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診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

白血病等患者の治療法選択を補助する新たな遺伝子検査を2月から保険収載―中医協総会

2019.1.17.(木)

 急性リンパ性白血病や難治性の炎症性腸疾患患者において、「チオプリン製剤」の投与が可能か、また投与量はどの程度か、といった点の判断を補助するための遺伝子検査(Nudix hydrolase 15(NUDT15)遺伝子多型検査)を今年(2019年)2月から保険収載する―。

 1月16日に開催された中央社会保険医療協議会・総会では、こういった点も了承されています。

1月16日に開催された、「第405回 中央社会保険医療協議会 総会」

1月16日に開催された、「第405回 中央社会保険医療協議会 総会」

 

急性リンパ性白血病等患者の遺伝子を検査し、薬剤選択などを補助

 急性リンパ性白血病や難治性の炎症性腸疾患の治療においては、「チオプリン製剤」の投与が重要な選択肢の1つとなります。ただし、本製剤には▼再生不良性貧血などの血液障害▼肺炎や敗血症などの感染症▼悪性リンパ腫などの悪性新生物▼肝機能障害▼間質性肺炎▼進行性多巣性白質脳症(PML)―などといった重大な副作用があり、「本製剤の投与が可能か否か」等を慎重に判断する必要があります。

この点、「Nudix hydrolase 15(NUDT15)遺伝子多型検査」を実施することにより、高い精度で▼チオプリン製剤の投与対象となる患者▼チオプリン製剤を減量して投与すべき、または他の薬剤を考慮すべき患者―の鑑別が可能であることが分かり、保険収載されることが承認されました。
中医協総会 190116の図表
 
2月から、リアルタイムPCR法で本検査を実施した場合、D006-7【UDPグルクロン酸転移酵素遺伝子多型】に準じて「2100点」を算定することが可能です。詳細については、近く厚生労働省から関係通知が発出されます。

臓器の露出を伴う腹部開放創を覆う新たなドレッシング材を保険収載

 また、1月16日に中医協総会では、次の新医療材料の保険収載も了承されています(3月保険収載予定)。

▽腹部臓器の露出を伴う腹部開放創のうち「一次縫合による閉腹が困難なもの」に対し、腹腔内臓器を覆い、管理された陰圧をかけることで▼下界からの保護▼効率的なドレナージ▼炎症の抑制▼浮腫の軽減―を測り、早期の筋膜閉鎖を可能とする「ABTHERA ドレッシングキット」(新機能・新技術、保険償還価格は1キット(4189平方センチメートル)当たり10万536円)

▽無心体双胎における無心体への血流遮断を目的として、超音波ガイド下で経皮的に電極のカニューレ部を子宮腔内まで刺入し、無心体の臍帯付着部周囲を穿刺しラジオ波で凝固・焼灼し、ポンプ児から無心体への血流を遮断する「RFAシステム」と「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」(特定保険医療材料として価格設定をせず、新規技術料にて評価)

 前者の「ABTHERA ドレッシングキット」は、医療ニーズの高い医療機器に選定され、承認された医療材料であり、「機能区分の特例」(2回の価格改定を経るまで、事実上の『単独機能区分』となる)の対象となります。また本材料の保険収載に合わせて、J003【局所陰圧閉鎖処置】などについて診療報酬算定上の留意事項が見直される予定です。

 
 また、外傷性脊髄損傷(ASIA機能障害尺度A・B・C)に伴う神経症候・機能障害の改善に用いる再生医療等製品「ヒト(自己)骨髄由来間葉系幹細胞」について、医薬品の例にならって保険収載を審議する方針も決定しています。再生医療等製品には、「医薬品に近いもの」と「医療機器に近いもの」とがあり、いずれとして扱うかは、個々の製品ごとに中医協で判断することとなっています。

免疫チェックポイント阻害剤の拡大などに、まずは四半期再算定で対応

 このほか1月16日の中医協総会では、新たな患者申出療養1件と「キイトルーダ点滴静注20mg・同100mg」(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え))と「テセントリク点滴静注1200mg」(アテゾリズマブ(遺伝子組換え))の最適使用推進ガイドライン改訂についての報告も受けました。

 前者は、昨年(2018年)11月22日の「患者申出療養評価会議」で承認された「線維芽細胞増殖因子受容体に変化が認められる進行固形がんを有する日本人患者を対象としたインフィグラチニブ経口投与の長期安全性試験」です。当該薬の開発権利が製薬メーカー間で譲渡されたことに伴い「治験が中断されてしまう」患者を救済するために、6種類目の患者申出療養として承認されました(関連記事はこちら)。

 後者は、免疫チェックポイント阻害剤の効能・効果拡大等に伴って従前の最適使用推進ガイドラインを改めるものですが(関連記事はこちら)、この点に関連して診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「新たな免疫チェックポイント阻害剤の開発、既存の免疫チェックポイント阻害剤の効能効果拡大などが今後も予想される。いずれも極めて高額であるが、新たな対応などを検討しているか」と質問。これに対し厚労省保険局医療課の田宮憲一薬剤管理官は、「2018年度の薬価制度抜本改革の一環として四半期再算定(効能効果追加などで市場が大幅に拡大した場合、年4回の新薬収載の機会を活用して迅速に薬価を引き下げる)が導入されており、これがまさに『新たな対応』と言える。今後の状況を踏まえ、中医協で『さらなる対応が必要』と判断されれば、また検討することになる」との考えを述べています。
 
   
 
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