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GemMed塾0319ミニセミナー

「造血器腫瘍または類縁疾患ゲノムプロファイリング検査」と「特定抗がん剤のコンパニオン検査」との関係を整理—厚労省

2025.3.12.(水)

特定の遺伝子変異Xに対応する抗がん剤・コンパニオン検査があるが、100以上の遺伝子変異を網羅的に検出できる遺伝子パネル検査で当該遺伝子変異Xが確認された。この場合、がんゲノム医療中核拠点病院等におけるエキスパートパネル(専門家会議)・主治医の双方が、遺伝子パネル検査結果や当該抗がん剤の添付文書、診療ガイドラインなどに照らして「当該抗がん剤の使用が適切である」と判断した場合には、改めてコンパニオン検査を実施せずに当該抗がん剤を使用することが認められる—。

この考え方は、造血器腫瘍または類縁疾患(急性白血病など)においても同様である—。

厚生労働省は3月6日に事務連絡「造血器腫瘍又は類縁疾患ゲノムプロファイリング検査の保険診療上の取扱いについて」を発出し、こうした考えを明確にしました。

遺伝子変異に着目したがんゲノム医療を推進

Gem Medで報じられているとおり「造血器腫瘍又は類縁疾患ゲノムプロファイリング検査」が3月1日から保険適用されています(関連記事はこちらこちら)。

この検査は、急性白血病等において「どの遺伝子に変異が生じ、血液がんとなっているのか」を調べ(遺伝子パネル検査)、その結果をもとに最適な抗がん剤治療を可能とするもので、大まかには次のように進められます。

(a)患者の同意を得た上で、患者の遺伝子情報(遺伝子パネル検査の結果)や臨床情報を「がんゲノム情報管理センター」(C-CAT、国立がん研究センターに設置)に送付する

(b)C-CATで、送付されたデータを「がんゲノム情報のデータベース」(がんゲノム情報レポジトリー・がん知識データベース)に照らし、当該患者のがん治療に有効と考えられる抗がん剤候補や臨床試験・治験などの情報を整理する

(c)がんゲノム医療中核拠点病院・がんゲノム医療拠点病院などの専門家会議(エキスパートパネル)において、C-CATからの情報を踏まえて当該患者に最適な治療法を選択し、これに基づいた医療を提供する
がんゲノム医療拠点病院等指定要件ワーキンググループ1 190527

がんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議2 190308



診療報酬では、このうち概ね(a)(b)をD006-19【がんゲノムプロファイリング検査】(4万4000点)で、概ね(c)をB011-5【がんゲノムプロファイリング評価提供料】(1万2000点)で評価されており、「造血器腫瘍または類縁疾患」について準用されます(関連記事はこちら)。



ところで、従前より「特定の遺伝子変異がある血液がんの治療薬と、その奏功可能性効果を事前に確認するコンパニオン診断技術」の開発も進められています。例えば、「FLT3遺伝子に変異がある」急性骨髄性白血病では、「ゾスパタ錠40mg」(販売名:ギルテリチニブフマル酸塩)が奏功する可能性があります。ただし、本剤の投与にあたっては「リューコストラットCDx FLT3変異検査」によって「FLT3遺伝子に変異がある」ことを事前に確認する必要があります。

この点に関連して、次のような疑問がわきます。
▽A遺伝子変異に奏功する抗がん剤αが開発されており、同剤を使用する場合にはコンパニオン検査Aでの遺伝子確認が必要となる
▽「造血器腫瘍または類縁疾患を対象とした遺伝子パネル検査」(100程度の遺伝子変異を網羅的に検出する検査)でA遺伝子変異が明らかになった

▽この場合、▼改めて「A遺伝子変異を検出するコンパニオン検査Aを行って、遺伝子変異を確認する」必要があるのか?▼それとも、遺伝子パネル検査の結果をもとに(コンパニオン検査Aを経ずに)最適な抗がん剤αを投与してよいのか?—



この点について今般の事務連絡では、厚労省は次のような見解を明らかにしました(固形がんでも同様の解釈が示されている、関連記事はこちら)。

▽次の両条件を満たせば、改めてコンパニオン検査を行うことなく当該医薬品を投与しても差し支えない

▼遺伝子パネル検査後に開催されるエキスパートパネル(がんゲノム医療中核拠点病院等の専門家会議)において、薬剤の添付文書・診療ガイドライン・文献などを踏まえ「当該遺伝子異常に係る医薬品投与が適切である」と推奨している

▼主治医が「当該医薬品投与について適切である」と判断している

血液がんについても、着々と「患者の遺伝子変異に対応した最適な治療法」選択を可能とする環境が整えられてきています。



病院ダッシュボードχ ZEROMW_GHC_logo

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