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【介護職員等ベースアップ等支援加算】、全体の3分の2を「大きく超える」部分を基本給引き上げなどに充てよ—厚労省

2023.8.21.(月)

介護職員の処遇改善に向けた【介護職員等ベースアップ等支援加算】について、「加算額の3分の2以上は『介護職員等のベースアップ等』(『基本給』または『決まって毎月支払われる諸手当て』の引き上げ)に使用しなければならない」との要件が設けられており、これを満たせない場合には、原則として加算額を全額返還する必要がある—。

「やむを得ない事情がある」と認められる場合にはこの限りではないが、こうした状況に陥らないように「ベースアップ等による賃金改善見込額が、全体の賃金改善見込額の3分の2を『大きく超える』ように設定する」ことが重要である—。

厚生労働省は8月18日に事務連絡「介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算及び介護職員等ベースアップ等支援加算に関するQ&A(vol.2)の送付について」を示し、こうした考えを明らかにしました(厚労省サイトはこちら)。

合理的理由なく「全体の3分の2以上を基本給等引き上げ」に充てない場合、全額返還

2021年11月19日に閣議決定された新たな「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」、12月20日に成立した2021年度補正予算を踏まえ、介護職員について、賃上げ効果が継続される取り組みを行うことを前提として、昨年(2022年)2-9月まで収入を3%程度(月額9000円)引き上げるための補助金交付が行われました。
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来年(2022年)2-9月における補助金の概要(介護給付費分科会1 211224)



さらに、一昨年(2021年)12月22日の後藤茂之厚生労働大臣・鈴木俊一財務大臣合意で「10月以降、介護報酬で同様の処遇改善(介護職員の収入を3%程度改善できる処遇改善)を行う」方針が決定され、補助金を引き継ぐ形で新加算【介護職員等ベースアップ等支援加算】が創設されました。

介護職員等ベースアップ等支援加算の概要(介護給付費分科会(2) 220228)

介護職員等ベースアップ等支援加算を含めた、3つの処遇改善加算の全体像(介護給付費分科会(3) 220228)



このため介護職員の処遇改善に関しては、現在(1)2012年度からの介護職員処遇改善加算(2)2019年度からの特定処遇改善加算(主に勤続年数の長い介護福祉士の処遇改善を目指す)(3)2021年度からの介護職員等ベースアップ等支援加算—の3種類があります。

ところで(3)の新たな【介護職員等ベースアップ等支援加算】については、「加算額の3分の2以上は『介護職員等のベースアップ等』(『基本給』または『決まって毎月支払われる諸手当て』の引き上げ)に使用しなければならない」との要件が設けられています。基本給などの引き上げを求めることで「継続的な賃金引き上げ」を狙うための要件です。

この要件について今般のQ&A2では、次のような考え方が明確にされました。

▽ベースアップ等による賃金改善額が、全体の賃金改善額の3分の2以上にならなかった場合には、速やかに賃金規程を改定しベースアップ等の増額を図らなければならない

▽こうした措置が図られなかった場合、原則として【介護職員等ベースアップ等支援加算】の要件を満たさないため、加算額の全額返還が必要となる



▽ただし、「賃金改善期間の終盤に予見できない事情などが生じ、加算額が賃金改善計画書で想定していた額を上回り、賃金規程の改定によるベースアップ等の増額が間に合わなかった」など合理的な事情が認められる場合はこの限りではない

▽この場合、翌年度以降に同様の事態が生じないよう、賃金改善計画を立てる段階で「ベースアップ等による賃金改善見込額が、全体の賃金改善見込額の3分の2を『大きく超える』ように設定する」ことが適当である

▽いずれの場合であっても「加算額以上の賃金改善」が実施されることが必要となる



「ベースアップ等による賃金改善見込額が、全体の賃金改善見込額の3分の2を『大きく超える』ように設定する」という点が重要ポイントです。加算額を可能な限り「介護職員等のベースアップ等(『基本給』または『決まって毎月支払われる諸手当て』の引き上げ)に充てる」ことで、継続的な賃金改善にもつながり、スタッフの確保、モチベーションの向上などが期待されます。



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