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外来診療 経営改善のポイント 看護必要度シミュレーションリリース

災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率、日本全国では92.4%に達したが、福島や大阪、奈良などでは8割に届かず―厚労省

2020.8.20.(木)

2019年の病院の耐震化は、前年に比べて1.5ポイント向上し76.0%となったが、都道府県別に見ると、静岡・滋賀・宮城・山形等で進むが、京都・福島・大阪・山口等で遅れが目立つなど、地域差がある—。

また災害発生時の医療拠点となる災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は同じく1.7ポイント向上し92.4%となった。ただし都道府県別に見ると、秋田・山形・長野・静岡・宮崎など18県では100%を達成できている一方で、福島・大阪・奈良・広島・山口では8割に届かないなど、やはり地域差が大きい―。

厚生労働省が8月17日に公表した、2019年の「病院の耐震改修状況調査の結果」から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)(前年の記事はこちら、前々年の記事はこちら)。

病院全体の耐震化率、日本全国では前年から1.5ポイント向上して76.0%に

2011年の東日本大震災を大きな契機として、病院の耐震化がクローズアップされています。その後も、大きな地震が日本各地で相次ぎ、病院の倒壊・崩壊を防ぐことはもちろん、大地以外の災害時に、病院が「一時的な避難先」としての重要な機能を持つことから、▼入院患者の安全確保▼被災者への適切な医療提供確保―を目指し、国は病院の耐震化支援を推進しています。

例えば厚労省では、▼医療施設耐震化促進事業(医療施設運営費等補助金)▼災害拠点病院施設整備事業(医療提供体制施設整備交付金)▼地震防災対策医療施設耐震整備事業(同)▼医療施設耐震整備事業(同)―などの耐震化を支援する補助金メニューを準備。あわせて、毎年9月1日時点における「病院の耐震化状況」を調べ、公表しています。

2019年9月1日時点における病院全体の耐震化状況は次のようになっています。

▽「全ての建物に耐震性のある」病院の割合【耐震化率】:76.0%(前年比1.5ポイント向上)

▽「一部の建物に耐震性がある」病院の割合:7.6%(同0.3ポイント減)

▽「全ての建物に耐震性がない」病院の割合:1.4%(同0.1ポイント減)

▽「建物の耐震性が不明」な病院の割合:15.0%(同1.1ポイント低下)

病院の耐震化率は、2005年に36.4%であったことから、14年間で39.6ポイント向上しており、着実に「耐震化が進んでいる」ことが分かります。

病院ーの耐震化状況の推移(2019年病院耐震改修状況調査1 200817)

病院の耐震化、静岡・滋賀・宮城・山形等で進むが、京都・福島・大阪・山口等で遅れ

次に都道府県別に病院の耐震化状況を見ると、▼静岡県(176病院):92.0%(前年比1.6ポイント向上)▼滋賀県(57病院):89.5%(同増減なし)▼宮城県(138病院):89.1%(同0.1ポイント低下)▼山形県(68病院):86.8%(同1.5ポイント向上)▼富山県(107病院):86.0%(同1.0ポイント向上)—などで高くなっています。

また今年度(2020年度)末時点の耐震化率見込みを見てみると、全国では76.7%(2019年9月1日時点に比べて1.3ポイント向上)、都道府県別では▼静岡県:92.0%(同増減なし)▼滋賀県:89.5%(同増減なし)▼宮城県:89.1%(同増減なし)▼山形県:86.8%(同増減なし)▼富山県:86.9%(同0.9ポイント向上)―などとなりました。上位の顔ぶれは変わらず、また「これ以上の上乗せは、近々には望めない」状況が伺え、「さらなる支援」の検討が必要となってくるかもしれません。



逆に、耐震化が十分に進展していない地域としては、▼京都府(166病院):64.5%(前年比0.6ポイント減)▼福島県(132病院):66.7%(同1.8ポイント向上)▼大阪府(514病院):68.3%(同1.4ポイント向上)▼山口県(145病院):68.3%(同0.7ポイント減)▼福岡県(460病院):68.7%(同0.8ポイント向上)▼和歌山県(83病院):69.9%(同1.2ポイント向上)―などがあげられます。

各府県の今年度(2020年度)末時点における耐震化率見込みを見ると、▼京都府:65.7%(2019年9月1日時点に比べて1.2ポイント向上)▼福島県:68.9%(同2.2ポイント向上)▼大阪府:69.1%(同0.8ポイント向上)▼山口県:68.3%(同増減なし)▼福岡県:69.1%(同0.4ポイント向上)▼和歌山県:71.1%(同1.2ポイント向上)―などとなっています。下位の顔ぶれも変わらず、より一層の努力に期待したいところです。

災害拠点病院などの耐震化、福島・大阪・奈良・広島・山口などで遅れ目立つ

次に、災害時の医療提供拠点となる災害拠点病院・救命救急センター(749病院)に限定して、耐震化状況(2019年9月1日時点)を見ると、次のような状況です。

▽「全ての建物に耐震性のある」病院の割合【耐震化率】:92.4%(前年比1.7ポイント向上)

▽「一部の建物に耐震性がある」病院の割合:7.1%(同1.5ポイント低下)

▽「全ての建物に耐震性がない」病院の割合:0%(同増減なし)

▽「建物の耐震性が不明」な病院の割合:0.5%(同1.1ポイント低下)

災害拠点病院・救命救急センターの耐震化状況の推移(2019年病院耐震改修状況調査2 200817)



また災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率を都道府県別に見てみると、▼秋田県(14病院)▼山形県(7病院)▼茨城県(14病院)▼群馬県(17病院)▼富山県(8病院)▼石川県(10病院)▼福井県(9病院)▼長野県(11病院)▼静岡県(23病院)▼滋賀県(10病院)▼和歌山県(10病院)▼鳥取県(4病院)▼徳島県(11病院)▼香川県(10病院)▼高知県(12病院)▼長崎県(13病院)▼宮崎県(12病院)▼鹿児島県(14病院)―18県では100%を達成できています。前年から、茨城県・鳥取県・鹿児島県の3県が新たに100%を達成しました。

なお、大分県では、今年度(2020年度)末時点では100%を達成できる見込みとしています(2019年度末、つまり2020年3月には100%達成見込みと前年調査で回答)。2020年度末時点で、日本全体の「災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率」は93.5%となる見込みで、2019年9月1日に比べて1.1ポイント向上する格好です。



ところで、▼福島県(8病院):70.0%(前年比25.0ポイント向上)▼大阪府(19病院):78.9%(同増減なし)▼奈良県(7病院):71.4%(同増減なし)▼広島県(19病院):78.9%(同4.4ポイント減)▼山口県(14病院):78.6%(同7.2ポイント向上)—などでは耐震化が遅れています。早急な対応とともに、都道府県による支援のテコ入れを検討する必要があるかもしれません。

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