消費税率引き上げに伴う薬価・材料価格見直しの方針固まる―中医協
2018.12.13.(木)
12月12日に中央社会保険医療協議の「薬価専門部会」「保険医療材料専門部会」「総会」が相次いで開かれ、来年(2019年)10月に予定される消費税率引き上げに伴う▼薬価▼材料価格―見直しの骨子を了承しました。年末の予算編成を経て、年明けに新薬価・材料価格の告示等が行われます。
すでに薬価専門部会・保険医療材料専門部会で議論されてきた内容ですが(関連記事はこちらとこちらとこちら)、次のように整理することができます。
●改定の基本的考え方
消費税率の引上げに伴って、「適正な消費税の転嫁」を行う観点から、市場実勢価格を踏まえて薬価・材料価格の改定を行うもので、通常改定とは異なる「臨時的」「特例的」な改定である
●薬価改定の具体的内容
▽現行の算定式(新薬価=「医療機関等への販売価格の加重平均値(税抜きの市場実勢価格)」×「1+消費税率(地方消費税分含む)」+調整幅)に基づき、消費税率は10%で計算し、改定前薬価に「108分の110」を乗じて新薬価を計算する
▽2018年度改定の際に【基礎的医薬品】とされた品目について、引き続き当該ルールを適用する。ただし、「全ての既収載品の平均乖離率以下」という要件を満たさない品目は対象から除外する
▽【最低薬価】ルールについて、消費税引き上げ分を反映させた上で(つまり最低薬価を引き上げる)適用する
▽【新薬創出・適応外薬解消等促進加算】を適用し、その際、▼2018年度改定以降に後発品が収載されるなどして対象から外れた品目は、加算の対象としないが、加算の累積控除は行わない(2020年度改定で実施)▼企業区分は2019年度改定時点の物を継続する▼企業区分が設定されていない場合は、企業指標点数を算出し暫定的に適用する―こととする
▽【後発品等の価格帯集約】ルールを適用する
▽改定の回数に、今回の改定はカウントしない
●材料価格改定の具体的内容
▽現行の算定式(新材料価格=「医療機関等における購入価格の加重平均値(税抜きの市場実勢価格)」×「1+消費税率(地方消費税分含む)」+一定幅)に基づき、消費税率は10%で計算し、改定前薬価に「108分の110」を乗じて新薬価を計算する
▽今回の改定においては、「改定前の価格が54円未満のものに限り、小数第1位(1円未満)を四捨五入する」こととする
▽再算定や機能区分の見直し等は行わない
▽「機能区分特例」「期限付き改良加算」「再算定」のルールにおける『改定』に、今回改定はカウントしない
材料価格における「小数点以下の取扱い」の特例は、12月5日の前回会合において医療機器メーカーサイドから「54円以下の少額な医療材料で、大量に消費されるものは、『1円未満切り下げ』ルールによって不利益を被る。対応をお願いしたい」という強い要望が出たことを踏まえたものです(関連記事はこちら)。
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