Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は全国で95.4%、ただし福島や大阪では9割に届かず―厚労省

2023.10.13.(金)

昨年(2022年)9月1日時点における病院の耐震化は、前年に比べて0.8ポイント向上し79.5%となったが、都道府県別に見ると、島根・静岡・山形などで進む一方、京都や福島などで依然として遅れが目立つなど、地域差がある—。

また災害発生時の医療拠点となる災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は同じく0.8ポイント向上し95.4%となった。ただし都道府県別に見ると、秋田・山形など25県では100%を達成できている一方で、福島や大阪では9割に届かないなど、やはり地域差がある―。

厚生労働省が10月10日に公表した、2022年の「病院の耐震改修状況調査の結果」から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

病院全体の耐震化率、日本全国では前年から0.8ポイント向上して79.5%に

2011年の東日本大震災を大きな契機として、病院の耐震化が重要な政策課題となっています。病院の倒壊・崩壊を防ぎ入院患者や医療従事者を守ることはもちろん、大地以外の災害時に、病院が「一時的な避難先」としての重要な機能を持つことから、▼入院患者の安全確保▼被災者への適切な医療提供確保―を目指し、国は病院の耐震化支援を推進しています。

その後も、大きな地震が日本各地で相次いでおてり、厚労省では、例えば▼医療施設耐震化促進事業(医療施設運営費等補助金)▼災害拠点病院施設整備事業(医療提供体制施設整備交付金)▼地震防災対策医療施設耐震整備事業(同)▼医療施設耐震整備事業(同)―などの耐震化を支援する補助金メニューを準備。あわせて、毎年9月1日時点における「病院の耐震化状況」を調べ、公表しています。

昨年(2022年)9月1日時点における病院全体の耐震化状況は次のようになっています。

▽「全ての建物に耐震性のある」病院の割合【耐震化率】:79.5%(前年比0.8ポイント向上)

▽「一部の建物に耐震性がある」病院の割合:7.1%(同増減なし)

▽「全ての建物に耐震性がない」病院の割合:1.4%(同0.2ポイント増)

▽「建物の耐震性が不明」な病院の割合:12.1%(同0.9ポイント減)

病院の耐震化率は、2005年に36.4%であったことから、15年間で43ポイント超向上しており、着実に「耐震化が進んでいる」ことが分かります。

病院全体の耐震化状況(2022年病院耐震化状況1 221010)

病院の耐震化、島根・静岡・山形などで進むが、京都・福島などで遅れ

次に都道府県別に病院の耐震化状況(「全ての建物に耐震性のある」病院の割合)を見ると、▼島根県:93.5%▼静岡県:92.4%▼山形県:91.0%▼富山県:90.6%▼宮城県:90.4%—などで高くなっています。

また2022年度末時点の耐震化率見込みを見てみると、全国では79.6%(前年度調査に比べて0.8ポイント向上)、都道府県別では▼島根県:93.5%▼静岡県:92.4%▼宮城県:91.1%▼山形県:91.0%▼富山県:90.6%—などとなりました。上位の顔ぶれは変わらず、また「これ以上の上乗せは、近々には望めない」状況が確認でき、「さらなる支援」の検討が必要となってきそうです。



逆に、耐震化が十分に進展していない地域としては、▼京都府:66.9%▼福島県:69.0%▼広島県:69.8%―などがあげられます。より一層の努力に期待したいところです。

災害拠点病院などの耐震化、25県で100%達成も、9割に満たない自治体もある

次に、災害時の医療提供拠点となる災害拠点病院・救命救急センター(779病院)に限定して、耐震化状況(2022年9月1日時点)を見ると、次のような状況です。

▽「全ての建物に耐震性のある」病院の割合【耐震化率】:95.4%(前年比0.8ポイント向上)

▽「一部の建物に耐震性がある」病院の割合:4.5%(同0.9ポイント低下)

▽「全ての建物に耐震性がない」病院の割合:0%(同増減なし)

▽「建物の耐震性が不明」な病院の割合:0%(同増減なし)

災害医療拠点病院等の耐震化状況(2022年病院耐震化状況2 221010)



また災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率を都道府県別に見てみると、▼岩手県(11病院)▼宮城県(16病院)▼秋田県(13病院)▼山形県(7病院)▼茨城県(18病院)▼栃木県(13病院)▼群馬県(17病院)▼新潟県(14病院)▼富山県(8病院)▼石川県(10病院)▼福井県(9病院)▼長野県(13病院)▼岐阜県(12病院)▼静岡県(23病院)▼和歌山県(10病院)▼鳥取県(4病院)▼島根県(10病院)▼徳島県(11病院)▼香川県(10病院)▼愛媛県(8病院)▼高知県(13病院)▼長崎県(14病院)▼大分県(14病院)▼宮崎県(12病院)▼鹿児島県(14病院)―の25県で100%を達成できています。徐々に「災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率100%の自治体」が増えてきています。



一方、▼福島県:81.8%▼大阪府:82.4%▼沖縄県:85.7%▼山口県:86.7%▼佐賀県:87.5%▼広島県:89.5%—などでは耐震化が遅れています(9割未満)。早急な対応とともに、都道府県による支援のテコ入れを検討する必要がありそうです。



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】

災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は全国で93.6%、ただし奈良や大阪では8割に届かず―厚労省
災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率、日本全国では92.4%に達したが、福島や大阪、奈良などでは8割に届かず―厚労省
災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率、2018年9月には90.7%に向上も、地域別のバラつきあり―厚労省
災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率、2017年には89.4%―厚労省