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GemMed塾 看護モニタリング

介護現場でのインスリン準備・片付け、医薬品使用の介助、経管栄養チューブ固定のテープ再貼付などは「医行為」ではない—厚労省

2022.12.13.(火)

例えば、介護現場でのインスリンの準備・片付け、医薬品使用の介助、経験栄養チューブ固定のテープ再貼付などは「医行為」ではなく、介護スタッフが実施してもよい—。

ただし患者・家族の不安を払拭するために、事前に丁寧な説明を行い、患者・家族が必要に応じて相談できるような環境を整えることが望ましい—。

厚生労働省は12月1日に通知「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(その2)」を示し、こうした考えを明確にしました(厚労省サイトはこちら)。

介護現場でよく実施される「医行為でない」行為と、その留意点を整理

医療行為や看護行為は有資格者にのみ実施が認められています。

(参考)
医師法
(抜粋)
第17条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

歯科医師法(抜粋)
第17条 歯科医師でなければ、歯科医業をなしてはならない。

保健師助産師看護師法(抜粋、編集部で一部改変)
第5条 この法律において「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。
第31条 看護師でない者は、第5条に規定する業をしてはならない。ただし、医師法又は歯科医師法の規定に基づいて行う場合は、この限りでない。
2 保健師及び助産師は、前項の規定にかかわらず、第5条に規定する業を行うことができる。



ところで、介護現場においては、「実施する介護が医行為等に該当するのではないか?介護職員が実施してよいのか?」と判断に悩むケースがあるようです。

厚労省は今般の通知において、▼「介護業務の円滑な実施に向けて、医療機関以外の介護現場で実施されることが多い」と考えられる行為で、「原則として医行為ではない」と考えられるもの▼当該行為を介護職員が行うに当たり患者や家族、医療従事者等との合意形成や協力に関する事項—を整理しました。

詳細は「通知」をご参照いただきたいのですが、いくつかピックアップすると次のようになっています。介護現場等で再確認することが強く求められます。

【在宅介護等の介護現場におけるインスリンの投与の準備・片付け関係】
▽あらかじめ医師から指示されたタイミングでの▼実施の声かけ▼見守り▼未使用の注射器等の患者への手渡し▼使い終わった注射器の片付け(注射器の針を抜き、処分する行為を除く)▼記録—を行う

▽患者が血糖測定・血糖値の確認を行った後に、介護職員が「当該血糖値があらかじめ医師から指示されたインスリン注射を実施する血糖値の範囲」と合致しているかを確認する

▽患者が準備したインスリン注射器の目盛りが「あらかじめ医師から指示されたインスリンの単位数」と合っているかを読み取る

【経管栄養関係】
▽皮膚に発赤等がなく、身体へのテープ貼付に当たり専門的な管理を必要としない患者に対し、既に留置されている経鼻胃管栄養チューブを留めているテープが外れた場合にあらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行うこと、テープが汚染した場合に、あらかじめ明示された貼付位置に再度貼付を行うことは、医行為に該当しない(介護スタッフ等が実施してよい、以下同)

▽経管栄養の準備(栄養等を注入する行為を除く)、片付け(栄養等の注入を停止する行為を除く)を行うことは医行為に該当しない

▽以下の3点については医師または看護職員が行う
(1)経鼻栄養の場合に、既に留置されている栄養チューブが胃に挿入されているかを確認すること
(2)胃ろう・腸ろうによる経管栄養の場合に、糜爛や肉芽など胃ろう・腸ろうの状態に問題がないことを確認すること
(3)胃・腸の内容物をチューブから注射器でひいて、性状と量から胃や腸の状態を確認し、注入内容と量を予定通りとするかどうかを判断すること

【喀痰吸引関係】
▽吸引器に溜まった汚水の廃棄や吸引器に入れる水の補充、吸引チューブ内を洗浄する目的で使用する水の補充を行うことは医行為に該当しない。こと。

【服薬等介助関係】
▽患者の状態が以下の3条件を満たしていることを医師、歯科医師または看護職員が確認 し、これらの免許を有しない者による医薬品使用の介助ができることを本人・家族等に伝えている場合に、事前の本人・家族等の具体的な依頼に基づき、医師の処方を受け、あらかじめ薬袋等により患者ごとに区分し授与された医薬品について、医師・歯科医師の処方、薬剤師の服薬指導の上、看護職員の保健指導・助言を遵守した医薬品の使用を介助することは医行為に該当しない
→例えば、▼水虫や爪白癬に罹患した爪への軟膏・外用液の塗布(褥瘡の処置を除く)▼吸入薬の吸入▼分包された液剤の内服介助—など
(1)患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること
(2)副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師・看護職員による連続的な容態の経過観察が必要である場合ではないこと
(3)内用薬については誤嚥の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと



なお厚労省は、上記等の行為を実施するにあたり、当然のこととして「患者本人、家族に対して分かりやすく適切な説明を行う」「介護職員等の実施する行為について患者本人、家族が相談を行うことができる環境作りに努める」ことが望ましいとの考えも示しています。患者・家族等の不安を払拭し、信頼関係の構築→円滑な介護サービス提供のために、非常に重要な点です。



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