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2020年度の薬価・材料価格制度改革に向けて、中医協で本格議論スタート―中医協、薬価・材料専門部会

2019.6.27.(木)

 6月26日に開催された中央社会保険医療協議会の薬価専門部会、保険医療材料専門部会で、2020年度の薬価・材料価格制度改革に向けた議論が本格化し始めました。薬価専門部会では薬価算定組織からの意見聴取を、保険医療材料専門部会では2018年度の材料価格制度改革で「宿題」とされた事項の整理などが行われました。

長期収載品から後発品への置き換え、薬価制度の中でどう進めていくか

 薬価専門部会では、下部組織(薬価算定組織)から次のような「薬価算定の基準に関する意見」が示されました。

6月26日に開催された、「第153回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

6月26日に開催された、「第153回 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」

 
▽新規収載時に新薬創出・適応外薬解消等促進加算(以下、新薬創出等加算)の要件を満たさなかった医薬品について、収載後に追加された効能が、新規作用機序により既存治療に比した優越性を示した場合には、薬価改定時に新薬創出等加算の対象とする(現在、▼小児への効能▼希少疾病等への効能―追加があった場合などにのみ加算が行われる)

▽主として日本国内で集積された市販後の調査成績から「真の臨床的有用性」が直接的に検証された場合、▼小児への効能▼希少疾病等への効能―追加があった場合の加算が適用される場合でも、別途、薬価改定時に加算を行う(加算の併算定を認める)
中医協薬価専門部会1 190626
 
▽新規作用機序医薬品であって、加算適用品を比較薬として算定するものは、新薬創出等加算の対象とする(有用性と革新性の程度が加算適用品と同程度であると考えられる)

▽高齢者(特に75歳以上や要介護状態にある高齢者)を対象とした治験を行い、臨床上高い有用性を示したことを、「有用性加算の加算率を検討する上での要件」の1つとする

▽「著しく単価の高い再生医療等製品」について、補正加算率を傾斜配分する(低い加算率と設定する)

▽条件・期限付承認を受けた再生医療等製品が、市販後に臨床データを収集し改めて承認を受けた際は、最新のデータに照らして改めて画期性・有用性加算の該当性を判断する

▽市場拡大再算定を行った際、計算上の改定額が下限(改定前薬価の85%、75%、50%)を下回る品目について、「下限(下止め)を行わなかった」と仮定した額で年間販売額を算出する

▽市場拡大再算定に加え、用法用量変化再算定を直近で受けた場合も、「当該再算定を行った時点における年間販売額を基準年間販売額として、以後の再算定の該当性を判断することを明確化する

▽主たる効能・効果の変更等に伴い用法・用量に大幅な変更があった既収載品について、「100億円超・10倍」要件のほか、市場規模・市場規模の拡大率が一定の要件を満たした場合も、効能追加に伴う用法用量変化再算定の対象とする
中医協薬価専門部会2 190626
 
▽後発品への置換えが進んでいる事例などにおいては、先発メーカーの撤退意向も踏まえ、 「段階的引下げまでの期間を短縮できる」こととする。長期収載品と有効成分、原薬、添加物、製法が同一の後発品(長期収載品と同一の製造所に製造委託をしている後発品を想定、いわゆるオーソライズド・ジェネリック:AG)が収載された場合は、Z2・G1・G2(後発品への置き換え率に応じて長期収載品価格を引き下げる仕組み)適用までの期間を短縮する

 
 今後、こうした意見も踏まえて2020年度の薬価制度改革に向けた論点を明確にし、具体的な検討を行っていくことになりますが、6月26日の薬価専門部会でもいくつか意見が出されています。

 例えば、長期収載品に関する「後発品への置き換え率に応じて段階的に長期収載品価格を引き下げる」仕組みについて、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は「現行ルールでは、価格引き下げ適用までの期間が長すぎる」と指摘します。現在、後発品が出現してからZ2ルールが適用されるまでに5年、Z2ルールの適用が5年、その後、置き換え率に応じてG1・G2ルールが適用されることから、例えば後発品への置き換えが80%以上となるG1対象の長期収載品では、後発品と同じ価格となるまでに「16年」かかることになります。
中医協薬価専門部会3 190626

中医協薬価専門部会4 190626
 
幸野委員は、かねてより「迅速に長期収載品の価格引き下げを進めるべき」と主張しており、今後、Z2やG1・G2ルールの適用期間短縮が検討される可能性があります。もっとも、この「後発品への置き換え率に応じて段階的に長期収載品価格を引き下げる」仕組みは、先発品(長期収載品)メーカーに対し、「市場を後発品に明け渡す」か「価格を引き下げるか」の選択を迫るものです。安易に適用期間短縮を進めれば、先発品(長期収載品)メーカーの体力を奪い、優れた医薬品の開発に悪影響を及ぼす可能性もあることに留意しなければなりません。

医療機器における「市場拡大再算定」をどう考えるか

 また保険医療材料専門部会では、厚生労働省保険局医療課の古元重和企画官から今後の議論の進め方として、▼2018年度の材料価格制度改革骨子で「今後、検討する」とされた事項▼これまでに問題提起されている事項▼保険医療材料等専門組織から提起された事項▼関係業界から提起された事項―を踏まえて、2020年度の材料価格制度改革の「論点」を8月(2019年8月)までに絞り込み、9月(2019年9月)以降に具体的な検討を行うという大きなスケジュールが示されました。

6月26日に開催された、「第99回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」

6月26日に開催された、「第99回 中央社会保険医療協議会 保険医療材料専門部会」

 
古元企画官は、2018年度の材料価格制度改革骨子で、例えば次のような事項が「今後、検討する」とされていることを説明しています。

▽「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で、医療ニーズが高いと選定された製品の開発を進めない企業が申請する新規医療材料の取扱いを検討する
(医療ニーズが高く、一定の要件を満たす医療機器等については「機能区分の特例」の対象とする(価格が一定期間下支えされる)などの対応が図られているが、検討会からの開発要請を受けても一定期間以上開発が進まない製品が存在する)
中医協材料専門部会1 190626
 
▽内外価格差(同じ医療機器等でも、国内と国外で大きな価格差が生じているものがある)の是正に向けた「外国価格調整」について、比較水準(現在、原則として新規製品・既収載製品ともに外国平均価格の1.3倍を超える場合には、1.3倍にまで価格を引き下げる)・外国平均価格の計算方法を検討する

▽保険収載後に市場が大幅に拡大した場合の取り扱い(価格引き下げなど)を検討する

 医薬品では保険収載後に、当初予測に比べて市場が大幅に拡大した場合には、価格の引き下げを行う「市場拡大再算定ルール」が設けられています。しかし、医療機器等については、例えば適応症や使用部位が追加された場合、製品の形状・構造を変更し「新たな機能区分」となることが通常のため、「同一形状のまま適応が拡大され、市場が大幅に拡大する」ケースは想定しにくいのが実際です。
中医協材料専門部会2 190626

中医協材料専門部会3 190626
 
この点、6月26日の保険医療材料専門部会では、診療側の城守国斗委員(日本医師会常任理事)や支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)から「医薬品と同様の市場拡大算定ルールを検討することには意味がある」との積極発言が出ています。厚生労働省医政局経済課医療機器政策室の前田彰久室長は、「関係団体からのヒアリングも踏まえる」とコメントしています。

また診療側の島弘志委員(日本病院会常任理事)は「単回使用医療機器の在り方」(なぜ洗浄滅菌してリユースすることが認められないのか、その理由をより明確にするなど)も論点に加えるよう要請しています(関連記事はこちら)。

 

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