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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

来年度(2024年度)予算案、医薬品等のイノベーション推進、医療・介護DX推進、地域医療構想の実現などが重要な柱―厚労省

2023.12.29.(金)

来年度(2023年度)予算案が12月22日に閣議決定されました。政府全体の歳出は112兆717億円となり、前年度当初予算(後の補正予算を含まない)に比べて2兆3095億円・2.0%減少しています。

このうち厚生労働省所管分の一般会計は33兆8191億円(前年度当初予算と比べて6782億円・2.0%増)、うち社会保障関係費は33兆5046億円(同じく6734億円・2.1%増)となりました(厚労省のサイトはこちら、財務省のサイトはこちら)(事前大臣合意の記事はこちら(主に医療について)こちら(主に介護について))。

2024年度厚生労働省予算案の全体像(2024年度予算案1 231222)

認知症施策、がん対策、難病対策なども推進

厚労省の来年度(2024年度)予算案の柱は、(1)今後の⼈⼝動態・経済社会の変化を⾒据えた保健・医療・介護の構築(2)構造的⼈⼿不⾜に対応した労働市場改⾰の推進と多様な⼈材の活躍促進(3)包摂社会の実現—の3本です。

2024年度厚生労働省予算案の重点事項(2024年度予算案2 231222)



Gem Medでは、主に(1)の保健・医療・介護の構築に焦点を合わせます。そこでは、(a)医薬品等のイノベーションの推進(b)医療・介護におけるDXの推進(c)地域医療・介護の基盤強化の推進等(d)健康づくり・予防・重症化予防、認知症施策の推進等(e)感染症対策の推進・体制強化(f)安定的で持続可能な医療保険制度の運営確保—という構成になっています。

まず(b)のDX推進としては、例えば次のような項目・予算額が計上されています。

▽標準病名マスター、手術・処置マスター、臨床検査マスター、医薬品HOTコードマスター、看護実践用語標準マスター、歯科病名マスター、歯科手術・処置マスターの充実および電子カルテ情報標準化に伴う「医療機関等からの標準コード実装」にあたっての相談対応【高度医療情報普及推進事業】(8300万円)

高度医療情報普及推進事業(2024年度予算案3 231222)



▽介護事業所がLIFEに高齢者の状態・ケア内容等の情報を提出し、そのデータを解析し事業所にフィードバックを行うことなどにより介護サービスの質向上を目指す【科学的介護データ提供用データベース構築等事業】(4億7000万円)

▽介護ロボット(移乗支援、移動支援、排泄支援、見守り、入浴支援などの「ロボット技術の介護利用における重点分野」に該当するもの)、ICT(介護ソフト(機能実装のためのアップデートも含む)、タブレット端末、スマートフォン、インカム、クラウドサービス、Wi-Fi機器の購入設置、業務効率化に資するバックオフィスソフトなど)、生産性向上に係る環境づくり(介護ロボット・ICT等の導入やその連携に係る費用、見守りセンサーの導入に伴う通信環境整備など)、介護ロボットやICT等を活用するためのICTリテラシー習得に必要な経費などを支援する【介護テクノロジー導入支援事業】(地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)97億円の内数)

介護テクノロジー導入支援事業(2024年度予算案4 231222)



また(c)の「地域医療・介護の基盤強化の推進等」としては、まず地域医療構想の推進、医師偏在対策を含めた医療従事者の確保に向けた「地域医療介護総合確保基金(医療分)」として733億円が計上されました。従前どおり▼地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設、設備の整備▼地域医療構想の達成に向けた病床機能、病床数変更▼居宅等における医療提供▼医療従事者の確保▼勤務医の労働時間短縮に向けた体制整備—が対象となります。

このほか、次のような事項も盛り込まれました。

▽「複数医療機関の再編に向けた、検討段階から実現までの相談、事例紹介、調査・分析等による支援」「重点支援区域への支援で得られた知見や過去の再編事例等の調査を通じて、地域医療構想を推進する上での課題に対する有効な分析、制度等の活用・改善方策を検討」する【地域医療構想の実現に向けた医療機能分化・連携支援事業】(1億7000万円)

医療機能分化・連携支援事業(2024年度予算案5 231222)



▽2026年度以降のポスト地域医療構想も見据えた【入院・外来機能の分化・連携推進等に向けたデータ収集・分析事業】(3億9000万円)

「かかりつけ医機能報告制度」に係るリーフレット等を作成し、医療関係者や患者等への周知を図る【かかりつけ医機能普及促進等事業】(7500万円)

かかりつけ医機能普及促進事業(2024年度予算案6 231222)



▽「地域密着型サービス施設等の整備への助成」「介護施設の開設準備経費等への支援」「特別養護老人ホーム多床室のプライバシー保護のための改修」などを支援する【地域医療介護総合確保基金(介護施設等の整備に関する事業分)】(252億円)

▽介護従事者確保に向けた、都道府県計画を踏まえて実施される「参入促進」・「資質の向上」・「労働環境・処遇の改善」等に資する事業を支援する【地域医療介護総合確保基金(介護従事者の確保に関する事業分)】(97億円)



他方、(d)のうち「認知症施策」に関しては、▼認知症になっても本人の意思が尊重され、住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けられるよう、市町村で早期診断・早期対応に向けた支援体制の構築などを図る【認知症に係る地域支援事業の充実】(86億円)▼専門的医療機能、地域連携拠点機能、診断後等支援機能などを備えた認知症疾患医療センターの運営費補助(13億円)▼認知症臨床研究の中心となるコホート・レジストリ研究、認知症診断に資するバイオマーカー研究、認知症ゲノム研究など病態解明を目指した研究、認知症政策の推進に資する調査研究等を実施する【認知症研究の推進】(14億円)—などが計上されました。



また同じく(d)のうち「がん対策」については▼一定の要件を備えた市町村でのHPV単独法による子宮頸がん検診の導入に向けた【HPV検査単独法導入に向けた精度管理支援事業】(2200万円)▼HPVワクチン接種に関する相談・医療体制強化のために地域ブロック別に拠点病院を選定し、医療機関の診療体制の強化を図り、医療機関、都道府県、医師会等の関係者の連携による十分な相談支援体制や医療体制の構築を目指す【HPV相談支援体制・医療体制強化事業】(1億1000万円)—が、「難病、小児慢性特定疾病対策」については▼難病患者等への医療費助成の実施▼難病の医療提供体制の構築—などに1607億円が計上されています。



なお、(a)の医薬品等のイノベーション推進に関しては、▼PMDAへの「小児・希少疾病用医薬品等薬事相談センター」の設置(1億2000万円)▼海外の中小バイオ企業による日本での開発・薬事申請を促すため、米国等で日本の薬事制度の情報発信、薬事の相談対応を無料で行う【医薬品国内開発伴走事業(バイオテック・コンシェルジュ事業の拡充)】(6600万円)▼国内で治験を実施しやすい環境作りのため、国内治験のコスト削減や手続き負担解消を進める【治験エコシステム導入推進事業】(1400万円)▼疾患レジストリ、医療情報データベース等のリアルワールドデータ(RWD)の薬事申請での活用に向けた【リアルワールドデータ活用促進事業】(3300万円)▼後発医薬品の品質確保(GMP管理体制強化等事業、1億4000万円)▼プログラム医療機器の実用化促進事業(4600万円)▼日本医療研究開発機構(AMED)における研究の推進(443億円)—などが目を引きます。



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