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千葉県の国がん東病院が、山形県鶴岡市の荘内病院における腹腔鏡下S状結腸切除術をオンラインでリアルタイム支援―国がん

2023.1.4.(水)

千葉県柏市の国立がん研究センター東病院が、山形県鶴岡市の荘内病院における腹腔鏡下S状結腸切除術をオンラインでリアルタイム支援し、良好な成績を納めている—。

国立がん研究センターが12月26日に、こうした研究結果を公表しました(国がんのサイトはこちら)。後述するように「医師偏在状態の改善・解消」に向けた重要な糸口になると期待されます。

遠方の手術状況をリアルタイムで確認しながら、専門医がオンラインで手術を支援

オンライン診療の1形態として「D to P with D」があります。例えば、指定難病などの患者が、身近なかかりつけ医などの対面診療を受け、その対面診療を行う診療室と遠隔地の専門医とをオンラインで結ぶことにより、専門的な診断・治療を身近な医療機関で受けられるような形態です(2020年度の診療報酬改定で、この形態のオンライン診療が【遠隔連携診療料】として評価されている)。

2020年度診療報酬改定では「D to P with D」を評価する遠隔連携診療料が創設された



こうした「D to P with D」の1形態として「オンライン手術支援」があります。都市の大病院に所属する専門医が、オンラインで遠隔地の執刀医を支援・指導するもので、「地方の外科医不足への重要な解決方法の1つになる」と期待が集まっています。

そうした中、今般、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)と鶴岡市立荘内病院(山形県鶴岡市)との間で「腹腔鏡下S状結腸切除術をオンラインで支援して実施する」取り組みが行われました。山形県鶴岡市の荘内病院で行われている「腹腔鏡下手術」の映像を、千葉県柏市の国がん東病院の外科医がリアルタイムで確認し、口頭や図示で荘内病院の執刀医を支援するものです(札幌医科大学と天馬諮問社が共同開発した遠隔手術指導システム「TELEPRO」を使用)。

東病院の外科医は自施設の専用パソコンで「荘内病院で行われている腹腔鏡下手術の映像」をリアルタイムに確認し、荘内病院の執刀医に対し、専用パソコンの画面上に記載する指示線や口頭で支援。荘内病院の手術室には腹腔鏡下手術の映像を映すメインモニターのほかに、東病院の外科医の指示線を映すサブモニターが設置され、音声や指示線を参考に手術を行いました。平均タイムラグ0.027秒という高速通信・映像技術と両院の連携により、安全に手術が実施され、患者の経過もは良好で、容体も非常に安定しています。

千葉県の国がん東病院が、山形県鶴岡市の荘内病院における腹腔鏡下S状結腸切除術をオンラインでリアルタイム支援



腹腔鏡下手術には、低侵襲という極めて大きなメリットがありますが、特殊な器具を用いた高度な技術・経験が要求されます。そこで、例えば経験豊富な指導医が病院を直接訪問して若手医師等の手術指導・支援を行うなどし、普及に努めています。

しかし、▼外科医不足、医師働き方改革などにより「病院を直接訪問する時間を確保する」ことが難しい▼新型コロナウイルス感染症などの感染拡大の際には、行動制限が求められ、病院の訪問自体が難しい—事態が生じています。

そうした中では「高速かつ安定した通信・映像技術による、遠隔での手術指導」が求められており(関連記事はこちら)、今般の国がん東病院と荘内病院との取り組みは有益な好事例と言えるでしょう。



地方においては医師、とりわけ「外科医師」の不足(いわゆる医師偏在)が極めて問題となっています。遠隔手術支援システムが全国に普及すれば、「地方の外科医が少ない病院においても、専門医の遠隔支援を受けて、適切に難易度の高い手術を行える」環境が一定程度整うことが期待されます。医師不足・医師偏在の解消を、ICT技術で解決できる新たな糸口が明確に見えてきたと言えるでしょう。一般のオンライン診療とは異なる「高機能な病院が目指すべきオンライン診療」の一方向と言えます。



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