抗がん剤のエンハーツ点滴静注、対象となる乳がん患者の限定を一部緩和—厚労省
2022.11.28.(月)
抗がん剤のエンハーツ点滴静注について、投与対象となる乳がん患者の限定を一部緩和する—。
厚生労働省は11月24日に通知「医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正等について」を発出し、こうした点を明らかにしました。
「胃がん」患者の対象限定規定は従前と変わらず
「エンハーツ点滴静注用100mg」(一般名:トラスツズマブ・デルクステカン(遺伝子組換え))は、▼化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発の乳がん▼がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん—に対する効能・効果が認められています。
今般、前者の「乳がん」治療について、保険診療の中で本剤を用いる場合の留意事項が次のように見直されました。より広範な「乳がん」患者に本剤を使用することが可能になります。
▽化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発の乳がんのうち「標準的な治療が困難な場合に限る」との限定を付されていたところ、限定を一部緩和し「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発の乳がん」を対象とする
▽具体的な対象患者を次のように見直す
(これまで)▼トラスツズマブ(遺伝子組換え)(ハーセプチンほか)▼タキサン系抗悪性腫瘍剤(パクリタキセルほか)▼トラスツズマブ・エムタンシン(遺伝子組換え)(カドサイラ点滴静注)—の治療歴を有する患者(その旨をレセプトに記載)
↓
(見直し後)▼トラスツズマブ(遺伝子組換え)(ハーセプチンほか)▼タキサン系抗悪性腫瘍剤(パクリタキセルほか)—の治療歴を有する患者(その旨をレセプトに記載)
なお、後者の「胃がん」治療について、保険診療内で本剤を使用する場合の留意事項は見直されておらず、次のように規定されています(関連記事はこちら)。
▽一次治療および二次治療の治療歴を有し、かつ、トラスツズマブ(遺伝子組換え)(ハーセプチンほか)を含む化学療法による治療歴を有する患者に投与する
▽一次治療および二次治療で実施した化学療法をレセプトに記載する
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