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日病・全自病・国診協の3団体が共同で【病院総合医】の育成を開始、初年度(2025年度)にまず100名の研修開始予定

2025.6.2.(月)

複数疾病をもつ高齢患者などに総合的な診療を行い、チーム医療、ひいては病院全体を牽引する力を持つ【病院総合医】の養成を日本病院会・全国自治体病院協議会・全国国民健康保険診療施設協議会の3団体が共同して(共通研修プログラムで)開始する—。

日本病院会の相澤孝夫会長・全国自治体病院協議会の望月泉会長・全国国民健康保険診療施設協議会の小野剛会長が5月29日に、このような「病院総合医3団体共同事業」を開始することを明らかにしました。

日本病院会の相澤孝夫会長

全国自治体病院協議会の望月泉会長・

全国国民健康保険診療施設協議会の小野剛会長

日病・全自病・国診協の3団体共通プログラムで【病院総合医】を育成

日本専門医機構が総合診療専門医の養成を2018年度から開始しています。それとは別に日本病院会では「病院において複数の疾患を抱える患者への総合診療提供や、術後管理などを一手に引き受ける【病院総合医】の養成」を行っています(関連記事はこちらこちら)。

さらに今般、3団体はこの仕組みを発展させ、3団体共同で作成した次の理念・目標に沿って【病院総合医】の養成を進めていく考えを明らかにしました(従前の日病独自の病院総合医は「各施設で研修プログラム」を作成していたが、3団体共同の病院総合医は3団体共通プログラムで病院総合医を育成していく)。

【理念】
(1)多様な病態を有する患者に対応できる総合的な診療能力を備えた医師を育成する
(2)社会性・人間性・倫理観を兼ね備え、包括的な診療を実践できる医師を育成する
(3)多職種スタッフが参加するチーム医療を推進できる医師を育成する
(4)「かかりつけ医機能」を発揮し、治し支える医療を提供できる医師を育成する
(5)地域住民とともに地域包括ケアシステム構築に貢献できる医師を育成する

【到達目標】
(1) 臨床能力:診断・治療・患者対応など、臨床現場で必要とされる基本的能力
(2) 社会性:医療チームや地域との関係構築、対人関係能力、協調性など
(3) 人間性:患者に対する共感力、思いやり、信頼関係の構築に寄与する人格的特性
(4) 倫理観:医療倫理・職業倫理を理解し、誠実で責任ある行動を実践する態度



病院総合医の養成は、3団体会員施設で行います。上記の理念・目標を実現できる施設が手上げし、「受け入れ可能人数」を申請します。

また、病院総合医に係る研修の対象者は、基本的に「3団体の会員病院に勤務する臨床経験6年以上の医師」ですが、「近く3団体会員施設に勤務する予定がある」医師(臨床経験は同様)も研修を受けることが可能です。

3団体会員病院の勤務医は、自施設に勤務しながら研修を受ける(勤務医としての通常業務の一部が【病院総合医】養成研修カリキュラムと重複する)ことになりますが、「自施設が研修施設に申請を行っていない場合」や「勤務先が3団体会員施設でない場合」(近く3団体会員施設に勤務予定の場合)などには、他の施設で研修を受けることも可能です。

研修期間は2年間で、上記の目標を達成し(「目標達成のチェックリスト」が3団体から研修施設・研修医に示される)、研修レポート等を提出した段階で、研修が終了。その後に3団体の認定を受けることで【病院総合医】となります。個々の医師の目標達成度合いに応じて、研修期間は若干変動することも予想されます。

研修費用は、▼登録料・参加料:3団体会員施設の医師は3万円(税別、以下同)・それ以外の医師は10万円▼更新(5年ごとの更新)料:3団体会員施設の医師は2万円・それ以外の医師は5万円—です。

施設の申請はこの7月(2025年7月)から、医師の申し込みはこの8月(2025年8月)から受け付けられます。

相澤日病会長・望月全自病会長・小野国診協会長は、▼地域で高齢患者が増加する中で、総合的な診療能力を持つ医師の育成に期待が集まっている▼地方、とりわけ医師少数区域等では、総合的な診療能力を持つ医師の活躍が期待される—点に、【病院総合医】が重要な役割を果たすとし、「初年度(2025年度)に、まず100名程度の研修をスタートさせたい」と見通しています。

また、この【病院総合医】は、4月(2024年4月)からスタートした「かかりつけ医機能報告制度」でも重要な役割を果たすと考えられます。特定機能病院等以外の病院・クリニックが、毎年度「自院はどのような『かかりつけ医機能』を果たしている」のかを報告し、そのデータをもとに、地域ごとに「かかりつけ医機能を持つ病院・診療所の明確化」などを図っていく仕組みです。

「かかりつけ医機能」については、▼「かかりつけ医にかかる研修」を修了した医師や総合診療専門医を配置しているかどうか▼基本的な17診療領域のどれに対応しているか▼高血圧症など日常的な40程度の疾患へ対応できるか、患者の相談に応じられるか—などが想定されており、【病院総合医】が「かかりつけ医にかかる研修」に含められることに期待が集まります。

また、相澤日病会長・望月全自病会長・小野国診協会長は「病院総合医の配置を診療報酬で評価する」ことも、強く厚生労働省に要請していく考えも強調しています。



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