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K930【脊髄誘発電位測定等加算】の1、DPCでの出来高評価は「食道手術」のみに限定―厚労省

2020.6.10.(水)

K930【脊髄誘発電位測定等加算】の「1 脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術に用いた場合」のうち、出来高算定(DPC包括評価からの除外)となるのは「食道の手術に用いた場合のみ」とする(4月1日に遡及適用)―。

厚生労働省が6月9日に更新・公表した「診断群分類(DPC)電子点数表」の「13 出来高算定手術等コード」から、こういった点が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら(当該ページから診断群分類(DPC)電子点数表(令和2年6月9日更新)のエクセルファイルをダウンロードしてください))。

従前の取り扱いと整合性がとれ、また医療現場に「不測のマイナス影響」を及ぼさない修正内容と言えます。

食道手術への加算拡大により全体が出来高算定となり、DPC病院の収益は減少していた

DPC制度では、医療の標準化を進めるために、入院基本料や検査料、薬剤料などが包括評価されます。包括評価ゆえに、過剰な治療等をすればコスト高となり(過剰治療を阻止する効果)、逆に必要な治療等が行われなければ医療の質が低下する(過少治療を阻止する効果)ため、時間の経過とともに標準化が進むことが期待されます。

しかし、新規の治療技術については「標準的な方法が確立していない」ことから、症例が集積され「標準的な方法が確立される」までの間、「出来高算定」となります。

この点、2020年度の診療報酬改定では、K930【脊髄誘発電位測定等加算】の「1 脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術に用いた場合」を算定する患者についてDPCの包括外とされました(すべて出来高算定となる)。

K930【脊髄誘発電位測定等加算】の「1」は、従前「脳、脊椎、脊髄又は大動脈瘤の手術に用いた場合」とされていましたが、2020年度改定で「食道の手術に用いた場合」が追加され、点数の引き上げ(3130点→3630点、500点増)が行われました。

食道の手術とは、具体的には▼K527【食道悪性腫瘍手術(単に切除のみのもの)】(1 頸部食道の場合:4万7530点、2 胸部食道の場合:5万6950点)▼K529【食道悪性腫瘍手術(消化管再建手術を併施するもの)】の「1 頸部、胸部、腹部の操作によるもの」(12万2540点)▼同じく「2 胸部、腹部の操作によるもの」(10万1490点)▼K529-2【胸腔鏡下食道悪性腫瘍手術】(1 頸部、胸部、腹部の操作によるもの:13万3240点、2 胸部、腹部の操作によるもの:10万9190点)▼K529-3【縦隔鏡下食道悪性腫瘍手術】(10万9240点)―が該当(加算の対象)します。

新たに食道手術にも対象が拡大されたことを受け、K930【脊髄誘発電位測定等加算】の「1 脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術に用いた場合」の全体が「出来高算定」となったものですが、これはDPC病院においては「厳しい」仕組みになっていました。

Gem Medを運営するグローバルヘルスコンサルティング・ジャパンの中村伸太郎アソシエイトマネジャーの分析によれば、当該加算を年間580症例程度算定するX病院では、当該症例が包括評価から出来高算定となることによって「年間4500万円程度の減収になってしまう」計算です。加算は当然、「医療(手術)の質向上」につながるものとして設定されたものですが、DPCで「減収」になってしまうことに医療現場は困惑していました。



この点、今般更新された電子点数表では、K930【脊髄誘発電位測定等加算】の「1 脳、脊椎、脊髄、大動脈瘤又は食道の手術に用いた場合」のうち、出来高算定となるのは「食道の手術に用いた場合のみ」とする(4月1日に遡及適用)との見直しが行われました(脳、脊椎、脊髄又は大動脈瘤の手術に用いた場合は包括評価のままとなる)。

K930【脊髄誘発電位測定等加算】の「1」の中でも、「脳、脊椎、脊髄又は大動脈瘤の手術に用いた場合」には、従前から「包括評価であった」ことと整合性がとれ、医療機関経営にとっても「不測のマイナス影響」を及ぼさない修正内容と言えるでしょう。

分析を担当したコンサルタント 中村 伸太郎(なかむら・しんたろう)

mota 株式会社グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンのコンサルティング部門アソシエイトマネジャー。
東京工業大学修士課程修了後、病院コンサルティング会社等勤務を経て、GHC入社。DPC分析、財務分析、事業戦略立案、看護必要度分析、リハ分析、病床戦略検討などを得意とし、全国の医療機関における複数の改善プロジェクトに従事。入退院サポートセンター開設支援、病院再編・統合、病院職員の生産性向上など社内の新規事業プロジェクトも担当する。コンサルタント紹介はこちら



ぽんすけ2020

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医師の働き方改革、入院基本料や加算の引き上げなどで対応すべきか―中医協総会(2)
がんゲノム医療の推進に向け、遺伝子パネル検査を6月から保険収載―中医協総会(1)
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中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
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救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省