2)

2022.9.8.(木)

全国の医療機関等で、オンライン資格確認等システムのインフラを活用して「患者の過去の診療情報を確認・共有」し、現在の診療に活かす取り組みが進められている—。

この確認・共有可能な情報について、この9月11日(2022年9月11日)から▼医療機関名、受診歴▼診療年月日▼診療行為名(放射線治療、画像診断、病理診断、医学管理等、在宅医療のうち在宅療養指導管理料、処置のうち人工腎臓・持続緩徐式血液濾過・腹膜灌流)—などにも拡大していく—。

9月5日に開催された社会保険医療協議会・医療部会では、こういった報告も行われました。確認・共有可能な診療情報の範囲が広がり、「医療の質がさらに向上していく」ことが期待されます。

9月5日に開催された「第90回 社会保障審議会 医療部会」

全国医療機関等での過去の診療情報確認、9月11日から対象拡大

Gem Medで繰り返し報じているとおり、来年(2023年)4月から「オンライン資格確認等システム」の導入が保険医療機関等に原則義務づけられます。

オンライン資格確認等システムは「患者の資格確認(どの医療保険に加入しているのかの確認)を円滑・確実に行う」仕組みですが、そのインフラを活用して「患者の過去の診療情報を医療機関等で確認・共有し、診療内容に活かす」ことが可能となっています。

この確認・共有可能な「過去の診療情報」は、現在のところ▼薬剤情報▼特定健康診査情報—に限られていますが、「徐々に拡大していく」方針が固められており、「本年(2022年)9月11日から次の診療情報に拡大する」ことが9月5日の医療部会で明らかにされました(拡大する情報はすでに確定しており、確認・共有可能となる日時が明らかにされた)。また同日から、同じような情報を患者自身がマイナポータルで確認することも可能となります

▽医療機関名、受診歴
▽ 診療年月日、入外等区分、診療識別、以下の診療行為名
▼放射線治療
▼画像診断(行ったかどうかが確認可能、画像データなどは共有されない)
▼病理診断(行ったかどうかが確認可能、診断結果などは共有されない)
▼医学管理等
▼在宅医療のうち在宅療養指導管理料
▼処置のうち人工腎臓、持続緩徐式血液濾過、腹膜灌流

全国の医療機関で確認・共有可能な診療情報の拡大(1)(社保審・医療部会(2)1 220905)

全国の医療機関で確認・共有可能な診療情報の拡大(2)(社保審・医療部会(2)2 220905)



「病名」については、「現時点では情報共有は時期尚早」と健康・医療・介護情報利活用検討会(以下、検討会)で判断されています。かつてに比べて「病名の患者への告知」は進んでいますが、患者の状況等を踏まえて慎重に行われており、「告知がなされないケース」「患者の医療知識を踏まえて、医師があえて『厳密には異なるが理解しやすい病名』を伝えるケース」なども存在します。

この場合、患者が自身の病名をレセプトで確認した場合に、「告知されていないが、自分は●●(例えば「がん」)だったのか」と驚愕し、大きなストレスを受ける場面や、「先生に聞いた病名と異なる。あの先生は嘘をついている」と信頼関係が揺らいでしまう場面なども想定できます。このため検討会では、▼患者への告知を前提に病名情報を共有する▼今後、「レセプト上で告知状況を確認できる方法」を十分に議論し、あらためて具体的な仕組みを検討・実装する—という方針が定められたのです(関連記事はこちらこちら)。

なお、検討会では、「医師であれば、確認・共有可能なレセプトの『医学管理』(いわゆるBコード)情報などから病名を推察でき、その推察情報を現在の診療に活かすことが可能である」点も確認されています。



また、「手術」情報については、「他の情報よりも一段、機微性が高い」とされ、「来年(2023年)5月をめどに、他の情報とは別個に『確認・共有を認めて良いか』を患者本人が同意する」仕組みとすることが決まっています(関連記事はこちらこちらこちら)。

さらに、将来的には「標準化された電子カルテ情報」についても、患者同意を前提として「全国の医療機関で確認・共有可能とする」構想が打ち立てれ、システム構築に向けた議論が進められています(関連記事はこちら)。今後、こうした様々な情報を診療に活かし「より質の高い医療」提供が可能になると期待されます。

