Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

エンハーツ点滴静注、HER2陽性の切除不能な進行・再発の「胃がん」にも保険診療で使用可―厚労省

2020.9.30.(水)

乳がん治療に用いる「エンハーツ点滴静注」について、今般、「胃がん」への効能・効果追加が認められ、発作性夜間ヘモグロビン尿症の治療に用いる「ユルトミリス点滴静注」について、今般、「非典型溶血性尿毒症症候群」への効能・効果追加が認められたことなどを受け、保険診療上の留意事項を整理する―。

厚生労働省は9月25日に通知「医薬品医療機器等法上の効能・効果等の変更に伴う留意事項の一部改正について」を発出し、こうした点を明らかにしました(厚労省のサイトはこちら)。

医薬品の効能・効果追加を踏まえて、保険診療上の留意事項を整理

保険診療上、医薬品の使用は「効能・効果が認められた傷病」のみとなるのが原則です(例外的に、医学的な妥当性から効能・効果が認められてない傷病治療に用いることを社会保険診療報酬支払基金等が許可することもある)。今般、効能・効果等に変更が行われた医療用医薬品について、保険診療上の留意事項に関しても見直しが行われたものです。

まず、すでに「発作性夜間ヘモグロビン尿症」への効能・効果が認められている「ユルトミリス点滴静注300mg」(一般名:ラブリズマブ(遺伝子組換え))について、今般「非典型溶血性尿毒症症候群」への効能・効果が新たに認められました。

保険診療上は、「補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群以外の患者に投与しない」ことに留意する必要があります(使用上の注意で「補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群の患者に使用する」とされている)。



また、すでに「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能または再発の乳がん(標準的な治療が困難な場合)」への効能・効果が認められている「エンハーツ点滴静注用100mg」(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え))について、今般「がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がん」への効能・効果が新たに認められました。

保険診療上、投与対象となるのは、▼一次治療・二次治療の治療歴を有する▼「トラスツズマブ(遺伝子組換え)」(販売名:ハーセプチン注射用、ほか後発品あり)を含む化学療法による治療歴を有する―の両方を満たす患者のみとなる点に留意が必要です(本製剤の使用上の注意に、「トラスツズマブ(遺伝子組換え)を含む化学療法による治療歴のない患者」「一次治療・二次治療」における有効性・安全性は確立していない旨が記載されています)。

この場合、レセプトに「一次治療・二次治療で実施した化学療法」を記載することが求められます。



なお、強直性脊椎炎などの治療に用いる「トルツ皮下注80mgオートインジェクター」「同皮下注80mgシリンジ」(一般名:イキセキズマブ(遺伝子組換え))について、「X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎」も保険診療の対象とすることが示されています。その際、使用上の注意には、「20週以内に治療反応が得られない場合は本剤の治療計画の継続を慎重に再考する」と記載されている点に留意して使用すること。」と記載されているので、使用に当たっては十分留意することが求められます。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

看護必要度IIでの評価が求められる病院、当初予定どおり「7月1日以降は看護必要度IIでの評価」を―疑義解釈30【2020年度診療報酬改定】
看護必要度A項目・C項目のレセ電算システムコードを一部訂正、抗がん剤の追記等行う―2020年度診療報酬改定の関連通知等訂正
看護必要度のB項目、評価票による評価が実施記録であり、別に「根拠記録」を残す必要なし―疑義解釈29【2020年度診療報酬改定】
HBOC患者への予防的「乳房切除」、1.5テスラ以上のMRI装置がなくとも実施可能―疑義解釈23【2020年度診療報酬改定】
摂食嚥下支援加算、別医療機関での「月1回以上の内視鏡下嚥下機能検査・嚥下造影」実施も可―疑義解釈20【2020年度診療報酬改定】
看護必要度A項目のレセ電算システムコードを一部訂正、【療養・就労両立支援指導料】の算定可能期限を明確化―2020年度診療報酬改定の関連通知等訂正
K930【脊髄誘発電位測定等加算】の1、DPCでの出来高評価は「食道手術」のみに限定―厚労省
ICUの早期栄養介入管理加算、在宅自己導尿の特殊カテーテル加算でQ&A提示―疑義解釈15【2020年度診療報酬改定】
【腎代替療法指導管理料】は腎代替療法導入後患者には算定不可、【退院時薬剤情報連携加算】の情報提供文書は手帳貼付は不可―疑義解釈5【2020年度診療報酬改定】
新たな看護必要度、急性期1継続病院では2020年7月から、急性期4継続病院では2021年1月から評価を―疑義解釈1【2020年度診療報酬改定】(1)

救急医療管理加算、JCSやNYHAなど「患者の具体的な状態」をレセプトに記載―厚労省
地域包括ケア病棟中心に診療報酬で病院の機能分化推進、400床以上病院で地ケア病棟新設は不可―厚労省
がん患者等の仕事と治療の両立、【療養・就労両立支援指導料】や外来化学療法の【連携充実加算】等でサポート―厚労省
遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)患者、未発症の乳房等の切除や手厚い遺伝カウンセリング等を保険適用―厚労省
人工腎臓の評価引き下げ、腎移植に向けた情報提供の推進、シャント設置術に見直しなど実施―厚労省
1-12月の救急搬送2000件以上で他要件を満たせば、4月-翌年3月まで【地域医療体制確保加算】を算定可―厚労省
総合入院体制加算、地域医療構想調整会議の合意あれば「産科、小児科」の標榜・入院医療提供せずとも可―厚労省
急性期一般等の看護必要度、C項目に乳腺悪性腫瘍手術や観血的関節固定術など追加し、6日間カウント認める―厚労省

【2020年度診療報酬改定答申5】がん患者への「ゲノム医療」「治療と仕事の両立支援」「外来での化学療法」推進
【2020年度診療報酬改定答申4】リハビリが必要な患者に適切なリハが実施されるよう、回復期リハ病棟入院料や疾患別リハ料見直し
【2020年度診療報酬改定答申3】400床以上病院の地ケア病棟、「急性期病棟からの転棟」6割以上で、入院料1割減額のペナルティ
【2020年度診療報酬改定答申2】救急2000件以上で勤務医負担軽減図る病院、【地域医療体制確保加算】(520点)でサポート
【2020年度診療報酬改定答申1】重症患者割合、特定機能病院は看護必要度IIで28%、急性期1は必要度Iで31%、必要度IIで29%に