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近く閣議決定される骨太方針2024に「我が国が薬剤耐性(AMR)感染対策について国際的にも主導的な役割果たす」こと盛り込め

2024.6.19.(水)

薬剤耐性対策にあたっては、ワンヘルス・アプローチの推進、市場インセンティブを通じた治療薬の確保や研究開発の推進、我が国が国際的にも主導的な役割を果たすことが重要である—。

AMRアライアンス・ジャパン(事務局:日本医療政策機構)が6月11日、近く閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)に、こうした薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)感染症対策を盛り込むよう提言しました(機構サイトはこちら)。

抗菌薬適正使用が進んでいるが、諸外国と比べるとまだ不十分である

我が国では、抗菌剤の使用量そのものは諸外国と比べてそれほど高い水準にあるわけではないものの、▼経口セファロスポリン▼フルオロキノロン▼マクロライド—といった幅広い細菌に有効な抗菌剤(広域抗菌剤)の使用量が極めて多いと指摘されます。漫然とした抗菌剤使用は薬剤耐性菌の発生につながるため、「抗菌剤の適正使用」が重要課題の1つに位置付けられています。

このため、従前より「薬剤耐性菌」対策が重視され、薬剤耐性AMR対策アクションプラン(厚労省サイトは こちら(本文) こちら(概要))に基づいた対策が進められてきています。

例えば2018年度診療報酬改定では「小児抗菌薬適正使用支援加算」を創設、2022年度改定では「耳鼻咽喉科小児抗菌薬適正使用支援加算」を創設するなどし、「我が国における抗菌薬の適正使用」が進んでいます(関連記事はこちら)。

AMRアクションプラン(中医協総会4 230726)



しかし、▼諸外国に比べて「推進すべきAccessに分類される抗菌剤」の使用割合が低い▼クリニックで抗菌剤の使用割合が高い—という課題もあります。

諸外国に比べて抗菌薬適正使用はまだまだ道半ばである(中医協総会5 230726)

抗菌薬はクリニックで多く使用されている(中医協総会6 230726)



この点、国際的には、2022年10月に「ワンヘルス共同行動計画(2022-2026)」が策定され、G7サミットや閣僚級会合(財務・保健・農業・環境)の成果文書にも、「AMR対策の重要性」(ワンヘルス・アプローチによるサーベイランスや検査、予見可能かつ持続可能なインセンティブによる抗菌薬の市場構造の健全化、研究者を含む人材育成)が指摘されています。

また、我が国の骨太方針では、2016年から毎年「薬剤耐性(AMR)対策の推進強化、研究・検査・治療体制の充実」などが盛り込まれ、AMR対策の重要性が強調されています。例えば骨太方針2023 では「ワンヘルス・アプローチを推進するとともに、薬剤耐性対策において、市場インセンティブによる治療薬の確保等の国内対策や国際連携・産学官連携による研究開発を推進する」というより踏み込んだ記述がなされています。

機構では、▼薬剤耐性を含む感染症対策は、自国や特定の領域のみでは完結しない▼日本は、国際的な保健議論を主導しており、AMR対策でも国際社会における責務を果たすことが重要である—とし、近く閣議決定される「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太方針2024)に次の文言を盛り込むよう提言しています。

▽薬剤耐性対策にあたっては、ワンヘルス・アプローチを推進するとともに、市場インセンティブを通じた治療薬の確保や研究開発を産官学民で議論および推進し、経済等の安全保障に貢献しつつ、国際的にも主導的な役割を果たす

【更新履歴】記事中「諸外国に比べて『推進すべきAccessに分類される抗菌剤】の使用割合が高い」との記載しておりましたが、正しくは「諸外国に比べて『推進すべきAccessに分類される抗菌剤】の使用割合が低い」です。大変失礼いたしました。お詫びして訂正いたします。記事は訂正済です。



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