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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

オンライン資格確認、電子処方箋など医療DXの推進には国民の理解が不可欠、十分かつ丁寧な広報に力を入れよ—社保審・医療保険部会

2023.1.18.(水)

オンライン資格確認等システム、電子処方箋など医療DXに向けた動きが加速化している。あわせて、マイナンバーカードと被保険者証(保険証)の一体化(現在の保険証の廃止)に向けた検討が進められている。こうして中では「医療DXのメリットを国民に十分かつ丁寧に説明し、理解を得る」ことが極めて重要である—。

1月16日に開催された社会保障審議会・医療保険部会で、こういった議論が行われました。注文はいくつか出ているものの、オンライン資格確認等システム、電子処方箋などの医療DXを推進する方向に反対意見は出ていません。さらなる推進に向けた関係者の取り組みに期待が集まります。

1月16日に開催された「第162回 社会保障審議会 医療保険部会」

保険証の廃止など、医療保険者の意見を十分に踏まえて検討せよ

医療分野においても、質向上・生産性向上に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)の動きが加速化しています。例えば「患者の過去の診療情報を全国の医療機関等で共有・確認し、その情報を現在の診療に活かす」取り組みが始まり、順次拡大が進められています(関連記事はこちらこちら)。

こうした医療DXの基盤が「オンライン資格確認等システム」で、保険医療機関では本年(2023年)4月以降、原則として「オンライン資格確認等システムの導入」が義務付けられています(紙レセプト対応医療機関等は例外、また一部医療機関等には経過措置を設けることが昨年末(2022年末)の中央社会保険医療協議会で決定された、関連記事はこちら)。

また、オンライン資格確認等システムのインフラを活用し、医療機関が処方箋を電子的に登録し、薬局はその登録情報をもとに調剤を行う「電子処方箋」が本年(2023年)1月26日から全国展開されます。患者同意の下で「過去に処方・調剤された薬剤情報」の閲覧が医療機関・薬局の双方で可能になり、重複投薬や多剤投与、禁忌薬剤の投与などを「リアルタイム」でチェックし是正を図ることが可能になります。

さらに、2024年秋には「保険証(被保険者証)を廃止し、マイナンバーカードの保険証利用(いわゆるマイナ保険証)に原則一本化する」方針も掲げられています。デジタル庁を中心に、厚生労働省、総務省が「マイナンバーカードの保険証利用」原則化に向けた諸課題(マイナンバーカード特急発行(紛失時、新生児など)、代理交付、市町村による受け付け拡大、マイナンバーカード不所持の場合の取り扱い、保険者への資格情報入力のタイムラグ解消、災害時等の対応など)について解決策を議論しています。早ければ本年の通常国会(1月開催)にも国民健康保険法や番号法などの改正案を提出ことになります。

1月16日の医療保険部会では、こうした状況を踏まえたうえで、医療DXの推進に向けた意見交換を実施。例えば次のような意見が出されました。

▽保険者(被用者保険、国民健康保険などの保険者)の意見を十分に踏まえ、十分な保険者支援と準備期間確保、加入者(国民)への十分な周知徹底などを行い、混乱の生じないようにすべき(多くの保険者代表委員)

▽オンライン資格確認において唐突に同意の可否を聞かれ、驚いて「否」と返答するケースもある。可否を問う前に「過去の診療情報を活用することが医療の質向上にとって不可欠である」などを説明することも重要である(藤井隆太委員:日本商工会議所社会保障専門委員会委員)

▽「医療保険加入者が保険診療を受けられない」事態が誰1人として生じないようにするとともに、国民への医療DXのメリットを周知して国民の理解を得るべき。またセキュリティ確保については、医療現場に委ねるのではなく、国が明確な方針を定め、医療機関等への支援を十分に行うべき(猪口雄二委員:日本医師会副会長)

▽電子処方箋について「退院時処方などの院内処方情報は対象外である」「電子処方箋未導入医療機関・薬局の情報が抜ける」などの問題点がある(すべての処方内容を共有・確認できるわけではない)。また、医師個人でなく「医療機関単位」で認証ができる仕組みを検討してほしい(池端幸彦委員:日本慢性期医療協会副会長)



オンライン資格確認等システムの利活用、電子処方箋のいずれについても「国民に十分にメリットなどを説明し、理解を得ることが非常に重要である」との意見で、医療保険部会委員の意見は一致していると言えるでしょう。様々な機会をとらえた広報・周知活動が重要です。



なお、オンライン資格確認等を推進するための診療報酬上の加算【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】について、昨年末(2022年末)に「拡充」することが中央社会保険医療協議会で決定されました。その際、「患者・国民の声を丁寧かつ幅広く聴き、初診時・調剤時、再診時において、取得した医療情報の活用による医療の質の向上の状況等について十分に調査・検証を行い、課題が把握された場合には速やかに中医協へ報告の上、対応を検討する」旨の附帯意見(留意事項)が付されました(関連記事はこちら)。

この「調査・検証」について、厚労省保険局医療課の眞鍋馨課長は「もともと2023年度に検証調査を行うこととしていた。調査の詳細はこれから中医協で検討する」との考えを明らかにしています。



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