災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率、2017年には89.4%―厚労省
2018.4.18.(水)
2017年の病院の耐震化は、前年に比べて1.4ポイント向上し72.9%。地震発生時の医療拠点となる災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率は同じく1.8ポイント向上し89.4%となった―。
厚生労働省が4月17日に公表した、2017年の「病院の耐震改修状況調査の結果」から、こういった状況が明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。
病院全体の耐震化率は、2017年に72.9%
2011年に発生した東日本大震災を大きな契機として、病院の耐震化がクローズアップされています。地震発生時に病院の倒壊・崩壊を防ぐだけでなく、一時的な避難先の機能、入院患者の安全を確保しながら被災者に適切な医療を提供する機能を維持する必要があるためです。
2017年9月1日時点における病院全体の耐震化状況は、次のようになりました。
▽耐震化率(「全ての建物に耐震性のある」病院数/全病院数):72.9%(前年比1.4ポイント向上)
▽「一部の建物に耐震性がある」病院の割合:8.0%
▽「全ての建物に耐震性がない」病院の割合:1.7%
▽「建物の耐震性が不明」な病院の割合:17.4%
病院の耐震化率は、2005年に36.4%であったので、この12年間で36.5%向上しています。厚労省の「医療施設耐震化臨時特例交付金」をもとに各都道府県で基金を創設し、ここから病院の耐震化経費が補助されています。こうした補助の活用によって耐震化整備が進んでいると考えられます。
都道府県別に病院の耐震化状況を見ると、▼滋賀県(89.5%)▼宮城県(88.6%)▼静岡県(86.7%)▼山形県(85.5%)▼富山県(84.0%)—などで高く、逆に▼京都府(60.4%)▼福島県(61.9%)▼大阪府(64.5%)▼福岡県(66.2%)▼熊本県(66.2%)—などで低くなっています。
災害拠点病院などの耐震化率、目標値89.0%をすでに達成
また、災害拠点病院・救命救急センターの耐震化状況(2017年9月1日時点)を見ると、次のようになっています。
▽耐震化率(「全ての建物に耐震性のある」病院数/全病院数):89.4%(前年比1.8ポイント向上)
▽「一部の建物に耐震性がある」病院の割合:9.0%
▽「全ての建物に耐震性がない」病院の割合:0%
▽「建物の耐震性が不明」な病院の割合:1.6%
都道府県別に病院の耐震化状況を見ると、▼秋田県▼山形県▼富山県▼石川県▼福井県▼長野県▼滋賀県▼和歌山県▼徳島県▼香川県▼高知県▼長崎県▼宮崎県―の13県では100%を達成していますが、▼福島県(50.0%)▼奈良県(57.1%)▼岡山県(60.0%)▼山口県(71.4%)▼栃木県(72.7%)—では遅れており、さらなる支援を検討する必要がありそうです。
なお、「国土強靱化アクションプラン2015」では、「2018年度(今年度)までに災害拠点病院・救命救急センターの耐震化率を89.0%とする」との目標値を立てており、これはクリアできた格好です。厚労省は「2018年度の耐震化率は90.1%になる」と見込んでいます。
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