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退院支援サービス組み合わせた『移行期ケアプログラム』構築し、退院直後の再入院抑制効果を検証せよ―都健康長寿医療センター

2020.3.13.(金)

「退院計画」「退院時リハビリテーション指導」「地域ケアとの連携」などの退院支援サービスには、後期高齢者に対し「退院直後の再入院抑制効果」が認められない―。

こういった衝撃的な研究結果を、東京都健康長寿医療センター研究所の石崎達郎研究部長、光武誠吾研究員の研究グループ(以下、石崎研究グループ)が3月5日に公表しました(東京都健康長寿医療センター研究所のサイトはこちら)。

もっとも、欧米に倣い、▼退院計画▼セルフマネジメント指導▼地域ケアとの連携▼退院後のフォローアップ―などを組み合わせた「移行期ケアプログラム」を構築し、その「退院直後の再入院抑制効果」を検証していく必要があるとも提案しています。

退院直後の再入院リスク、入院中のリハ量が多い人、フレイル者などで高い

高齢者が急性期の傷病で入院した場合、当該傷病が治癒等したとしても、例えば▼介護が必要であるが、要介護認定を受けていない▼1人暮らしのため自宅療養には不安がある―などの理由から、退院が困難なケースが少なくありません。

入院期間が不要に長くなれば、▼急性期一般病棟(旧7対1・10対1一般病棟)等における「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の低下▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の低下▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク増加▼患者のQOL低下(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった「経営の質」「医療の質」に悪影響が出てしまいます。そこで、急性期病棟にとどまらず、すべての病棟で「入院期間の短縮」が求められており、診療報酬でも【入退院支援加算】や【入院時支援加算】、【退院支援指導加算】(訪問看護療養費の加算)などで経済的支援がなされています。

もっとも、安易に「入院期間の短縮」を進めれば「傷病の再発」や「合併症の発生」などにより再入院を余儀なくされてしまうというデメリットもあります。

この点、石崎研究グループでは「医療保険制度においても、退院後の生活がスムーズに送れるように退院計画や患者・家族へのセルフマネジメント指導などの退院支援サービスが提供されているが、これらのサービスが『退院直後の再入院発生に及ぼす効果』については明らかではない」とし、「退院直後の再入院予防策のあり方」を研究してきました。具体的には、75歳以上の後期高齢者のうちリハビリテーションを受けた退院患者(3万名分のレセプト)を対象として、「各退院支援サービスの利用」(退院計画、退院時リハビリテーション指導、地域ケアとの連携)と、「退院直後の予防可能な再入院発生」との関連を分析。そこから、次のようなことが明らかになりました。

▽退院直後に再入院した退院患者は974名(全体の2.8%)

▽「入院前に在宅医療で治療を受けていた人」「入院中に1日当たりリハビリテーションを多く受け居ていた人」「フレイル(虚弱)のリスクが高い人」で、退院直後の再入院発生率が高い

▽「退院計画」「退院時リハビリテーション指導」「地域ケアとの連携」など、すべての退院支援サービスには「退院直後の再入院抑制効果」が認められなかった



このように、「個別退院支援サービスには、退院直後の再入院抑制効果が認められない」という衝撃的な結果が明らかになりましたが、石崎研究グループでは「欧米では、▼退院計画▼セルフマネジメント指導▼地域ケアとの連携▼退院後のフォローアップ―などを組み合わせた『移行期ケアプログラム』に退院直後の再入院抑制効果あり、との報告がある」ことに触れ、「わが国においても、個々の退院支援サービスをパッケージ化した移行期ケアプログラムを開発し、退院直後の再入院抑制効果を検証していくことが必要である」と提案しています。


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