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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

2016年度の臨床研修医は8622人で過去最多を更新、6割弱が地方採用―厚労省

2016.7.19.(火)

 今年度(2016年度)の初期臨床研修医は、医学部入学定員増の影響もあり、過去最多の8622人となり、また東京など6都府県を除く道県での採用割合も過去最高の57.4%となった―。

 このような状況が、厚生労働省が14日に公表した2016年度の「医師の臨床研修医の採用実績」から明らかになりました(前年度の状況はこちら)(厚労省のサイトはこちら)。

医学部入学定員増を受け、2016年度の研修医採用実績は過去最多の8622人

 2004年度から新たな臨床研修医制度がスタートし、臨床現場に立つ医師には、すべて2年間以上の初期臨床研修を受けることが必修化されました。「例えば◯◯科の医院を継ぐのであれば、◯◯科以外は知らなくて良い」という事態を避け、医師が将来専門とする分野にかかわらず、基本的な診療能力を身につけることができることを目指したものです。

 新臨床研修制度は、▽研修医が研修先病院の希望を出し、公的なマッチング機構で研修先病院を決める▽基本的な診療能力を身につけるために、複数の診療科での研修を必須とする―ことなどが特徴です。もっとも、現場の実態とマッチさせるために、新制度の見直し(都道府県別の募集定員に上限を設ける、小児科、産婦人科、精神科に重点を置いたプログラムを認めるなど)も行われています。

 臨床研修医がどれだけ採用されたのかを見ると、2016年度には8622人で過去最多となりました。前年度にくらべて378人増加しています。この背景には、文部科学省と厚労省がまとめた「地域の医師確保対策2012」に基づく、医学部の定員増の影響があります。確保対策2012では、2019年度まで医学部の定員増を継続することとしているので、研修医の採用数もしばらく増加が続くことになるでしょう。

都道府県別の研修医定員設定により、地方での研修医採用が57.4%に増加

 臨床研修医の採用状況を都道府県別に見ると、大都市を抱える東京・神奈川・愛知・京都・大阪・福岡の6都府県の割合は2016年度には42.6%となりました。逆に、これら6都府県を除く道県の割合は過去最高の57.4%となっています。新制度スタート前の2003年度には、6都府県の割合が51.3%だったので、12年間で8.7ポイント下がった計算になります。

6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)とそれ以外の道県の採用実績を見ると、割合、採用人数ともに「それ以外の道県」で増加しており過去最高となっている

6都府県(東京、神奈川、愛知、京都、大阪、福岡)とそれ以外の道県の採用実績を見ると、割合、採用人数ともに「それ以外の道県」で増加しており過去最高となっている

 この背景には前述の「都道府県別の募集定員上限」設定があります。これまで「大都市集中」という批判を受けたために、定員を設定したとこと、「地方へ分散」という流れが生まれています。将来的にも、都市部においては上限を厳し目に設定する方向で議論が進んでおり(関連記事はこちら)、地域偏在の是正に向けて効果を上げていくものと考えられます。

 臨床研修医の採用実績が増えた上位5県、および今年度の採用人数を見ると、(1)秋田県84人(前年度に比べて35.5%増)(2)広島県174人(同29.9%増)(3)佐賀県65人(同27.5%増)(4)和歌山県102人(同24.4%増)(5)奈良県102人(同20.0%増)―となっています。

 厚労省の分析によれば、「臨床研修を受けた都道府県で、研修修了後も勤務する医師が多い」ことが分かっており(関連記事はこちらこちらこちら)、地方部で臨床研修を受ける医師の増加は、長い目で見て医師の地域偏在是正に相当の効果があると期待できます。

臨床研修病院(大学病院以外)での研修割合、59.5%に上昇

 新制度の実施前(旧臨床研修制度)は、卒業した医学部の附属病院で研修を受ける医師が圧倒的で、大学病院での研修が7割超を占めていました。

 しかし、新制度では「研修医が研修先病院の希望を出せる」ため、大学病院以外の臨床研修病院で研修を受ける医師が増加しました。「大学病院で研修を受ける医師」と「臨床研修病院で研修を受ける医師」の比率は、新制度がスタートした2004年度には55.8対44.2になり、翌05年度には49.2対50.8と、臨床研修病院で研修を受ける医師のほうが多くなりました。研修医の受け入れを希望する病院が、特色ある研修プログラムを準備したり、研修医に厚い待遇を用意したりした努力の現れと言えます。

 その後、11年度からは臨床研修病院で研修を受ける医師の割合がさらに増加傾向を強まり、2016年度には今年度は40.5対59.5となっています。もっとも、医学入学定員増を受けて、大学病院でも採用数そのものは前年度に比べて増加しています。

大学病院と臨床研修病院(大学病院以外)の採用実績を見ると、臨床研修病院の採用が増加していることが分かる

大学病院と臨床研修病院(大学病院以外)の採用実績を見ると、臨床研修病院の採用が増加していることが分かる

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