なお、9月11日の情報拡大にあわせ、マイナンバーカードで医療機関を受診した場合の「確認画面」が更新されます(来年(2023年)5月の手術情報拡大時に更に更新される予定、関連記事はこちら)。

マイナンバー制度を活用した「医師・看護師の資格確認、データベース化」にも期待

ところで、マイナンバー制度は「医師、看護師などの国家資格」情報を確認する際にも活用されていきます(関連記事はこちら)。

医師、歯科医師、薬剤師、看護師、リハビリ専門職種、介護福祉士、介護支援専門員などの22職種について、▼資格に関連する届け出(得喪など)▼就職に当たっての資格証明▼離職中の就業支援—に関して、マイナンバー制度(マイナンバー・マイナンバーカード)の利活用を進めていく方針が固められており、9月5日の医療部会には、その枠組みの大枠が報告されました。

上記の「届け出」や「資格証明」におけるメリットのほか、▼医師・歯科医師・薬剤師については、今年度(2022年度)から三師届・業務従事者届のオンライン届け出を可能とする(これにより正確な情報が迅速に集まり、将来的に「分析」などが迅速に行えると期待される)▼看護師については、キャリアデータベース・復職支援などの人材活用システムに活用していく—という大きな附随的メリットが生まれます。

医療関係資格におけるマイナンバの活用(社保審・医療部会(2)3 220905)

国家資格等情報連携・活用システムの基本イメージ(社保審・医療部会(2)6 220905)



三師(医師・歯科医師・薬剤師)届は、2年に1度、「紙」ベースで行われますが、今年度(2022年度)から「オンラインで行う」ことも可能となります。徐々にオンライン届の比率が高まれば、「集計」「分析」などが迅速に行え、今後の「医師偏在解消」策を検討する際の重要なデータになると期待されます。このため井上隆委員(日本経済団体連合会専務理事)や都竹淳也委員(全国市長会(岐阜県飛騨市長))らは「オンライン届を原則とし、早急に紙ベースの届を廃止する」よう要望。また木戸道子委員(日本赤十字社医療センター第一産婦人科部長)は「オンライン届のメリットをPRし、皆がオンライン届に移行するよう促すことが重要である」と訴えました。

三師届のオンライン化(社保審・医療部会(2)4 220905)



また、看護師の人材活用システムは、看護師個々人の様々な情報(特定行為研修修了の有無なども含めて)をデータベースに登録し、都道府県のナースセンターと共有して、▼キャリアアップ▼復職支援—などに活用することを目指すものです。

看護職キャリアデータベースの活用(社保審・医療部会(2)5 220905)



この点、小熊豊委員(全国自治体病院協議会会長)は「医師偏在対策の中で『どのような技術を持った医師』がどこに何名いるのかという情報が必要となる。医師についても、看護師と同様のデータベースを構築するべき」と提案しています。非常に重要な提案ですが「データベース化に反対する声」もあるようで、「医療界での意見集約」が待たれるところです。

なお、来年(2023年)1月からスタートする「電子処方箋」では「医師が当該処方箋を発行した」ことの証明が求められ、HPKI(医師等の資格を電子的に証明するための仕組みとして厚労省が作成した「保健医療福祉分野の公開鍵基盤」、Healthcare Public Key Infrastructure)を用いることになります。HPKIとマイナンバーカードによる医師資格確認とは、当面「併存する」ことになります。

へき地のコロナワクチン接種会場への看護職派遣、年度末(2023年3月)頃まで延長へ

また9月5日の医療部会では、例外的・時限的に認められている「へき地以外のワクチン接種会合への看護職員派遣」(来年(2022年)9月30日まで)について、オミクロン株対応ワクチン接種を円滑に進めるため「本年度末頃まで延長」してはどうかという議論も行われました。

コロナワクチン接種のための臨時特例的な「看護師派遣」の期限を延長へ(社保審・医療部会(2)7 220905)



この点、明確な反対意見は出ていませんが、佐保昌一委員(日本労働組合総連合会総合政策推進局長)は「度重なる延長で、派遣で既成事実化してしまうことを懸念している。派遣された看護師が、ワクチン接種業務以外の業務に従事していないかなど、確認する必要がある」と注文をつけています。

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