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2019年度の消費税対応改定、診療報酬点数やDPC機能評価係数II、薬価、材料価格など告示―厚労省

2019.8.20.(火)

 厚生労働省が8月19日に、今年(2019年)10月の消費税対応の診療報酬改定について告示を行いました(厚労省のサイトはこちら)。

 診療報酬本体(医科、歯科、調剤)、訪問看護療養費、薬価、特定保険医療材料価格について、消費税率引き上げ(8%→10%)を踏まえた見直しを行っています。DPC点数もこれに伴って見直され、診療実績を踏まえて基礎係数や機能評価係数IIなども計算しなおされています(関連記事はこちら)。

医療機関の消費税負担を補填するために精緻な診療報酬プラス改定

 今年(2019年)10月に消費税率が現在の8%から10%に引き上げられます。保険診療に関しては消費税非課税とされていることから、医療機関等が納入業者から物品等を購入する際に支払った消費税は、患者や保険者に転嫁することはできず、医療機関等が最終負担をしています(いわゆる【控除対象外消費税】)。消費税率が引き上げられれば、医療機関等の負担も大きくなってしまうため、この負担増を補填するための特別の診療報酬プラス改定(以下、消費税対応改定)が行われるのです。

 診療報酬本体と訪問看護療養費に関する見直しは、大枠では▼医療機関等の支出のうち「消費税課税対象となる部分」について、消費税率引き上げによる増加分を割り出す(どの程度の負担増を推測する)▼負担増を賄えるように、初再診料や入院基本料等を引き上げる―というロジックで行われます。

ただし、2014年度の前回消費税対応改定において「大きな補填バラつき・過不足」等が生じている(医療機関等により診療報酬等の算定状況は全く異なるため)状況を踏まえ、2019年度の消費税対応改定では、▼医療機関等種類別の補填の過不足を可能な限り小さく抑えるため、精緻な配点等(病院種類別に「収益に占める入院料等の割合」を精緻に見るなど)を行う▼2014年度の消費税対応改定(消費税率5%→8%)をリセットし、「5%→10%」への対応を改めて行う―こととなりました。今年(2019年)2月6日の中医協総会に具体的な改定案(配点案)が提示され、そこでの了承を経て、今般の告示となったものです。

例えば、▼初診料:288点(現在から6点、2014年度改定前から18点アップ)▼再診料:73点(現在から1点、2014年度改定前から4点アップ)▼外来診療料:74点(現在から1点、2014年度改定前から4点アップ)▼急性期一般入院料1(旧7対1):1650点(現在から59点、2014年度改定前から84点アップ)▼療養病棟入院基本料1のA:1813点(現在から3点、2014年度改定前から44点アップ)▼7対1特定機能病院入院基本料:1718点(現在から119点、2014年度改定前から152点アップ)▼7対1専門病院入院基本料:1667点(現在から76点、2014年度改定前から101点アップ)―などとなっています(関連記事はこちら)。

●新たな診療報酬点数はこちら
●新たな訪問看護療養費はこちら

 
 
 また厚労省は消費税改定に関する疑義解釈を示し、そこでは「既に入院している患者に対する差額室料やおむつ代に変更がある場合、改めて同意書を取り直す必要がある」「選定療養など、厚生局等へ届け出ている額について変更がある場合も、改めて届け出を行う必要がある」ことを明確にしています。

薬価、材料価格、市場実勢価格に消費税率引き上げ分を乗せた見直し

 薬価・材料価格については、算定式(新価格=「医療機関等への販売価格の加重平均値(税抜きの市場実勢価格)」×「1+消費税率(地方消費税分含む)」+調整幅・一定幅)に基づき、消費税率を10%で計算し、改定前薬価に「108分の110」を乗じて新薬価を計算しています。

 ただし、消費税率引き上げに伴う臨時・特例的な改定であり、例えば▼【新薬創出・適応外薬解消等促進加算】を適用し、その際、2018年度改定以降に後発品が収載されるなどして対象から外れた品目は、加算の対象としないが、加算の累積控除は行わない(2020年度改定で実施)、また企業区分は2019年度改定時点の物を継続する(企業区分が設定されていない場合は、企業指標点数を算出し暫定的に適用する)▼特定保険医療材料の機能区分は見直さない▼改定の回数に、今回の改定はカウントしない―ことになりました。

●新たな薬価はこちら
●新たな材料価格はこちら

診療報酬等の見直し、診療実績を踏まえてDPCの点数や係数を再計算

 診療報酬本体や薬価・材料価格の見直しに伴い、DPC点数表も計算しなおされています(点数、入院期間I・II・IIIなども計算しなおし)。併せて、通常の診療報酬改定と同様に、診療実績を踏まえて、係数(基礎係数や機能評価係数IIなど)についても見直されています。

 基礎係数は、▼大学病院本院群(旧I群):1.1302(現在の1.1293から0.0009引き上げ)▼DPC特定病院群(旧II群):1.0681(現在の1.0648から0.0033引き上げ)▼DPC標準病院群(旧III群):1.0374(現在の1.0314から0.0060引き上げ)―となりました。

 なお機能評価係数IIについては、「大学病院本院群や特定病院群において従前よりも大きく下がっている」との指摘がありますが、厚労省は「通常の診療報酬改定と同様に、診療実績に基づいて係数を計算しなおしたにすぎない」とし、「大学病院本院群や特定病院群を狙った恣意的な係数引き下げなどでは決してない」旨を説明しています。

 機能評価係数IIについては、別稿で少し詳しく見てみます。

●新たな算定基準はこちら
●新たな基礎係数・機能評価係数I・IIはこちら

 
 また疑義解釈では、「包括期間が変更となった分類」について、▼入院期間の起算日は入院の日とする▼9月30日までは改定前の算定方法を用いる▼10月1日以降は改定後の算定方法を用いる―ことを示しました。

また、【010070xx01x1xx】(脳血管障害 脳血管内手術等 手術処置2-1あり)、【010070xx9901xx】(脳血管障害 手術なし 手術処置1なし 手術処置2-1あり)、【010080xx97x4xx】(脳脊髄の感染を伴う炎症 手術あり 手術処置2-4あり)、【161000x201x0xx】(熱傷・化学熱傷・凍傷・電撃傷(Burn Index10以上) 分層植皮術200平方cm以上等 手術処置2なし)では入院期間IIIが変更され、【120040xx99x3xx】(腟の悪性腫瘍 手術なし 手術処置2-3あり)は出来高算定の診断群分類区分となることから、これらについては「改定前後で包括算定と出来高算定が切り替わる場合がある」点に留意を求めています。入院期間が改定前後にまたがり、入院期間中に診断群分類が変更され差額調整を行う場合は、「9月分までは改定前の点数、医療機関別係数に基づいて調整する」ことになります。

以下のケースも、上記と同様の取り扱いとなりますので、留意が必要です。
▽同一の診断群分類で、▼9月30日までは入院期間IIIを超えて出来高算定▼入院期間IIIの延長により10月1日以降、再び包括算定―となる場合
▽同一の診断群分類で、10月以降に当該診断群分類が出来高算定となる場合
▽「9月分として選択した診断群分類」と、「10月以降の退院時に選択した診断群分類」とが異なり、差額調整が必要な場合

 
 
 
 

 

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