Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

夜勤72時間以上の看護師割合、2016年度改定前後で1.6ポイント減少—中医協総会(2)

2017.6.2.(金)

2016年度の前回診療報酬改定では、入院基本料の施設基準となっている「看護師の月平均夜勤時間72時間以下」要件について計算方法を見直したが、この改定の前後で72時間以上の夜勤をしている看護師の割合は1.6ポイント減少した。また看護職員1人当たりの月平均夜勤回数は2016年度改定前後でほぼ変化していないが、非常勤職員ではやや増加している—。

5月31日に開催された中央社会保険医療協議会の総会と診療報酬改定結果検証部会に報告されました。

5月31日に開催された、「第352回 中央社会保険医療協議会 総会」

5月31日に開催された、「第352回 中央社会保険医療協議会 総会」

看護師の月平均夜勤回数、常勤では変化ないが、非常勤では微増

入院基本料(療養病棟入院基本料1を除く)では施設基準の1つに「看護師の月平均夜勤時間を72時間以下とする」との規定があります。看護師の過重な負担を避ける狙いがありますが、2016年度の前回診療報酬で「月平均夜勤時間」の計算方法を一部見直しました。特定の看護師に夜勤を集中させるのではなく、より多くの看護師で夜勤負担を担うことを可能にすることが狙いです(関連記事はこちらこちら)。

【従前】月平均夜勤時間数の計算に含まれる実人員数・延べ夜勤時間数には、夜勤専従者・月当たり夜勤16時間以下の者は含まない。ただし、短時間正職員制度を導入している医療機関の短時間正職員については、月当たり夜勤12時間以上のものを含む。
夜勤時間帯の従事者数に含まれる看護要員が病棟と外来などを兼務する場合、パート勤務者などの場合には、当該看護要員の病棟勤務時間を常勤職員の所定労働時間により除して得た数を、夜勤時間帯の実人員数として算入する。

【改定後(現在)】月平均夜勤時間数の計算に含まれる実人員数・延べ夜勤時間数については、▼夜勤専従者は含めない▼夜勤時間帯に病棟と外来などを兼務する場合は、当該看護要員が夜勤時間帯に当該病棟で勤務した月当たりの延べ時間を、当該看護要員の月当たりの延べ夜勤時間(病棟以外の勤務の時間も含む)で除して得た数を、夜勤時間の実人員数として算入する▼7対1・10対1病棟の実人員数・延べ夜勤時間数には、月当たり夜勤16時間未満の者は含まない(ただし、短時間正職員制度を導入している医療機関の短時間正職員は、月当たり夜勤12時間以上のものを含む)▼7対1・10対1以外の病棟の実人員数・延べ夜勤時間数には、月当たり夜勤8時間未満の者は含まない—。

また、月平均夜勤時間超過減算の算定額を従前の「20%減」から「15%減」に緩和したほか、月平均夜勤時間数の基準のみを満たさなくなった場合の『夜勤時間特別入院基本料』(入院基本料の70%など)の創設などを行いました。

2016年度の前回診療報酬改定では、夜勤が特定の看護師に集中せず、より多くの看護師で分担できるよう「月平均夜勤時間」の計算方法見直しが行われた

2016年度の前回診療報酬改定では、夜勤が特定の看護師に集中せず、より多くの看護師で分担できるよう「月平均夜勤時間」の計算方法見直しが行われた

 
さらに、夜間の看護業務負担軽減を促進するために、看護職員・看護補助者の夜間配置の評価を充実(看護職員夜間12対1配置加算1・2の創設)するとともに、看護職員の夜間の勤務負担軽減に資する取組を行っている場合を評価(急性期看護補助体制加算の増点や、夜間看護体制加算、夜間75対1看護補助加算、夜間看護体制加算の創設)なども行われました(関連記事はこちら)。
2016年度の前回診療報酬改定において、看護職の夜間負担軽減に向けて「看護補助者配置」などを評価する新点数創設などが行われた

2016年度の前回診療報酬改定において、看護職の夜間負担軽減に向けて「看護補助者配置」などを評価する新点数創設などが行われた

 
厚生労働省が、2016年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査の一環として(関連記事はこちらこちら)、こうした看護師の夜勤負担に関する見直しの効果を調べたところ、▼改定前(2015年10月)・改定後(2016年10月)のいずれでも夜勤時間が「64時間以上72時間未満」の看護師がもっとも多い▼72時間以上の夜勤を行う看護師の割合は改定前は38.9%であったが、改定後は37.3%となり、1.6ポイント減少した—ことが分かりました。
看護職員の月平均夜勤時間を改定前後で比較すると、「72時間以上」の割合は1.6ポイントとわずかながら減少している

看護職員の月平均夜勤時間を改定前後で比較すると、「72時間以上」の割合は1.6ポイントとわずかながら減少している

 
また、看護職員1人当たりの月平均夜勤回数については、▼2交代制・変則2交代制では常勤で変化なく、非常勤でやや増加(0.1回)▼3交代制・変則3交代制では常勤で変化なく、非常勤の新夜勤でやや増加(0.3回)―という状況も明らかとなりました。
改定前後で看護師1人当たりの月平均夜勤回数を比較すると、常勤では変化ないが、非常勤ではやや増加している

改定前後で看護師1人当たりの月平均夜勤回数を比較すると、常勤では変化ないが、非常勤ではやや増加している

 
月平均夜勤時間が若干減少し、より多くの看護職員に夜勤負担が分散されたように見えます。2018年度の次期診療報酬改定でも、入院基本料における「看護職員の月平均夜勤時間数」要件や、夜間の看護職の負担軽減などが重要なテーマになると考えられ(関連記事はこちらこちら)、上記の調査結果についてより詳しい分析・解釈が行われる見込みです(関連記事はこちら)。

 
なお、看護職員の負担軽減に向けて効果がある施策として、多くの看護師長は「病棟クラークの配置」や「看護補助者の増員」「夜勤時間帯の看護補助者の配置」などをあげており、これらも次期改定での論点の1つになりそうです(関連記事はこちら)。

看護師長は、看護師の負担軽減には「病棟クラークの配置」や「看護補助者の配置」などが効果的であると考えている

看護師長は、看護師の負担軽減には「病棟クラークの配置」や「看護補助者の配置」などが効果的であると考えている

 
病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

【関連記事】
月平均夜勤72時間、7対1・10対1以外では「8時間以上の短時間夜勤者」も計算に含める―中医協総会
看護師の夜勤72時間要件、夜勤16時間以下の看護師を計算に含めるべきか―中医協総会
地域で求められる医療を提供する医療機関を応援―厚労省医療課の林補佐がGHCの2016年度改定セミナーで講演

紹介状なし外来患者の5000円以上定額負担、500床未満の病院にも拡大すべきか—中医協総会(1)
2018年度改定に向け、看護師の夜勤時間の変化や地域包括診療料の算定状況など調査―中医協総会

医療・介護従事者の意思なども反映した供給体制の整備を—働き方ビジョン検討会
看護師の夜勤負担軽減に向け、勤務時間インターバルや夜勤時間・回数の上限設定など実現せよ—日看協

72時間超の夜勤する看護師が多い病院では、離職率も高い—日看協