Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
外来分析 能登半島地震 災害でも医療は止めない!けいじゅヘルスケアシステム

プログラム医療機器活用による「医療従事者の負担軽減」などの要素を診療報酬等で評価すべきか—プログラム医療機器ワーキング

2023.4.19.(水)

プログラム医療機器(SaMD)を活用することで、例えば「医療従事者の負担軽減」(読影時間の大幅短縮など)が可能になるが、これを診療報酬等(機器の保険償還価格への上乗せ、技術料の加算など)で評価すべきか—。

プログラム医療機器について、「保険適用後のデータをもとにした有用性再評価の仕組み」(チャレンジ申請)を柔軟に適用していくべきか—。

4月18日に開催された「プログラム医療機器等専門ワーキンググループ」(以下、ワーキング)でこういった議論が行われたことが、厚生労働省保険局医療課医療技術評価推進室の中田勝己室長から明らかにされました。

医療従事者の負担軽減は、それそのものが「導入のインセンティブ」になるのでは

プログラム医療機器とは、アプリケーションや人工知能(AI)を活用した「疾病の診断・治療」を目的とする機器です。例えば、2020年11月には「禁煙治療を補助するアプリケーション」の保険適用が認められています(関連記事はこちらこちら)。今後、技術の進展によりプログラム医療機器が数多く開発され、保険診療の中でも活用されていくと考えられますが、既存のモノである医療機器と異なるため「どのように評価していくか」の検討が続けられています。

2024年度の次期診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会・保険医療材料等専門組織(保険医療材料の機能区分や償還価格などの原案を作成する専門家の集まる)の下に「プログラム医療機器等専門ワーキンググループ」が設置され、▼プログラム医療機器等の評価に関する技術的な事項▼プログラム医療機器等のチャレンジ申請(使用実績を踏まえ、より償還価格の高い機能区分への再評価を求められる仕組み)の評価の妥当性に関する事項▼プログラム医療機器等に関する技術的な助言—などの検討が始まりました(関連記事はこちら)。

4月18日のワーキングでは、▼AI 医療機器協議会▼日本デジタルヘルス・アライアンス▼日本医療ベンチャー協会—の3業界団体から、プログラム医療機器の評価に関する意見を聴取するとともに、委員との意見交換が行われました。

3団体からは、(1)プログラム医療機器の開発には長期間がかかる点などを踏まえ、コストも勘案した評価を行ってほしい(2)プログラム医療機器ならではのメリットを踏まえた評価を行ってほしい(3)予見可能性を確保できる評価体系としてほしい(4)上市後のデータなどを踏まえた「再評価」を柔軟に行ってほしい(5)プログラム医療機器の薬事承認について「2段階評価」が検討されており、これと連動する評価体系としてほしい(6)産業振興の視点も踏まえた評価を行ってほしい—などの要望・提案が出ています。

このうち(2)の「プログラム医療機器ならではメリット」としては、例えば▼通院患者について診察と診療の間の「日常生活のデータ」に基づき、個人に合わせた適切な指導を行うことができる▼医師の検査データ読影時間を大幅に短縮できる▼医薬品での治療選択肢が限られている、医薬品を用いた治療を嫌がるなどの、これまで治療が難しかった患者への治療の選択肢を広げられる—などが例示されており、これらを「保険償還価格や技術料に加算してほしい」との要望が出ています。

「すぐれた技術は高く評価する」ことは当然と言えます。ただし、例えば「医師の読影時間を短縮できる」などのメリットは、患者にとって「治療成績が上がる」などのメリットに直接つながるかというと、少し疑問も残ります。

現在、中医協では、こうした「医療従事者の負担軽減に資するプログラム医療機器については、施設基準の緩和(例えば「●●専門医を専従・常勤で配置する」などの要件を緩和し「専任で良しとする、非常勤で良しとする」など)で対応する」方針を固めており(関連記事はこちら)、「加算で評価する」(=患者負担を増やす)ことが適切かどうかを十分に勘案する必要があるでしょう。

ワーキング委員は、この点について「医療従事者の負担軽減になるのであれば、それそのものが導入のインセンティブになる」(=販路が広がり、メーカーのメリットになる)との考えを示しています。



