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がんゲノム医療のパネル検査実施率は18.6%、うち76.9%が「居住地県内の医療機関」で受検!—日本医療政策機構

2023.5.16.(火)

がんゲノム医療の認知度は35.3%に、遺伝子パネル検査の認知度は19.6%にとどまり、まだまだ低い状況である。また若い世代では認知度が高いが、60歳代では非常に低い—。

パネル検査を受けた人の割合は18.6%で、うち76.9%が「居住県内」でパネル検査を受けられたが、23.2%が「県外」で受けている—。

日本医療政策機構が5月11日に公表した「『がんゲノム医療』に関するインターネット調査結果」(概要)から、こうした状況が明らかになりました(機構サイトはこちら)。

パネル検査の受検地は「県内の医療機関」が76.9%

ゲノム(遺伝情報)解析技術が進み、「Aという遺伝子に変異の生じたがん患者にはαという抗がん剤を、Bという遺伝子変異のある患者にはβとγという抗がん剤を併用投与することが効果的である」などといった知見が徐々に明らかになってきています。こうしたゲノム情報に基づいた最適な治療法の選択ができるようになれば、個々のがん患者に対して「効果の低い治療法を避け、効果の高い、最適な治療法を優先的に実施する」ことが可能となり、▼治療成績の向上▼患者負担の軽減(身体的、経済的)▼医療費の軽減―などにつながります。

我が国でも、多くの遺伝子変異を一括確認できる「遺伝子パネル検査」の保険適用が進み(関連記事はこちらこちら)、(1)患者の同意を得た上で、患者の遺伝子情報・臨床情報を、「がんゲノム情報管理センター」(C-CAT、国立がん研究センターに設置)に送付する → (2)C-CATで、送付されたデータを「がんゲノム情報のデータベース」(がんゲノム情報レポジトリー・がん知識データベース)に照らし、当該患者のがん治療に有効と考えられる抗がん剤候補や臨床試験・治験などの情報を整理する → (3)がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院の専門家会議(エキスパートパネル)において、C-CATからの情報を踏まえて当該患者に最適な治療法を選択し、これに基づいた医療を提供する―という【がんゲノム医療】の実施が始まり、充実・拡大が図られています。
がんゲノム医療拠点病院等指定要件ワーキンググループ1 190527

がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議2 190308



こうしたがんゲノム医療は、▼「がん遺伝子パネル検査の医学的解釈」を自施設で完結できる体制を整備した「がんゲノム医療中核拠点病院」「がんゲノム医療拠点病院」(中核拠点病院には人材育成・他院の診療支援・治験や先進医療の主導・研究開発の機能も求められる)▼中核拠点・拠点病院と連携してパネル検査解釈を行う「がんゲノム医療連携病院」—で主に実施され、2023年度からの新たな中核拠点・拠点病院指定がなされています(中核拠点病院の指定内容に関する記事はこちら、拠点病院の指定内容に関する記事はこちら、診療報酬に関する記事はこちら)。

がんゲノム医療中核拠点病院等の概要(がんゲノム医療中核拠点病院等指定検討会1 230213)



機構では、本年(2023年)3月に、がん患者・家族(あわせて男女各500名)を対象に▼がんゲノム医療を知っているか▼遺伝子パネル検査を知っているか▼遺伝子パネル検査を受けたか—などを調査。の受検状況等について調査を実施。そこから次のような状況が明らかになりました。

まず「がんゲノム医療を知っているかどうか」については、35.3%が「知っている」と回答。年齢階層別にみると、20歳代:38.9%、30歳代:37.7%、40歳代:39.4%、50歳代:32.0%、60歳以上:29.0%という状況です。若い世代で「知っている」人の割合が若干高くなっています。

がんゲノム医療を知っているか(がんゲノム医療認知度調査1 230511)



また、「がんゲノム医療について知っている」と回答した人(全体の35.3%)に、「がんゲノム医療について、これまでの治療中に主治医、看護師、その他の医療職員から説明を受けたことがあるか」については、44.5%が「説明があった」と回答(全体の15.7%)。

年齢階層別に見ると、20歳代:54.8%、30歳代:69.2%、40歳代:42.4%、50歳代:23.4%、60歳以上:19.0%という状況です。やはり若い世代で「説明を受けた」人の割合が高くなっています。



次に、がんゲノム医療の出発点となる「遺伝子パネル検査」については、19.6%が「知っている」と回答。「がんゲノム医療」に比べて、認知度は半分程度となっています。

年齢階層別にみると、20歳代:20.4%、30歳代:28.3%、40歳代:24.1%、50歳代:12.0%、60歳以上:10.0%という状況です。ここでも、若い世代で「知っている」人の割合が若干高くなっています。

遺伝子パネル検査を知っているか(がんゲノム医療認知度調査2 230511)



また、「医師から遺伝子パネル検査に関して説明と推奨はあったか」については、20.5%が「説明があった」、53.4%が「なかった」、25.9%が「分からない」と回答しています。

年齢階層別にみると、次のような状況です。
【説明があった】
20歳代:29.6%、30歳代:35.4%、40歳代:19.0%、50歳代:9.5%、60歳以上:7.0%

【説明がなかった】
20歳代:31.5%、30歳代:39.9%、40歳代:54.6%、50歳代:67.5%、60歳以上:68.8%

【分からない】
20歳代:38.9%、30歳代:24.3%、40歳代:25.9%、50歳代:23.0%、60歳以上:24.0%

ここでも、若い世代で「説明を受けた」人の割合が高くなっています。

遺伝子パネル検査について医師から説明・推奨があったか(がんゲノム医療認知度調査3 230511)



なお、「説明を受けたタイミング」については、標準治療前が最も多く(説明を受けた人の46.8%)、次いで標準治療中(同41.0%)、標準治療後」(同12.2%)という状況です。



他方、「遺伝子パネル検査を受けた」人は、18.6%。検査受検希望から実際に検査を受けるまでの期間は、「1か月以内」(遺伝子パネル検査を受けた人の43.5%)が最も多くなっています。

また、「遺伝子パネル検査を受けました場所」については、「自身の居住する市町村の医療機関」が38.2%、「県内の居住地以外市町村の医療機関」が38.7%、「隣接県の医療機関」が16.7%、「それ以外の遠方の県外」が6.5%となりました。76.9%が「居住県内で遺伝子パネル検査を受けられている」が、23.2%が「県外で遺伝子パネル検査を受けている」状況です。

遺伝子パネル検査を受けたか、希望からどのくらい時間がかかったか(がんゲノム医療認知度調査4 230511)



保険診療の中では、遺伝子パネル検査は「標準治療が終了した患者、標準治療がない患者」に限定されている点を加味して、上記の結果(例えば遺伝子パネル検査実施割合が18.6%など)を評価する必要があります。今後、遺伝子パネル検査の対象患者が拡大していけば、実施割合なども上昇していく可能性があるでしょう。

また、「遺伝子パネル検査の保険適用(2019年6月)から4年が経過する中で、認知度が低すぎる」と指摘する声もあれば、上述のとおり「遺伝子パネル検査の対象が限定されている中では、当然の認知度である」と考える識者もおられます。継続した調査に期待が集まります。



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