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病院病床、平均在院日数は減少したが、病床利用率も低下―病院報告、16年3月分

2016.7.6.(水)

 今年(2016年)3月には、一般病床の平均在院日数が短縮したが、その分、病床利用率も低下してしまった―。このような況が、5日に厚生労働省が発表した2016年3月分の病院報告から明らかになりました(前月の状況はこちら、前々月の状況はこちら)。

一般病床の平均在院日数0.4日短縮の16.1日、病床利用率2.2ポイント減の74.4%

 厚労省は毎月、(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―を集計し、「病院報告」として公表しています。2016年3月の状況は次のようになりました。

 (1)の1日平均患者数は、病院全体では入院126万9286人(前月比1万6861人・1.3%減)、外来142万8868人(同2万2533人、1.6%増)で、入院は微減、外来は微増という状況です。

 病院の一般病床に注目すると、入院患者数は68万5110人で、前月に比べて1万6256人・2.3%減少しています。また病院の療養病床については、入院患者数は29万3599人で、前月に比べて319人・0.1%の微減となっています。

2016年3月、病院では入院患者数は微減、外来患者数は微増となった

2016年3月、病院では入院患者数は微減、外来患者数は微増となった

 

 (2)の平均在院日数については、病院全体では28.1日で、前月から0.3日短縮しました。

 病床種別に見ると、▽一般病床16.1日(前月比0.4日短縮)▽療養病床146.4日(同2.5日短縮)▽介護療養病床308.4日(同7.2日短縮)▽精神病床262.3日(同8.3日短縮)▽結核病床65.3日(同3.8日延伸)―となっており、結核病床以外では平均在院日数が短縮しています。

 また有床診療所の療養病床は97.3日で、こちらは前月に比べて0.2日延伸しています。

2016年3月、ほとんどの病床種別で平均在院日数が短縮した

2016年3月、ほとんどの病床種別で平均在院日数が短縮した

 これまで繰り返しお伝えしているとおり、在院日数の不必要な延伸によって「ADL低下」「院内感染」などのリスクが高まります。また現在の診療報酬体系(DPCも含めて)では入院料は1日当たりで設定されているため、医療費の膨張にもつながります。

 また2016年度の診療報酬改定では、平均在院日数の短縮も目指して「退院調整加算の退院支援加算への組換え」などが行われました(関連記事はこちらこちらこちら)。今般、多くの病床種別で在院日数が短縮していることは歓迎すべきことであり、4月以降の状況にさらに注目する必要があります。

 

 一方、(3)の月末病床利用率を見ると、病院全体では79.6%で、前月に比べて1.3ポイント低下しました。

 病院の病床種別に見ると、▽一般病床74.4%(前月から2.2ポイント低下)▽療養病床88.7%(同0.3ポイント低下)▽介護療養病床91.3%(前月から増減なし)▽精神病床85.5%(同0.2ポイント低下)▽結核病床32.7%(同0.1ポイント低下)―という具合にすべてで低下してしまいました。

2016年3月に病床利用率は減少してしまった

2016年3月に病床利用率は減少してしまった

 平均在院日数の短縮は延べ患者数の減少を意味し、何も手を打たなければ病床利用率が低下し、すなわち「減収」になってしまいます。このため「平均在院日数の短縮」を進める際には、併せて「病床利用率の向上」に努めなければいけません。この点、2016年2月から3月にかけては、平均在院日数は短縮したものの、病床利用率も低下してしまいました。

 利用率向上に向けた方策としては、▽地域のクリニックや中小規模病院との前方連携(重症患者の紹介を受けられるような関係の構築)▽救急患者の積極的な受け入れ―などが思いつきます。とくに前者の関係を構築するためには、まず自院から地域のクリニックなどへの「逆紹介」を進めることが慣用です。こういった取り組みがどれだけ進んでいるか、今一度、自院の状況を確認することが必要です。

 なお、こうした取り組みは「競合」するライバル病院も行うことでしょうから、限界もあります(関連記事はこちら)。地域の患者動向(人口動態も含めて)や自院の機能・他院の動向をきちんと見極めた上で、最終的には「病床数削減」という選択肢があることも考慮することが必要となります。

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