さらに(3)の「予見可能性確保」に関しては、▼どの技術料を準用して評価するのか▼どの程度の評価となるのか—を明確化してほしいとの声が出ています。

疾病の診断・治療をサポートする新たなプログラム医療機器が登場した場合、「既存の技術(●●指導管理料など)を準用して評価する」ケースが少なくありません。その際、「準用する技術料選定の考え方」「具体的な点数(既存技術と同じ点数になるのか、減額・増額されるのか)設定の考え方」が明確されていれば、企業サイドの開発戦略を立てやすくなります。



他方、(4)は「プログラム医療機器では長期間にわたる使用で、有用性のかかるデータが蓄積されていく」点を踏まえた要望です。

既存の医療機器の評価体系にも「保険適用後のデータを踏まえて、有用性に関する再評価を行うチャレンジ申請」の仕組みが準備されています。業界団体は「現在、チャレンジ申請は保険適用申請をする際に『チャレンジ申請を行う』旨を届け出なければならないが、『保険適用の後にもチャレンジ申請を可能とする』仕組み設ける」「何度でもチャレンジ申請可能な仕組みとする」などの柔軟化を求めています。

この点、ワーキング委員からは、「事前に『有用性のデータを集めて計画的にデータを収集していく』ケースと、『計画は立てず、事後にたまたま有用性のデータが見いだされた』ケースとでは、異なる考え方をすべきではないか。後者のケースでは『新たな機能』として医療技術評価分科会などで再評価を検討していくものではないか」との考えが示されました。

チャレンジ申請は、言わば「保険適用前の段階では、臨床現場で広く使用されておらず、有用性のデータが十分に集まらない。しかし、広くデータが集まれば『●●の有用性がある』とのエビデンスを示せる」という企業側の意向を踏まえた設定されたものです。ワーキング委員の指摘どおり「事後に有用性が明らかになった」ケースについては、チャレンジ申請とは別の枠組みで考えていくことが妥当かもしれません。

またワーキング委員からは「データ量が増えれば、それに伴って無限に性能が向上していくわけではない。その点を考えていく必要がある」との考えを示し、「何度でもチャレンジ申請を認める」との提案には一定の疑問を投げかけています。



また(5)の「2段階評価」は、規制改革推進会議が昨年(2022年)12月に行った中間答申で示された考え方です。プログラム医療機器の開発に長期間がかかることを踏まえ、▼「有効性の推定」をもって第1段階承認を行う、これによりプログラム医療機器が広く臨床現場で使用され、データ収集をしやすくする▼「実臨床での有効性評価」をもって第2段階承認(本承認)を行う—というものです。現在、具体的な制度設計に向けた検討が進められていますが、業界サイドは保険償還価格や技術料の設定にあたっても▼第1段階で、適応用途・機能/機序に応じた暫定的な【技術区分】を設定し、区分毎に期限付きで評価する【一定額】を定める▼第2段階承認後、検証的試験等のデータに基づいて、新たに検証された価値を【イノベーション評価加算】として上乗せする—といった2段階評価を提案しています。

理にかなった提案と言えそうですが、ワーキング委員からは「第1段階では『有効性の推定』という限られたエビデンスに基づくため、低い評価とせざるを得なくなるのではないか」との指摘がなされています。



さらに先進諸外国に比べ、我が国ではプログラム医療機器の開発が遅れていると指摘されており、(6)の産業振興は非常に重要な視点です。ただし「産業振興を、限られた保険財源の中で行うべきか」という論点もあり、ワーキング委員からは「診療報酬の枠外の仕組み(研究・開発に対する補助、税制優遇など)も併せて考えていくべき」との意見が出ています。



ワーキングでは、5月にも別の業界団体から意見を聴取し、「プログラム医療機器の評価の在り方」について検討を進めていきます(夏頃に意見をまとめ、その後、中医協で検討)。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

コロナ禍で「2020年度にDPC病棟等の在院日数が延伸してしまった」が、21年度には再び「短縮」—中医協総会(2)
プログラム医療機器、有用性や医師負担軽減効果踏まえた施設基準緩和等の考え方明確化―中医協・材料専門部会