2018年度の同時改定に向け、要介護被保険者への維持期リハビリの実態など調査—中医協・総会
2017.6.28.(水)
2016年度の前回診療報酬改定で導入された、回復期リハビリテーション病棟におけるアウトカム評価や、目標設定等支援・管理料の算定状況がどのようになっているか、また医療保険のリハビリから介護保険のリハビリへ移行するに当たり、具体的な障壁はどのようなものか—。
28日に開催された中央社会保険医療協議会の総会では、こうした状況を調査し、2018年度の次期診療報酬・介護報酬改定の検討素材とすることを了承しました。
回復期リハビリ病棟におけるアウトカム評価の状況なども調査
診療報酬改定は通常、2年に1度行われます(消費増税対応など臨時の改定もある)。その際、前回改定が医療現場にどのような効果・影響を及ぼしているのかを調査し、「思うように効果が出ていない」のであればテコ入れを行い、「狙いとは異なる方向に進んでいる」ことが分かれば軌道修正を行うなどの対応をとります。この調査が「結果検証調査」(診療報酬改定の結果検証に係る特別調査)で、通常、(1)改定の効果・影響が出やすい項目は改定年度に実施(2)効果が現れるまでに時間のかかる項目は改定の翌年度に実施―という2段階構成が採られます。
2016年度の前回改定についても、2016年度・2017年度の二度に分けて効果・影響が調査されます(関連記事はこちらとこちら)。28日の中医協総会、および先立って開催された診療報酬改定結果検証部会では、厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室の矢田貝泰之室長は、2017年度に実施する(1)回復期リハビリ病棟におけるアウトカム評価の導入の影響、維持期リハビリの介護保険への移行状況などを含むリハビリテーションの実施状況(2)医薬品の適正使用のための残薬、重複・多剤投薬の実態、ならびにかかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定の影響および実施状況(3)ニコチン依存症管理料による禁煙治療の効果など(4)公費負担医療に係るものを含む明細書の無料発行の実施状況(5)後発医薬品の使用促進策の影響および実施状況―の5項目について、具体的な調査票案を提示しました。
このうち(1)のリハビリテーションについては、▼要介護高齢者に対する維持期リハビリを介護保険へ移行できる患者はどの程度か、また移行に当たってどのような心理的抵抗感があるのか▼前回改定で新設された【目標設定等支援・管理料】の算定状況や、介護保険給付への移行に向けて効果的な対策は何か▼前回改定で導入された「回復期リハビリ病棟」におけるアウトカム評価(効果の高いリハビリを行っていない病院では、疾患別リハビリ料の算定を制限する)の状況はどうか(関連記事はこちら)―などを詳しく調べます。
2018年度は診療報酬と介護報酬の同時改定が行われるため、懸案となっている「要介護高齢者への維持期リハビリの、介護保険リハビリへの移行」をどのように進めるのか、今回の調査からより具体的なヒントを探ることになります。
調査票案に異論・反論・注文は出されず承認されています。7-9月に調査を行い、10-11月には結果が中医協に報告される見込みです。
肺がん組織を検体として検査できない患者に対し、血漿で遺伝子検査を実施
28日の中医協総会では、次の医療機器と臨床検査について保険収載が認められました。
【医療機器】
▼胆道の狭窄部位に対し、経皮経肝的に挿入しバルーン拡張処置を行う「TMP経皮経肝胆道拡張バルーンカテーテル」(償還価格6万5300円、2017年9月保険収載予定)
▼過活動膀胱の改善を目的とした仙骨神経刺激療法に用いる「InterStimII仙骨神経刺激システム」(既存の機能区分「184 仙骨神経刺激装置 99万1000円」で評価、2017年9月保険収載予定)
【臨床検査】
▼医学的な理由で、肺がん組織を検体として摘出することが困難な患者に対し、血漿によって肺がん治療法選択に必要な遺伝子変異状況を調べる「FGFR遺伝子検査(血漿)」(D006-2【造血器腫瘍遺伝子検査】2100点を準用、2017年7月保険収載予定)
【関連記事】
夜勤72時間以上の看護師割合、2016年度改定前後で1.6ポイント減少—中医協総会(2)
紹介状なし外来患者の5000円以上定額負担、500床未満の病院にも拡大すべきか—中医協総会(1)
回復期リハビリ病棟、リハ投入量当たりの効果に着目した評価上限を設定―中医協総会